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0685.ただそのときの自分だけの必然性の中で遊ぶ


吉祥寺アップリンクへ、うたちゃん(中2娘)と。「ええ〜期末試験前なんだけど!?」としぶる彼女を「映画のあとに、お寿司とケーキをごちそうするから」となんとか言いくるめて、『クレッシェンド 音楽の架け橋』を一緒に観にいくことに成功。

ストーリー
世界的に有名な指揮者のエドゥアルト・スポルクは、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトを引き受ける。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスを掴んだ20余人の若者たち。しかし、戦車やテロの攻撃に晒され憎み合う両陣営は激しくぶつかり合ってしまう。そこでスポルクは彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合い…少しずつ心の壁を溶かしていく若者たち。だがコンサートの前日、ようやく心を一つにした彼らに、想像もしなかった事件が起きる──。

https://www.anemo.co.jp/movienews/newmovie/crescendo_11-20220127/


前評判のとおりすばらしい映画だったのだけれど、特に演奏のシーンがめちゃくちゃよかった。パッヘルベル「カノン」、ヴィヴァルディの名曲「四季」や「ボレロ」とか、一度は耳にしたことのあるクラシックの曲が自分の中で深い意味を持った旋律として新たに染み入ってくるのを感じた。

うたちゃんは、行きの道中も待ち時間もランチタイムの合間もずっと自主的に試験勉強をしているような子なんだけれど(あのですね、嘘みたいな話なんですけどわたしは彼女に「勉強しろ」とか「宿題しろ」とか言ったことないのですよ。なんかそういう話ってたまに聞くけど、そんな異星人みたいな子がいるんだね?って感じだったんですよ。まさか我が子がそのタイプとは)、教科書とかからの情報として「ヴィヴァルディーの代表曲といえば『四季』です」「はい正解です」って答えられることよりも、ひとりの人間の人生の物語として『四季』という音楽を体験するほうがはるかに重要だと思うので、一緒に観られてよかった。

「勉強はおやすみして、成績下がってもいいから、ママと映画を観ようよ。そしておいしいものを食べよう。あなたの大好きなえげつないBL漫画も買ってあげる。でもちょっとエロすぎるやつはこっそり読むんだよ?いいね?」と言ったら腹パン(おなかへの渾身のパンチ)されましたけどね。
でも彼女の強いところは、ほんとうに親のお金でやっばいBL漫画を臆面もなく買うところかな….。ふつう隠すよね? 尊敬に値する。


それにしても実は吉祥寺アップリンクが初めてで。できたことは前から知ってたしそのラインナップに興味はあったのだけど、わたしのライフスタイルにあまり映画の入る余地がなくって。でも最近はやたら映画づいているので、通ってもいいかなあ。会員になろうかなあと考えている。


なぜ突然こんなに映画を観まくっているのか、わけがわからない。

けれどわたしにはこういうことがよくある。例えば大学生のとき、狂ったように何日間もスガシカオの『前人未到のハイジャンプ』だけをエンドレスで聴き続けた日々があった。なんなんだ、と自分でも思いつつそうせずにはいられない、という感じ。

社会人になってからものすごく激務で残業続きで毎日21時とか22時に帰宅していたのに、どうしてもどうしてもケーキを焼かずにはいられない日々もあった。仕事中からずっとケーキが焼きたくて焼きたくてうずうずしていて、走って帰ってはひたすら毎日ケーキを焼きまくった。家族は太り、食べきれないので会社のひとたちに毎日配って、それでも止まらずに焼いていた。チーズケーキ、ロールケーキ、ガトーショコラ、ブラウニー、アップルパイ。

走りまくった日々も、泳ぎまくった日々も、山に登りまくった日々もあり、そのどれもが特にモノになることもなく、一生の趣味として定着することもなく、わたしの中を通り過ぎていった。そしてわたしはこう思っていた。

「わたしは熱しやすくて冷めやすく、なにひとつ長続きしないだめな人間だ」

と。


でも今はそんなふうには思わない。なにか、わたしの中にうごめくエネルギーというものが「今のあなたにはこれ!」という必然性をもって”ソレ”を提示してくれていると感じる。将来につながるとか、稼げるとか資格が取れるとかではない。

どちらかというと「いま、あたしはとにかくブランコに乗りたいの!!!」と一目散にブランコに駆けていって、無心に天高くブランコを漕いで漕いでひたすら漕いでいる子どもみたいなものだと思う。
ブランコに夢中。あの空に吸い込まれるような浮遊感に夢中。

そしてあるときパタっとその衝動は終わり、一目散に今度はすべり台へと駆けていくのだ。メリットもデメリットもなく、理由も説明もなく、説得も言い訳もなく、ただそのときの自分だけの必然性の中で遊ぶのだ。
気が済むまで。あるいは日が暮れるまで。



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