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どんな時でも、あなただけは側にいてくれる

3年前、息子が家を出て行った。
それは息子の中にも私の中にも在りうべからざる事だったので、二人して右往左往した。まぁ、就職先が実家の近くの予定だったのに蓋を開けてみたら3県離れたところだった、という事なんだけど。

その3年前には、娘が、やはり就職で家を出たのだが、その時にはそんなに「淋しくてたまらない」とは思わなかった。息子の独立だって、ああ、肩の荷が降りた、くらいで、淋しくなるわけがない、と思っていたのだが、なんと、とっても淋しかったのだ。

夫はもう20年以上単身赴任で、普段はいないのが当たり前。息子も、大学生の頃は自宅にいることは少なくて、3日・4日と顔を合わさないこともザラだった。「あ、久しぶりじゃん。元気だった?」なんて挨拶を交わしていたくらいだ。

「いてもいなくても一緒」だから居なくなっても平気、と思っていたが、実際には「いてもいなくても一緒」ではなかったのだ。

息子が家を出て行った日、家は急に「がらん」としてしまった。ちょっとどこかに遊びに行っていていない、というのとは全然違う。その場にいなくても一緒に暮らしていれば、その人の存在感が家中のあちこちにあるのだが、それらが一切なくなってしまった。

子どもを産み、育てた「家」
家族で笑い転げた「家」
どんな辛いことや腹が立つことがあっても必ずみんな帰ってきた「家」
その「家」に私一人になってしまった、この淋しさを解っていただけるだろうか?

だ〜れもいなくなってしまった家に一人……
淋しいよう、辛いよう、と思っている私を慰めてくれる存在は、飼い猫の「王子」だった。
ともすれば、淋しさに泣きそうになる私を、猫はただそこにいて、癒してくれた。しばらくの間、本当に猫に助けられたのだ。

猫を飼っていて、本当によかった。ありがとう、王子。
 
きっとずーっとこの淋しさから立ち直れないに違いない、と思っていた。思っていたのに、たった一週間後には、誰もいない生活がラクで快適すぎて、もうずっと一人暮らし、いや、一人と一匹暮らしが続くといいのに……と思うようになったのだった。

#猫のいるしあわせ

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