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変わらないもの

昨日、家族と出掛けたついでに、本屋に立ち寄った。まだ幼い息子を連れていたので、絵本コーナーをメインにぐるぐると見回っていると、子供の頃好きでずっと読んでいた絵本が視界に入った。

見本が置いてあったので、すかさず本を手に取りどういう話だったかなと読み返していた。絵本の名前は「葉っぱのフレディ」。命をテーマに、生まれてから死ぬまでの一生を葉っぱを主人公として重くなく自然に、優しく書かれている。子供の頃好きで読んでいたとは言え、何故それが好きで読んでいたのかは分からなかった。

読み返していた時に、今自分を構成するもの、主に考え方や価値観の部分でこの物語と深くリンクし、忘れていた事がフラッシュバックして思わず目頭が熱くなった。ああ、なんだ、昔から根本は変わってなかったんだな、と。寧ろ、この絵本に出逢わせてくれた両親にとても感謝している。

何となく読んだり、何となく聴いたり、何となく見ていたり…特に意味がなかろうとも、心地よさを感じると自然とそこに居るのだろう。音楽も同じく、その曲自体に感動する要素がなくとも、過去の体験や記憶から引き寄せられる何かがあって、自然と涙することがあるのだろう。不思議な体験だと思う。

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お話自体はシンプルでインパクトの強いものではないが、ハッとさせられる言葉が沢山ある。最後に、その中で私が好きな一節を紹介する。

いっしょに生まれた 同じ木の 同じ枝の どれも同じ葉っぱなのに どうしてちがう色になるのか フレディにはふしぎでした。
「それはねー」とダニエルが言いました。「生まれたときは同じ色でも いる場所がちがえば 太陽に向く角度がちがう。風の通り具合もちがう。月の光 星明かり 一日の気温 なにひとつ同じ経験はないんだ。だから紅葉するときは みんなちがう色に変わってしまうのさ。」

葉っぱのフレディ ーいのちの旅ー より

いつからか、芸術家は変わった人が多いというレッテルが張られているように感じることがあったし、自分に対してそう言ってくる人もいた。それでも自分が特段変わった人間だと思ったことはなく、寧ろ人は誰一人として同じ人はいないのに、どうしてそう決めつけているのだろうとずっと疑問に思っていたが、子供の頃に読んだこの本が教えてくれたから、自然な考えでいられたのかもしれない。

最近本を読むことがめっきり減ってしまったが、過去に読んだ本を読み返すのもまた、新しい発見があって楽しい。それでは、今日はこれにて。


tohma

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