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二十九、三十 都会の牢獄から

人生とは早いもので、本日2023年9月21日であっという間に30を迎えてしまった。

「いつかはきっと報われる、いつでもない、いつかを待った」
20代半ばから、クリープハイプの二十九、三十の歌詞の一説が突き刺さった状態で、30になるまでに早く遠くへ行きたいと思って、この20代という時を過ごしてきたが、まだまだ報われる気がしない。
別に自分が報われるのは最後の最後で良いのだけど、関わってくれる人に対して早く、もっと価値を届けたいという想いは日に日に募るばかりである。
ただ、幸いにも少しずつ前に進んでいる気がする。

地域に関心をいだいたのが大学時代。
新卒入社に失敗し、半年で精神崩壊して、東京に逃げてきたのが23歳。
そこから回復して、地域を軸に構想し、尾久の協和エクシオでヘルプデスクをやりながら小さく動き出したのが24歳くらい。
農業ITのイーサポートリンクで働きながら27歳で、副業起業して、じりじりとやってきて約3年。
副業にしては、前に進んでいる気がするが、事業としてはまだまだ道半ばで、やっと進むべき方向性が固まってきたところである。

農業とデザインという軸で2021年にスタートしたNaegiは、地域と生産者を通じて様々な経験をさせていただいた。
強烈な失敗体験もあったが、本当にあたたかい人たちに支えられて、なんとか心おれず、むしろ焚きつけられる形で、何も見えない暗くて寒い洞窟をひたすらあーでもないこうでもないと言いながら進み続けてきた。

本業でも副業でも事業創造・事業開発という分野でここ数年間は働いてきたが、結局のところ新規事業は”簡単ではない”。
起こすのは誰でもできるが、ちゃんと事業として体を成すまでもっていくのは大変なことだと痛感した。しかも農業という業界は昨今のwebやAiなどと比べてそこまでサイクルが早くはないし、お金が流れている業界ではない。もっとスマートで画期的なビジネスモデルを考えるほど頭がよければとか、もっと自分にスキルと経験があればとか、自己否定の連鎖に陥りながらもサウナに入って、そんなこと言っても始まらないから頑張るしかないだろうと自分に言い聞かせて、外面はだけは毎日笑顔で元気に生きている。

だからといって、「デザインの力で地域経済の新しい循環を生み出す」というミッションをずらすことは全く考えたことはないし、否が応でもこの領域と向き合っていく。
アクセラレーターでは評価されないかもしれないし、VCや投資家には見向きもされないだろうけど、この信念は変わらない。
少なからず信頼してくださっている生産者の方とメンバーと応援してくださる方とともに成長していけるようにあきらめず、前に進む努力をしていく。

そんなこれまでの努力が目に見えるような形になってきた。
我々Naegiがやりたいのはデザインをサービスで提供するのではなく、デザインという手法を通じて、地域経済を活性化することであり、その一つの解が、地域のもの、生産者の商品をしっかりと売っていくという根本的なところである。

一つは2年前くらいから仕込んできた「道の駅なえぎ」プロジェクト。
地域の生産者の果物や野菜をデザインというコミュニケーションを通じて、消費者に届けていく。そして何より生産者が利益を得られる再生産価格で販売していく。地域が見え、生産者が見える、情報の発信基地である道の駅のような場をインターネット上に作った。市場原理からは少し離れた場所にあるちょっとあたたかで、熱狂的なコミュニティにしていきたい。

道の駅なえぎメインビジュアル

もう一つは「olmo(オルモ)」プロジェクト。
地域の人やモノの価値を抽出し、デザインの力を借りて新たな形に仕立て上げることで、その価値を必要としてくれる人々とつなげていくことを目指すブランド。
olmoを通して、地域のモノが、人々の暮らしに、穏やかに・いいものとして馴染んでいく。そんな調和の瞬間を演出する。
このようなコンセプトでブランドを育てていくということに時間をかけていく。

olmoブランドロゴ

上記2つはすぐにどうこうなるものではもちろんないが、時間をかけて、継続していくことが大事と考えているので、応援していただけると泣いて喜びます。

2023年9月21日、
就業前の浦和西口のスターバックス。
外は雨。
三十路の始まり。
いろんな壁にぶつかりながらも総じて楽しく、とても幸せな20代だった。
ちょっと暗くなることはあるけど、それは前に進んでいる証拠。
上を向いて歩く。
半径5メートルから10メートルをちゃんと、もっと幸せにする。
そしてみんなで遠くに行く。

都会の牢獄から。未来の僕へ。







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