民話で独りコラム ~三つ子の魂百まで ~息子の好きだった昔話~
先日子供たちにどの昔話が好きか、と聞いてみました。もう21になる息子は「やまんば(日本の昔話『3枚のお札』のこと)」と即答。
いや、なかなか渋い選択。
我が家は息子が1歳の時に日本を離れ、それ以降ずっと欧州大陸で生活しているのでこの返事にはちょっとびっくり。
「や、やまんばなの?あの、小僧さんが追いかけられるやつ?」
「そうそう、それそれ」
なんでも、子供心に一番記憶に残った昔話だそうです。息子にとっては、ポーランドのお姫様関係の話はたいして面白くない。また、特にキリスト教を信仰しているわけでもないので、悪魔がでてくる話はファンタジーの領域だそうで、これも特には怖くもなく印象にも薄かったそうな。
悪魔がファンタジーで、山姥はファンタジーじゃないんかい!?
つっこみたくなる気持ちを抑え、どこら辺が記憶に鮮明なのかとさらに問いただすと
「髪を振り乱して追いかけてくる老婆。ありゃ、悪魔に追いかけられるより現実味があって怖いわ」と。
ああ、下手に現実味があったから、怖さ倍増ってことなのね。
私もきっとバチクソ感情込めて読み聞かせていたに違いない。
昔、日本を離れる際に子供たちに読み聞かせる本を持っていかなければと急いで探したのは日本の昔話の本。
日本人の母親がいて、子供が日本の昔話を一つも知らないのは寂しすぎる。ていうか、私が寂しいわ、それ。
日本を離れたばかりの頃、当時旦那さんは仕事で本当に朝から夜まで家にいなかったので、ほぼワンオペだった我が家。さて、あの頃はワンオペ子育て問題が大きく言われていなく、私も特に疑問を持つ暇すらなく年子二人の子育てに明け暮れておりました。
平日子供たちを寝かしつけるのも当然私の役目。
子供たちが早く寝るための手段として本の読み聞かせはなかなかよいものでした。すぐに寝てくれなくても物語の先を一緒に想像してみたり、登場人物の話をしているうちに、子供たちは寝てくれました。一緒に横になっている私の方が先に寝ることも多々あった気もしますが・・・。
そしてあれだけの年月が経った今、息子が日本の昔話を一番覚えていると聞いて、ちょっと、いえすごく嬉しかったりするのです。
しかし、髪を振り乱して怒りながら追いかけてくる老婆に妙な現実味を見出していたらしい息子。
誰かの姿が重なっていたのだろうけど、その誰かを知るのが怖くて聞けない母でした。
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