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花吹雪

「雪〜、ゆき〜」
よちよち歩く幼子は
父母に手をひかれて行く


「なんかすごーい」
連れ立ってはしゃぎ駆け出す中学生


「… 」
足早に遠ざかる革靴の音


「帰りに桜餅が良いな」
白髪の女性が白髪の男性に寄り添ってゆっくり通り過ぎた


散りゆく花を見上げれば
西からつばめが樹上をかすめた
その上を旅客機が西へ向かう

少し歩いては
花吹雪に足を止められる私は
往く春を見送る



桜と雨が落ちてきた

雨に肩をたたかれて歩き出す

古の粋な人の様に
春雨に濡れて帰ろう

よろしくお願いいたします。