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ぼっち体質な私が、色んな人を巻き込んで文字のステッカーを作ったら、自分を知って、人間というものを学んだ話。

私は何かをつくることが好きだ。
そして、「思い立ったが吉日」という言葉があるように、「思い立ったがつくりどき」という言葉が私の中にはある。基本飽き性だから思い付いたらとにかく形にしないとモチベが霧散するというだけの話なのだが。

しかし、モチベがあるうちにつくっておくと、とにかくメリットしかない。
自分の作品が増えるし、自分の制作スキルも上がる。ヘンテコなものができたとしても、それがなぜヘンテコなのかを後から分析して反省すれば、次の制作に活かせる。
小さい時から感情とは別軸で物事を「損か得か」で判断する性格な私にとっては、つくりたい!となった時につくることは、めちゃくちゃコスパがいいことなのだ。
ちなみに最近は、服屋を見て回っているときに「Tシャツ色々あるけど自分でも作れるよな…」と思いTシャツをつくった。(しかもTシャツを簡単に作れるサービスがちょうどセールをやっていたので余計に飛びついた)

思いついたらつくる。時間が許せばできるだけつくる。そんな感じで生きている。

そして、基本的に誰にも何にも言われずに自分の思いの向くまま勝手にやってる事なので、いつも1人で黙々と個人制作だ。
誰かの手を借りるとか、コラボしてつくるとかいうのは、仕事や依頼じゃない限りそんな多くはやってない。
というか、そもそも昔から友達が少ないぼっち体質なせいもあってか、(一周回って開き直って)自分で色々できるようになって、自分1人でつくった方が早いのでは。。。?という意識があまりに強すぎたのだ。

そんな私が、ひょんなことから知り合いと一緒に制作をやることになった。しかも、普通に生活していたら絶対に友達にならなかったであろうような人と、だ。

事の始まり

私は普段、思いついた制作は何かしらにメモ書きしている。数ヶ月前のメモには、こんな思いつきを書いていた。

主張したいことをステッカーにしたオンライン商店を開く。
意外と言葉のステッカーってなくない?

確かこのメモは、「自己主張が苦手な人(私みたいな)をユニークに手助けする何かがあるといいよなあ」という考えと、「てか結構お店で見かけるステッカーってイラストとか絵的なものばっかで、文字中心のものってあまり見ないよな」という気づきが合わさった結果、書いた一文だった。

そしてそのメモ書きを知り合いに共有する機会があった。

「これなんかおもしろそう!やりたい!」

そう言ってこの一文に食いついたのは、最近知り合ったさーやんだった。
さーやんは、アートとコピー講座という、デザイナーとコピーライターが毎回コンビを組んで毎回課題に取り組む講座で出会った。
普段は営業職をやっているコピーライター志望な彼女は、なんというか、とにかく私とは真逆な人間だった。私が日陰なら彼女は太陽側の人間だなという感じがしたのだ。
彼女とLINEを交換した時に、「自己紹介的にお互いの取説書いてみようよ!」という彼女の発案の元(この時点で発想が太陽側だなと余計に思う私)、お互いの性質や性格を共有したことがある。

その時さーやんが共有してくれたことの一部はこれ。

* 朝は強い方。完早起きは比較的頑張れる
* 日曜午前は習い事
* 好きなものは韓国アイドルデビュー番組、猫、夫、外に出ること、野菜
* 共感性は多分高い

そして私はこう。

* 朝は絶望的に弱い。完全に夜型体質。
* 土日は基本家にひきこもって制作してるか寝てるか家事してる
* 好きなものはデザイン、ペンギン、漫画、アニメ、音楽、度肝を抜かすこと、分析をすること、自由
* 共感性は、中学の適性検査の時からずっと低い ※

※中学生の時に進路指導の一環で適正テストを受けたのだが、その時の性格特性のランキングで共感性がぶっちぎりに最下位だった

もうこの時点で「大学でさーやんと出会ったとしても絶対友達にはならなかったタイプだ」と予感した。

そして彼女が過去に書いたコピーを見せてもらったが、彼女の言葉はなんというか、「今を生きてる人がふとした瞬間にこぼしそうな、等身大の『私』目線な言葉」が得意な印象だった。本人の性格通り、共感性の高い言葉たちなのだ。そのコピーを見た時点で私は「絶対私からは出てこない言葉書く人だこの人」と確信を深めた。

