0977.「完璧」というワードに反射される「価値観」について
とある期間限定サロンに入ってまして。
それは、いい感じにFIRE(資金運用による早期リタイア)した、いわゆる「億女」といわれるジャンルの女性がやっているサロンで、みんなは彼女から最新の金融情報を聞いたり、ビジネスについてレクチャーを受けたり、あるいは上手にポイ活して一年の半分をリッツカールトンで暮らし、もう半分を山里で暮らしているというライフスタイルのエッセンスを吸収しようとしている、らしい。
わたしは金融運用センスゼロなので、どちらかというと「彼女のビジネス構築法」と、「そこに集まるターゲット層」を観察させていただくために、ひっそりと生息している。
でもやっぱり「意識」と「スピ」のことにはかなり精通しているひとで、コミュニティーへの投げかけはコーチング的な要素を取り入れているのが見て取れる。
その中で、
「あなたの完璧な一日をデザインしてください。それをコメント欄に書いてね!」というお題があったので、たくさんのひとたちの「完璧な一日」を眺めていたら、あまりにもなんというか、「えー」という感じだったので、脱力した。
大半のひとたちが自由に描く一日って、こんな感じなのである。
っていうのがさ、もうさ、夜の夜中までこんなパリピの描写がつづくわけなんだけど!!!
うそでしょ!衝撃!って思って、だれかに言わずにはいられなくって、高尾でべらべらと祝里ちゃんにぶちまけたのだった。
全員が全員とも「プライベートジェットでどこそこへ」って書いてるの、すごいなと思って。
で、ノリちゃんとまじめにそのことについて語り合った結論として、ノリちゃんは「背中がととのっている一日が、わたしにとっての完璧な一日」と答え、そしてわたしは後日いろいろ考えた結果、「(詳細は恥ずかしいので省くけど)ある分野のプロフェッショナルとして、当日の本番の朝を迎える。心地よい緊張感とともに事前準備をし、一緒にはたらく尊敬できるひとたちと一緒に、忘れがたい本番を無事に披露し、終える。おわったあとに、ちょっとおいしいつまみとビールなどなどで讃えあい、家族のもとに帰り、すこやかにぐっすり眠る」という答えだった。
ここになにが見えるかというと、「完璧」というワードに反射される、そのひとの「価値観」が見えてくる。それがおもしろいね、という話をした。
オーシャンビューのホテルライクな部屋のスムージー。ヨガにマッサージにドレスにプライベートジェット。
そこに見える構図は「だれかにかしずかれる構図」だ。
たしかに気持ちいいだろう。気分もいいだろう。身体も心地よいだろう。受動の喜び、金星の力。
でも、存在の力はどこに発揮されていくのだろう。エネルギーはどこに流れていくのだろう。能動の力、太陽の力はどこにデザインされているのか。
自分の太陽の力を放棄して、使わなくて済む方向が、「完璧」の果てなの?
「どうせ海とかなら、わたしだったら無人島に行きたいね」とノリちゃんは笑った。「どうやってサバイバルしていくかのほうに興味がある」と。
背中がととのっていること。自分の生命の力で世界を切り開いていくこと。
わたしだったら、圧倒的といえるほどに高めて極めた自分の力を、だいじな場面で惜しみなく出し尽くすこと。それによる共振と共鳴が起こる、その瞬間を目撃すること。
完璧な一日が見せてくれる「価値観」が、こんなにもちがうことってすごいなあとも思う。
わたしはほんとうに、自分を磨いて磨いて、力を発揮して、もっともっと発揮して、空っぽになるほど出し切って、そして別の次元まで飛んでいきたい。それさえできればあとはどうだっていい、と思っている魂なんだな、と、改めて思ったりした。
いつでも抽象度が高いので、具体的になにをどうする、が遠いのが玉にキズだけれども。
けれども世の中の大半はきっと「プライベートジェット派」なんだろうなあと思うと可笑しいような、さみしいような気持ちになる。
ノリちゃんなんてもっと少数派だろう。
「なに、背中がととのっている一日って!」と大笑いした。
大笑いしたけど、ほんとうはちゃんとわかってるよ、と思いながら。
そして、あの奥高尾での秋の日差しの中のおでんの日が、わたしの人生最後の日になったとしてもいいくらい、あの日はあの日で完璧な一日だった。
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