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海の香りのパフュームインク

ラルティザン・パストリエというフランスのブランドがある。
染料インクを多く出しているが、中でも目を引くのがパフュームインク(香り付きインク)だ。
とある動画で紹介されていたのでローズを買いたいと思ったのだがどこも軒並み売り切れで、仕方なく第2希望だったラゴン(海の香り)を買った。

瓶を開けてみるとヒヤシンスのようなアクア系の香りがふわりとする。
あまり強くない香りなので、相手に届くまでには消えてしまうだろう。
嫌味のないいい香りだ。

色はPILOTの色彩雫の天色に似た明るく澄んだブルー。
珊瑚礁や魚群が見えそうな青だ。
サラサラ系のインクなので、インクフローが渋い万年筆に合いそう。

本当はヤーチンスタイルガラスペン万年筆に入れようと思って買ったのだが、このサラサラ具合だとあっという間にドライアップしてしまうだろう。
もうしばらくはガラスペン万年筆にはエルバンのヴィオレパンセを入れておくことにする。
エルバンのヴィオレパンセも視認性の良いくっきりした色なのでお気に入りだ。
昔はフランスの小学生の指定色だったらしい。

ラゴンというインクは残暑の空にぴったりの色合いだ。
これを使って手紙を書いてみようか。
万年筆にも入れたが、ここはあえてガラスペンで。
紙は何にしよう。
万年筆インクでも滲まない上質紙のコレクションも増えてきている。

万年筆沼から始まりインク沼、紙沼、ガラスペン沼と文房具は私の両足をしっかと捉えて逃がしてくれない。
だから楽しいのだ。
インク収納ケースがいっぱいになったのでしばらくは新しいインクを買うこともない、と思いたい。

新しく買った、爽やかな海の香りのするラゴンでどんな文字や文を書くか、それを想像しただけでわくわくするのであった。
返事はいらない。ただただ書きたい欲を満たす行為でる。
とはいえ日記や雑記帳とは違い、送る先に相手がいる背筋の伸びる楽しさだ。

LINEやメールが主な連絡手段の今、敢えて手紙を書く、それも乙なのではないか。
もう少ししたらまた遠方の祖父母に残暑見舞いでも送ろうかと思っている。
夏の半ばに出した暑中見舞いはいたく喜んで貰えたので今から書くのが楽しみだ。

手書きでしか出せない良さがあると信じてやまない今日この頃である。

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