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ネット依存の回復ステップvol.3「生活習慣を変える」

ネット依存の回復ステップ第3回は「生活習慣を変える」をテーマにご説明していきます。

前回は、「ネットとの付き合い方を考える」でした。
医療機関や相談・支援機関等で行われるカウンセリングや心理療法では、ネットとの付き合い方を考えるために、これまでの自身のネット使用を振り返り、自分の傾向について理解を深めていきます。その上で、これからのネットとの付き合い方をどうするか検討します。

そして、ネットの過剰使用を減らす、あるいはネット使用をやめるために、具体的アクションを決定し、日々の生活で実行に移していきます。
それでは、いよいよネットと健康的に付き合うために実際の生活をどう変えていくか、そのステップをご紹介します。

セルフモニタリングを行う

まず支援者とともに1日の行動を振り返り、1日のうちで変えられそうなポイントを探します。その際、1日の行動記録を紙に書き出しておくことが有効です。これをセルフモニタリングと呼びます。

行動を紙に書き出し、記録することによって、より客観的に状況を認識することができます。思っていたよりも多くの時間ネットに費やしていることが分かったり、逆に週3日は自分でゲームをやめて就寝できていた、など出来ている点が見つかったりもします。
また、記録していくと、成果につながっていく様子が観察でき、行動を継続できていること自体が視覚化されるため、さらなる行動継続への動機付けにつながります。行動が継続できると自己効力感(ある状況において必要とされる行動について「自分ならできる」という期待や自信)が高まります。

変えてみるポイントを見つけたら、その時間にどんな活動を行うか計画を立て、実行します。
例えば、休日に退屈なので、ゲームを4時間ほどプレイし続けている場合、そのうち1時間は家族と外に散歩に出かけてみる、というように、ネットやゲームをしている時間を何か別の活動に置き換えてみます。


キャプチャ

▲当サービスでは、このようなバーチカルタイプのダイアリーを使い、時間ごとの行動を記録してもらっています。

スモールステップで変えていく

実際の生活を変えていくために大切なのは、「スモールステップで変えていく」ことです。

最初から、明日から毎日、早寝早起きで学校に行くというような天と地がひっくり返るような行動計画を立てる必要はありません。実行に移すことができたらラッキーですが、多くの場合、続かずに挫折したり、そもそもハードルが高すぎて実行できなかったりします。そうすると、「やっぱり自分はダメだ」と自分を責めて自己効力感が下がり、動機付けが低くなってしまいます。

そのため、スモールステップで、「少なくとも80%以上実行できる」という自信が持てる行動計画を立てていきます。毎日早寝早起きはハードルが高いのであれば、いつもより10分だけ早く起きてみるといったステップが良いかもしれません。
最初のステップがクリア出来たら、また次のステップというように一歩一歩進めていきます。はじめの一歩を踏み出すことが出来たら、後は歯車が回転するように意外とその後のステップがスムーズに行くパターンもあります。

望ましい行動を増やす

このとき、ネットやゲームの過剰使用を減らすことに焦点を当てすぎず、望ましい行動を増やすことが重要なポイントです。

「○○しない」という目標設定は実は非常に難しいのです。
「今日からダイエット!お菓子を食べない!」と決めても、3時になるとついついお菓子に手が伸びてしまうというような経験は誰しもあると思います。「お菓子を食べない」と考える時点で、「お菓子」を頭に思い浮かべることになり、「食べたい」という気持ちを生じさせてしまいます。

したがって、○時~○時はネットをしないと決めたら、その代わりに自分にとって望ましい又はすると良い行動を取り入れます。
ここでもスモールステップで設定します。今すでに出来ていることを継続する、又は増やす方が取り組みやすいです。それが思いつかない場合は、以前出来ていた行動の中から選んでも良いです。
今までやったことのないものだとハードルが上がってしまうので、やったことのないものにチャレンジする場合はハードルを下げる工夫が必要になります。例えば、「習い事を始める」という場合、習い事に行く前段階として、「習い事に関係する本を読んでみる」などと設定できます。

このようにして少しずつ1日の中でネットやゲームに費やす時間を減らし、本来やるべき行動や自分にとってすると良い行動を増やしていくことで、生活の質を向上させていきます。

次回は「再発予防」です。ネットやゲームを再び過剰に使用したくなったときの対処法についてご説明します。

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