さらに言えば、実際にやってみようと言うことで彼女と話をしてると、「ほおー。。。なるほどー。。。」とまるで地球の裏側の異文化の風習を聞いている気分で相槌を打ちながら話を聞いてたことが何度かあった。というか実際に「これって〇〇と思わない?」とさーやんに言われて「ごめん、その気持ちわからん」と正直に返したことも何度かあった。
多分さーやんからみても、私が宇宙人に見える瞬間が何度かあったかもしれない。実際に彼女から「理系脳だよね?!」と聞かれたことがあるが、多分あの時、私が宇宙人に見えていたんだろう(理系脳かどうかはわからん)。

なんというか、彼女が真っ直ぐ日向の方を見てるのに対して、私は「本当に日向は日向なのか???」と謎の疑心を持って日陰の方ばかりを見てるのを感じたのだ。あと、さーやんと話していて私がいかに俗世に興味がなさすぎたのかがわかった。

大学時代に出会ってたら間違いなく「この人苦手なタイプだ」と思いこんで自分からは近寄らなかっただろう。ただ、私は大学を卒業して社会に出て何年か経った。何年か経った私は、色々な人間を見て聞いて知って、その結果妙に活発な知的好奇心が育っていたため、彼女と話しながこうも思ったのだ。

「でも、こんだけ真逆だったら、自分の予想の範疇を超えた何かが出てきそうだな…」

そりゃあ人間、一人一人個性が違うのは当たり前だ。そして、意識せずに日々を過ごしたら、何かしらの共通点や近い考え方を持った人間どうしとつるんでしまいがちだ。
だが逆にいうと、あまりに同じ価値観を共有しやすい場所にい続けると、自分の視野や発想の限界が出てしまう。出来上がるものがひとりよがりで面白みのないものになってしまう可能性がある。制作において様々な視野やアイディアを混ぜるのは、当人たちが思いもしなかった形に飛躍することもあると、どっかの偉い人が言ってた。ような気がする。確か。知らんけど。

だからこそ余計に、この思いつきプロジェクトを彼女とやってみようと思った。
そして、この真逆さに結果として救われることになる。

いざ案を出す

やると決まればまずは案出し。どんな言葉を実際にステッカーとして作ってみようか、ということで、お互いアイディアをだしあって次の打ち合わせで持ち寄ることにした。

どんな言葉がいいかな…
日々生活を生きてる人が、主張したくなるようなこと…
主張したくなるようなこと…
主張………
………………………………

え、待って。

日々生活を生きてる人が、主張したくなるようなことって何だ????

初っ端からどでかい難所が現れた。ゲームを開始していきなりボス戦に出くわした気分だよこれ。普通に自分の主張したいことを書き出せばいいやと思ったが、あまりにも自分目線に寄りすぎた結果「え、これちょっと意味わかんない」ってなりかねないのでは???と我に帰ったのだ。
そもそも今回、最終ゴールが「オンラインショップを開く」だ。購入する人が共感する言葉じゃなければ見向きもされないだろう。てか私さーやんのコピー見て自分の共感性の足りなさを改めて自覚したばっかだよ???大丈夫???そもそも普通の人間ってどんなこと主張したいと思ってるの???俗世がわからんぞ????

そんな感じでアイディア出しの時点で思った数が出せず唸りまくった私は、数日後さーやんとの打ち合わせを行った。
どうしよう、言い出しっぺの私がこんな少ない数だから、企画倒れしてしまわないだろうか…という不安と申し訳なさを抱えながらLINE通話を繋いだ。

「私あれから色々アイディア浮かんじゃった!」

電話の向こうのさーやんの声はなんだか弾んでいた。そしてアイディアを書き留めたnotionのページを共有してもらった。

書いてくれた案の一部

この子神か??? てか救世主????

