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【ドラマ感想】不適切にもほどがある (3)

*「不適切にもほどがある」6話の感想です。ネタバレが多分に含んでいるので、閲覧ご注意下さい。サムネは公式様より。

5話で自身と娘の純子の悲劇を知ってしまった市郎。

純子に合わせる顔がなく、昭和には戻らずに令和に留まる。それを見兼ねた秋津君が「純子さんに会いに行け」と無理やり井上教授のいるタイムマシーンのラボに連れていく。

秋津君は、「未来なんて変えちゃえばいい!」と叫んだが、純子がゆずると結婚しなければ、渚は生まれない。それに、もしゆずるではなくムッチ先輩と純子が結婚したら、秋津君が生まれてこない。秋津君に関しては確定ではないが、純子がゆずるではない人と結ばれると渚の存在が消えるのは確かだ。

未来の渚に出会って (しかも一時は惚れていた) 渚が生まれない運命を選べるはずがない。しかし、もし、あの時喫茶店スキャンダルで渚に出会っていなかったら、運命を知る事もなく。

市郎は一旦昭和に戻って、純子を令和に連れていく。これは、令和まで生きられない純子にせめてひと目でも進化した未来世界を見せてあげたいという思いからなのだろうか。それとも、娘である渚と未来の旦那であるゆずるに会わせたかったからか。

X等の感想で、市郎と純子はそのまま令和に留まって危険を回避して暮らせば良いってあったけれど、それだと純子が大学時代にゆずると出逢う事なく、やはり渚は消えてしまう。

そもそも、このドラマがどういう形のタイムトラベルを描いているか。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のように過去を改変する形なのか、それとも、未来が多岐に渡るパラレルワールド型なのか。

井上教授が「未来を変えられては困るのです」って再三警告したり、ビリビリが起きたりするので、パラレルワールド型では無さそうだ。

今回の市郎とサカエさんの家呑みの場面で「運命が決まっているのは、どうしようもない。だから悩むよりも今を好きに生きればいい」ってメッセージ性があるセリフがあったので、これでもし安易に運命を変えてハッピーエンドになってしまったら、メッセージがブレるのではないだろうか。
 
それとも、可愛い1人娘である純子の為に、正論を崩してタブーを犯してしまうのか。

市郎は、自分は令和ではよそ者で不適切だと自覚しながらも、(恐らく)孫の渚の為に慣れないテレビ業界の仕事を頼まれるまま引き受けている。渚も今回、同僚に言っていたが「(小川先生は)最初はこれ(不適切な言動)だけど、最後は何とかしてくれるから」と信頼を置いている。

純子もただのツッパっているアバズレではなく、本当は父が大好きで、父がいないと令和に電話を掛けてしまうくらい寂しがり屋の優しい子だというのが描かれている。令和では父が令和の若者に小馬鹿にされているのを激怒すらい父を誇りに思っている。親父をバカにしていいのは娘の私だけというのは照れ隠しでもあり、お前らごときが親父の本当の良さを分かる訳がないという意思表示なのだと感じた。父が好きじゃないとあんな行動には出られない。

それ故に余計「市郎と純子が死ぬ運命」を今後、情を交わした登場人物達が受け入れるのが難しくなるのが見えている。

あれほど市郎の事を嫌っていたサカエさんも態度を軟化して親身に慰めているし、秋津君もルームメイトとして真剣に「未来なんて変えちゃえばいい!」と悩んでいる市郎を気遣った。

本来ならサカエさんもキヨシも秋津君も、タイムトラベルがなければ市郎と純子に関わる事はなかった。キヨシが必死にラジオを通して呼びかけていた昭和の不登校の子も今後のストーリーに関わってくる重要人物なのだろうか? これもタイムトラベルがなければ起きない出会いだ。

その「禁断の出会い」が、市郎と純子の未来を変えてしまうのか、やっぱり井上教授やサカエさんの言う通り、運命は決まっていて変えてはいけないので、悲劇でも受け入れつつ、その日まで精一杯楽しく生きるのか。

今回は阿部サダヲさんの娘への慈愛や悲哀に満ちている表情の演技に圧巻された。初めて聴く純子の歌も非常に上手くて驚いた。

今回の予告動画で市郎が「最終回が決まってないなんて最高じゃん」って言っていたのが、自身と純子の決まっている悲劇の運命への叫びであり、文字通り、このドラマの最終回がどこに落ちるのか予想が全く出来ない。次回も楽しみである。

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