疑われる母。

私のテンションは高めである。
自分で言うのもナニだが仕事はデキる方だと思う。
ワンオペ育児で鍛えられた作業効率と思考回路は
まあ、普通の主婦よりテキパキとしていると思う。

昔からそうだったのか浪速の風がそうさせたのか
それ、わからんけどとにかくテンションが高い。

まぁ
「おもしろきこともなき世をおもしろく、
すみなしものは心なりけり」と高杉晋作先生も言っておられるし心ひとつで変わるよっていう意味やろ。知らんけど。

おもしろさは自家発電と思っていて、
脳内で「おもしろ変換機能」を後天的に身につけちゃったんだから人間、やればできるよ！って話。

♦︎

いや、そんな話をしたかったんじゃない。

皆さんは平成ウルトラマン見てました？
うちは息子たちが小さい頃、ちょうどウルトラマンガイアが全盛でレンタルビデオでティガとダイナを借りてはひたすらリピートしてました。

「恋バナ」も多少入ってておもしろかったですよ。
割と私もハマりました。

そのウルトラマンシリーズ、
たぶん大人の事情でバージョンアップするんですよ。GWあたり、お盆あたり、クリスマスあたり、
お金が動く頃に。

その中に偽物が出て来るんですよ。
ティガダークだったりニセウルトラマンダイナだったりミーモスが化けたウルトラマンガイアだったり

シリーズの中で一度は偽物が出てくるんです。

ちょうど次男を産んだ頃、疲労から声枯れが酷くて
度々声が出なくなり、
天龍源一郎氏が私に降臨してくるんですよ。

そうするとお兄が私に近寄らず、

「おまえ……ホンモノのおかあさんなのか？ニセモノだろ……」

と3歳児に疑われる。

私だってニセモノのウルトラマンよろしく飛んで逃げられるものなら逃げますけどね。
3歳児と0歳児を置いて飛んで行くわけにもいかないっしょ。ワンオペ育児で必死でやってんのに。

「ホンモノだよっ！！！！」

ってガッスガスの声で言うしかなかった。

♦︎

そして、お兄4年生のころだったと思う。
とある某アイドルが薬物使用疑惑で逮捕状が出ていたのだが姿を消して行方不明になっていて
毎日ワイドショーは沸いていた。

薬物が使用されて出演したであろうテレビ映像はテンション上げ上げで1日に何度もテレビで放送されていた。

ちょうど夏休みで帰省していた時だ。

おもむろにお兄が

「俺は疑ってないけど、本当に信じてるけど
お母さんやってないよね…」

…とまじめに聞いてきた。

なんの話か分からず、
ナニソレ？と思ったが言いにくそうに聞く言葉の裏を読めば「覚醒剤やってないよね」ということらしかった。

「は？ナニソレ？おかあさんがやってたとしたら○○おばちゃんもテンション高いやん！」

…と姉の名前を出したら顎に手を当て
古畑任三郎ポーズで

「うーん、あの人も怪しいんだよな」

…と言う。
逃げ回った元アイドルのせいで私たち疑われてます！！マンモス迷惑！！

私は今でもテンション高いですけど、
自家発電ですから。

今になって思えば小学生の長男の
「母親が自分たちの前からいなくなる」という不安からの思考回路だったと思う。

あんなにおかあさんがいなくなることに過敏だったくせに去年癌になった時は普通だった。
そこはもうちょっとアレだよ…。
嘘でもさアレしてよ。
マンモスかなピーじゃん。

ま、おかんをあの時ほど必要としない年齢になったってことだと思うと喜ばしいことだが、

だがしかし、私でさえも「やべえなコレ」と思ったあのハイテンション映像を見て、
私と繋げるかよ！っていうことについては今でも全然納得はいってない。