私が俗世と向き合うのに云々と悩んでる間にさーやんはめちゃくちゃアイディアを出してくれてたのだ。しかもこれ何個あるんだ。こんだけあれば選定作業があるにしても、まあまあ数は出せそうだぞ?神か???(大事なことなので二回言う)

そして割と驚いたことに、さーやんの出してくれた言葉の候補を見て、私自身も「あ、確かにこれはわかるわ」「これはあると嬉しいかも」という言葉が結構あった。

「眠い日はポンコツ」とか、確かに私も午前中眠すぎるとスイッチ全然入らないし、気持ちわかる。
「花粉症」とか、辛そうな人は本当辛そうだしね。
「集中TIME」とか、作業邪魔してほしくない人には便利だし。
「お金が欲しい。」とか、ほんまそれな。金は安心を買えるからな。
他にも色々…

そうか、私は「俗世が難しい」と思い込んでただけだったのか。

肩肘張ってないリラックスした時に出るような時に出た言葉とか、自分の周りの人を見たり聞いたりしてる時に出てくる言葉とかに目を向ければ、俗世のかけらが色々と見えてくるのかも。
さーやんの出してくれた言葉のおかげで、私はステッカーの実際の用途のイメージが浮かんできただけでなく、私が難しいと思っていた俗世、ひいては人間というもののほんの少しが、垣間見えたのだ。

試作品を作る

つくるのが好きとはいえ、ステッカーは作ったことがない。
そこでいつもお世話になってるGoogle先生に「ステッカー 手作り」と尋ねてみると、普通に家庭用プリンタでステッカーができる製品をA-ONEさんが販売してることを知った。

A-ONEさんは以前自分で名刺やラベルシールを作りたいとなった時にお世話になったことがあるので、安心して即決採用。
デザイン自体は言葉に合わせてフォントやあしらいをうまいこと選びつつ、A4サイズで印刷できるように敷き詰め。そして印刷。

印刷したものの一部。
ちなみに「IE対応は追加料金」は、私が絶対作りたいと押し通してつくった

ここまでは簡単だった。さーやんが考えてくれた言葉が着想を得やすかったというおかげもある。
しかし難所がまた待ち構えていた。自分の手で裁断するというクエストだ。

切り終わったステッカー。この頃には若干白目剥きかけてた。

四角に切り取るのか、文字に沿って切り取るのか。その選択をミスるだけでも結構印象が変わる。ハサミを扱う手が必然的に緊張したし、実際手がめっちゃ疲れた。めっちゃ疲れた。(大事なことなので以下略)

いろんな形の「大丈夫です」

ちなみに試作したものの中で一番切るのが難しかったのが、この「大丈夫です」シリーズの、トゲトゲ吹き出しのやつ。同じ「大丈夫です」でも状況によって意味合いが違うことがあるよね、ということで作ってみたのだが、自分でデザイン作っておいて「誰やねんこんなデザインにしたやつ」と内心キレ気味で裁断してた。

二人で手分けししながら色々確認しつつ、良さそうだなーと思うところで、実際の人々の反応をみることにしてみた。

実際に人にあげてみる

実は私にとって、誰かにあげて反応を聞くというのはあまりやってないことだった。新鮮な気持ちでいろんな人に渡してみる。

その1:講座内の仲間にあげる

結論から言うと、食いつく人はすごい食いついた。ありがてえ。

講座の教室の机にどばあと広げてみた

「ステッカーかわいい!」という黄色い声援も聞こえたので、ステッカー好きな人は好きなのだろう。確かにこれだけいっぱいだと、見ていて楽しい。
ここで意外と人気だったのは「ほめたら伸びる子」だった。持っていった分は全部いろんな人に持ってかれた。

選んだ理由を聞いてみると、「やっぱり褒められたいと言う気持ちがある!」という素直な感想が聞けた。なるほど。もしかすると普段のコミュニケーションで足りてないのは「褒めの文化」かもしれない。多分。知らんけど。
あとは「滅茶苦茶人見知りします」。人見知りにとってはステッカーが代弁してくれるのは心強いらしい。講座仲間の一人は、次に会った時に実際にこんな感じでスマホカバーの中に入れてくれてたりした。

?!?!?

年季の入ったスマホカバーと人見知りステッカーの組み合わせ、半端ない。
なんか普通に綺麗な透明スマホカバーに入れるよりもより主張が強まってる気がする。とても良いコーディネイトをありがとう。

そして、もう一人講座の仲間で、「実際に会社の上司にあげたらめっちゃ使ってくれてるんですよ!」という報告とともに写真を送ってきてくれた人もいた。ありがたすぎる。

デスクの上で使ってくれてるぅうぅ!!!!

