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悪魔は去り、ウォッカは残った②

 さてさて前回のお話の続きとなります。
 
 読み損ねた方、こちらからどうぞ

 パン一切れの代償が3年のご奉公、って、それこそ悪魔のような罰ゲームですが、それでおわっちゃ、悪魔が廃るってもんですわ。
 それでは 続きのはじまり はじまり~



 「ご主人さんよ、麦はよく獲れて、もう売れるぐらいあるし、パンを焼くにしても十分ですわな。ちょいと、1立米ほど頂いてもいいですかね。作ってみたいものがあるんですよ」

 男は言った。

「ああ、お前さん相手に惜しむものか。必要なだけもっていっていいぞ。なんてったって、お前さんのおかげで貯えもできたんだ」

 そこで悪魔は1立米のライ麦をもらい受け、何かをして、何やら混ぜて、煮つめて、、そんで最後になんだか水のようなものができたのさ。

 悪魔は男に試してみるよう、グラスに入れて差し出した。

 男は飲んだのだが、、、これがまたなんだか苦く、うまくない。しかし、飲み干した。

「うまくないかね、ご主人さんよ」

「うまくはないね」

「もう一杯、試してくだせぇよ。次はよくなるから」

そういわれて、もう一杯飲めば、さきほどよりよくなった。そしてなんだか、楽しくなってきたのさ。

 悪魔は言った。

「なんだか気分がいいですね」

 男の方はというと

「血が騒ぐってもんだ、ヘイ、へィ!」

 悪魔も同じ調子で、2人とも足元がおぼつかなくなっていたんだ。それでも2人飲み明かし、その晩は床に入ったのさ。

 次の日悪魔は男に聞いた。

「調子はどうです、ご主人さん」

 「頭が痛い」

「ま、楔を以って楔を抜く、ってやつですね。飲みましょ。昨日も飲んだし、今日も飲みましょう」

と、更に飲み続け、また気分がよくなってきた。

「あ~、楽しいねぇ」

「自分も楽しいっすよ。こりゃ、客でも呼ばないと、彼らも楽しくなるように、ね」

 そうして、客を招いたんだが、また同じことさ。初めのうちは、その飲み物はうまくないんだ。だがしばらくすると、どんどんよくなるって言ってるんだ。そして皆で楽しく飲み明かしたんだよ。

 他の人々も、この飲み物をほしがったから、悪魔は人々に作り方を教えたのさ。最後に悪魔は彼らのもとを去ったが、ウォッカは残ったというわけさ。

 この悪魔は言ったもんさ

 「飲みねぇ、飲みねぇ、ご主人さんよ!これは麦だ、ただ液状だがよ!」

 こういうことさ。

 今じゃこの液体はどこでも手に入るようになっちまった。どこの家でもね。


 
 そしてポーランドではアル中が沢山、と。はい、悪魔は見事に仕事やりとげました。←褒めるポイントですかねぇ・・・

 



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