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管理職になったら・・・

女性の管理職が着任すると、一昔前なら「女性の上司かぁ・・・」などというぼやきが聞こえました。なぜ女性の上司に抵抗感があったのでしょうか。

女性の場合、非常に真面目で頭がいい方たちにありがちですが、とりあえず現状を批判する。間違いを見つけて正しいことはこれと指摘します。そして正しいやり方を推奨しようものなら今までやってきたことは何だったのか。という既存勢力の抵抗にあうわけです。抵抗にあった時、ヒステリー症状があったり、根拠なく責めたりすればもうアウトです。権力を振りかざしても人は動きません。当時は味方も少なかった。

今では同ポストに総数の3分の1が女性です。
彼女たちはまず何をしなければならないのかを感じ取って、やるべきことから始めています。ネットワークもあり、困ったときは意見を聞いたりして支えています。「女性の上司」という特別な見方もかなり少なくなったように思います。

 かなり前になります。まだ係長だったころ女性の課長が来ました。「なんでここはこんなやり方なの?」といわれてこちらとしては内心「まあ、それでまわってきてるようですが」としか思えないわけです。批判するのは結構だけど人間関係がぎくしゃくするのもいかがなものか。とも思うわけです。

確かにあなたは正しい

でも、正しいけれどどうやってまわす?という方策がなければただの批判だけになってしまう。組織を「変える」というのはものすごく膨大なエネルギーを使います。寧ろそのポジションに付いたらそのまま座って判を押せばいいというのが求められていたりする。何も問題解決なんて必要ない。
そういう風土があるわけです。そんな風土の中で「正しいよ。で?」
そのやり方で回るの?という抵抗があるわけです。
結局半年以上彼女は前の職場と比較をして「ここはおかしい」と言い続けたので私は「いつまでお客さんやってるんですか?批判なんかするより変えたらいいじゃないですか。ここはあなたの職場でしょう」と言ってしまった。
暫く言い合いになって部下たちは一様に顔を下に向けて黙々と仕事をしているフリ。そうだよね。そこの上2人がもめてるわけですから・・・・
彼女は怒って出て行ってしまったのですが2時間ほどしたら戻ってきました。「あなたの言ってることは、みんなの声でしょ?なら変えるわ。もう愚痴は言わないから」とみんなの前で言ったのです。その日から私は彼女の部下として彼女に敬意を払いました。腹を据えたのです。
 それからの動きは別人でした。こういうことはむしろ女性が持つ素晴らしい柔軟性ではないかと感嘆しました。


変えるなら組織を動かす必要があります。やり方を変えるのであればまずキーマンを味方にすること。そして問題点を洗い、中期計画で改善方法を作成する。小さな結果でも少しずつ見える成果があれば徐々に味方が増えます。

着任して「様子を見よう」という人はおそらく何年たっても様子を見ているだけ。変える人は最初から動き出します。でもそういう人は少ないですね。

男性の管理職に多く見られる傾向です。「とりあえず、今年は様子を見るよ」こういう方は結果的に何もしなかったという人が多いです。
長いものに巻かれて数年たてば異動ですから、何もしないで判を押していれば職務はまっとう出来ているのです。苦労したくないし、敵を作るのもしんどいしね。

結果・・・組織的には成果がなくただ漫然と時が流れているわけです。

 大きな会社がリコール問題を起こしたりするのは、そういうことではないでしょうか。検査方法が間違っていた。原因としてはシンプルですが、その問題を提起するにはものすごく抵抗があったのかもしれません。既得権がありその間違いはいつからだったかを探していくと、かなり前から時の上司たちが決めていたりする。知っていても知らないふりを続けてきた。それも逆らえない地位の人だったりすると、だれも言えない。現場では言われたとおりにやればいい。へたなことを言えばリストラされる。そういう風土があったはずです。現場のミスではないんです。

どこかでやらなければいけないことを、だれもやれない

日本の会社に多く見られる問題のように思います。もちろん当社でもあります。おかしな方向に進んでいてもだれも止められないという空気。何とか小手先で修正しようとしても限界があるわけです。ならば、トップにいえばいい。と思うかもしれませんがトップにモノを言える機会なんて組織が大きければ大きいほどそんな機会はありません。

「七つの会議」という映画がありましたが、あれってまさに日本の会社だと思いました。今経営論、組織論など多くのマネージメントに関する本が出回っているのは多くの方がこのような問題をどうやって解決するのか迷っているからなのでしょう。

 改革をするなら腹を据える事。逃げない事。理論武装で負けない事。
交渉は人を惹きつける話術を持つこと。上から目線では交渉は勝てない。
ボトムアップには限界があるけれど、味方が多くなれば見過ごせなくなるので多くの理解者・賛同者を集める事。時間をかけすぎない。結果はすぐに分析して対処する。数字で追い込む。可能性を見つけたらそこに手段を投じる。年齢なんか関係なく意見を聞く。意見を言う時は躊躇しない。
とにかくスピーディに動くことが変化への一歩ではないかしら。

 巨大な組織を変えようなんて考えなくてもいい。目の前の組織が生き返れば管理職としては成功だと思います。



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