彼女曰く、集中するときはステッカーが表面になるように100均で購入したクリップスタンドで配置して、そうじゃない時は裏面になるよう配置して使ってるみたいなんです、とのことだった。製作者よりもずっと使い方を心得ていて思わず拝んだ。

他にも、こういうのが欲しいです!というFBをもらって作ったのが、「オンライン会議中」

実際に会社のデスクに置いてみる

これも同様に、クリップスタンドで立てかけて意思表示すれば、使いやすそうだ。

こんな感じで、いきなりよくわからんブツを持ってきてもいろんな素直なフィードバックをくれる仲間に囲まれてることに感謝だった。
アートとコピー講座、いいですよ。(突然の宣伝)

その2:会社の人や友達にあげる

さーやんと私でそれぞれ手分けして身近な知り合いにあげることにした。私の方は、まず久しぶりに会った友達に見せてみた。

わかる。
私もこの二つはさーやんの案で時点でめっちゃグッときた。シェア感謝。

そして会社で個人制作を共有する機会があったので、会社の人にも見せてみた。

筋トレが趣味の社長に対して「これいいんじゃないすか?」とプロデューサーさんが勧めていた。
貼っても恥ずかしくないように無駄におしゃれ。パパ世代が反応してた。
後輩の子が「自分用と知り合い用に2枚欲しいです」といってた(んで2枚あげた)

実は「運転させるな危険」は講座内の仲間に共有した時も反応があったもので、思った以上にみんな運転に苦手意識持ってるんだなと知ることができた。確かに気持ちわかる。私も大学の友達に「お前は自転車を運転するな」と言われて、自転車がダメならそれ以上の乗り物の運転はもっとあかんなと悟って運転免許すら持ってないから、めちゃくちゃ気持ちわかる。(←もっとひどい)

というわけでショップつくってみました

そんな感じで色々なFBを元に、実際にどれを売ってみるか決めながら、いつも私の思いつき制作に付き合ってもらってるSUZURIに登録。
「もじもじステッカー」という名前をつけて、ショップを作った。

※ちなみに試作品とは違って、サイズ感が異なる場合があり得るので、こちらのSUZURIさんの記事を参考にするといいかもです。。。でも台紙サイズ「8cm×8cmぐらい」と書いてあるから大きさはまあある方かな。

個人的には、「オンライン会議中」はこのご時世使えるタイミング多いんじゃないかなと思ってる。ぱっと見だとオンライン会議してるかそうじゃないかはわからないしね。


自分1人ではつくれなかった今回の「つくる」

正直、実制作自体はそんな難しいものではなかった。
が、今回の制作は自分一人では絶対作れなかったものだった。

仕事は別として、普段の日常生活で人の考えてることをそんなに気にせずに生きている私にとって、さーやんが考えてくれた言葉がなければそもそもステッカーができなかったし、作った結果試作の段階でこんなにもいろんな人からリアクションをもらえなかっただろう。ほんと感謝しかない。

と同時に、今回「オンラインショップを開く」とちゃんと人に広める前提で臨んだからこそ、今までの個人制作で優先度を落としてた「周りの人々のフィードバック」にちゃんと向き合うこととなった。これは自分が知らない感情や、思いも寄らない人の考えや行動を知ることができて、本当に面白かった。本業で商品開発とかやったことないけど、モニター調査ってこういう感じなんだろうな。妙に活発な知的好奇心がとても満たされた。

あと、個人的に一番大きかったのは、「色んな人間いるから、自分と違うタイプの人間とわかり合うのは難しいだろう」という自分の考えが、少しだけ変わった。違う人間だから分かり合えない部分もあるけど、同じ「人間という生き物」だから分かり合える部分もある。個性を認めつつ共通項を見出して落とし所を発見する。これはいろんな人間同士が同じ大地で生きていく上で大事な考え方の一つかもしれない。

思った以上に長文になってしまった。。。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
もしここまで読んできた人の中で、何か「こういうステッカーがあったらいいな」という気持ちがあれば、ぜひお気軽にコメントくださいです。普段みなさんがどんなことを考えたり思ったりしてるのかが、今は知りたい気持ちなのです。

さて今度は何つくろうか。


◆ 一緒にやったさーやんサイドの体験記はこちら↓


企画 / デザイン:MIO (@mio_U_M
コピー:さやた(@sayamaruo2
スペシャルさんくす:アートとコピー講座の仲間、友達、会社の方々

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