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好きなことが限界になった。


5年間、ボイトレをやってきた。
ミュージカルの舞台に立ちたくて、それを目指してずっとずっと頑張ってきた。
だけど。


もう、これ以上、頑張れない。


この言葉が、ぴったりだった。





ずっとずっと、
あと少し、もう少し頑張ろうと思って、
今まで続けてきた。
理想の声になるために、
やりきったと、自分自身が満足して終われるように、
やれることを最後に全力で出し切って、
理想に到達して、
それで、終わりたかった。


でも、もう無理だった。
今日、気付いた。


ずっとずっと技術だけを磨いてきた。
『表現なんて技術の後だ』と、
今までずっと言われてきた。
そしてそれが真実だと思っていた。
だけど、今は思う。
100%完璧な技術なんて、
一体いつになれば身につくんだろうって。


私は音楽が好き。
今でも、すごくすごく好き。
自分が音楽に呑まれて、自分自身が溶け込んで消えるような感覚。
それがたまらなく心地が良い。
ピアノを弾くと、よくその感覚になっていた。
何を考えるでもなく、
ただただ心を開いて、
自分の中から湧き出てくるエネルギーで奏でる。
自分が消える感覚。
その瞬間が、
何よりも心地よくて、幸せだった。


歌で、その感覚になりたかった。
なれると思っていた。
だけど、
この5年間、磨き続けたのは技術だけだった。
『表現なんてものは、技術が完成してから。』
師匠の言葉を信じて、ずっとずっとトレーニングしてきた。
ボイトレと言うと、「大きく口を開けましょうね」みたいなのを想像しそうなものだけど、
実際には、
結局体を使うものだから、
レッスンでやるのは失神するレベルのきつい筋トレや、顔がゆがんで1週間筋肉痛が取れなくなるほどの激痛を伴うストレッチばかりだった。笑


そうこうしているうちに、
技術ばかりに目を向けて "表現" を度外視するうちに、
いつの間にか、
声で何をどうやって表現したらいいのか、
そもそも自分が何を表現したいのか、全然わからなくなってた。
歌おうとすれば、この体勢でこうやってって、
頭ばかりが動き出す。
結局サイボーグみたいに、
ただただ正確に体を使うことしか考えられなくなった。


それが必要なのは、もちろん分かる。
基礎が重要なのも、ピアノで散々基礎練しまくった身だからこそ、
基礎の重要性は身に沁みてわかるよ。
それに、ボイトレにおけるこういった基礎練(トレーニング)は、自分の声帯を守るためのものでもある。
だけど、
5年間も、心を殺しながらやるトレーニングは、
もう限界だった。


頑張ろうと思っても、続かない。
やりたいと思っても、少しの時間で疲れてしまう。
ボイトレを始めた当初は楽しくて、3時間でも4時間でもできたトレーニングやストレッチ、声が枯れるほど歌っていた練習が、
今ではもう1時間もやれば倦怠感を感じる。もちろん毎日なんてできなくなってた。


「もう無理なんじゃないか」「やめたほうがいいんじゃないか」
そう悩んでも、
やっぱりなんだかんだ音楽が好きで続けてきた。
やっぱり歌は好きだったし、理想の声にもなりたかった。
師匠に『あともうちょっとのところまで来てるね』って言われて、
少しずつ声が変わってきたのも自分でも実感があって、
あと少し、あと少しと思って今まで続けてきた。

でも、もう無理。
好きだけど、続けられない。
たとえこのまま続けたとしても、もうまともに練習できないって気付いた。
もうこれ以上頑張れないんだなって、気付いてしまった。


もっと早くなにか対処すればよかったのかな。
でも、仲間がいたら頑張れるかなって思って探しても、ガチな人にはなかなか出会えなくて、
師匠に相談したら、『仲間よりも今活躍している人をライバルと思えばいい』と言われて、正直・・・何も解決できなかった。
自分で表現できる場を見つけたら、もう少し頑張れるかなと思って発信してみたけど、
結局「技術」ばかりが気になってしまって、
サイボーグのように歌うことから抜け出せなかった。笑


どうしたら良かったのかなぁ。


今からもっと表現を重視する師匠を見つけようかとも思ったけど、
でももう無理。
これ以上もう頑張れない。
もうこれ以上練習なんてできない。
そんな体力残ってない。




「いま何がしたい?」って自分に聞いてみたら、
"歌いたい!" って心が即答してくるくらい、
本当に音楽が好きだった。
できれば音楽で、なにか結果を残したかったな。。
でももう今は、
これ以上はもう限界かな。


音楽をやめて、これからどんな道に進むのかはわからないけど、
好きなことを好きでい続けるために、
これからは自分の心を大切にしようと思う。
技術とか、クオリティとか、
それもものすごく大事だし、そういった勉強をするのも大好きだけど、
そこ "だけ" に目を向けると、自分の心が死んでいく。
結局、続かなくなる。


自分が楽しめるように練習を工夫すること。
自分の心を満たすことも重視しながら日々努力すること。
楽しいと思えるうちに、発信の場を用意して仲間を作っておくこと。
意図的に定期的に、トレーニングを忘れてただただ楽しむ時間を作ること。


どうしたら良かったのか、何が正解だったのかは今も全然わからないけど、、、
好きなことを好きで楽しめるってすごく貴重で幸せなこと。
その幸せをちゃんと守ってあげることが大事だなって、思ったよ。

好きなことを楽しめる、好きなことに夢中になれるって、
当たり前のことじゃないんだね。


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