プロフィールに代えて (運命をガイドするラジオ局 4)
私は無免許の「作曲家 (by グーグル先生)」。音大や音楽の専門学校を出ていません。だから、プロフィールに書くことがないんですよね。
プロフィールって、普通は信用を得るために書くもの。だけど私はキャリアと関係ない普通の大学に行ったため、書けば却って信用を損ないがち。音楽関係者からも、エリート路線の大学同窓生たちからも……。
アメリカの場合、音楽オーディションで学歴や職歴を問われることはほぼないのですが、日本は違うよう。
例として、娘が子どもの頃の話。私はアメリカのアーティストの来日コンサート制作をしていました。よく現場で知らないスタッフに聞かれたのは……
スタッフ「英語の資格、何か持ってるの?」
私「持ってません」(当時)
ス「あ、じゃあ留学?」
私「いえ」
ス「えっ……? じゃあ英文科なんだ」
私「違います」
ここまで言うことは誰でも一緒。その後に言われることはまちまちだけど、みなさま一様に疑い深げな目で私を見て去っていきます。
私にしたら、余計なお世話。こうしてちゃんとステージ制作の通訳をしてるんだから、放っといて!と言いたかったです。
まぁ音楽に関しても、似た事情。資格がないので、日本では疑い(蔑み)の目で見られることが多いです。
それで、ムキになって業績を書くと、今度は「自慢」と思われ、嫌われます。
八方塞がりではありますが……。
noteを始めた頃(2018~)から時が経ち、私も変わりました。今日は、普段の記事では書かない来歴の自分語りを。よろしければおつきあいください。
お母さん食堂、閉店?
まず、note初期には一人娘が結婚して家を出たばかり。私もまだまだ「お母さん気分」を残していて。
“空の巣症候群”について、色々シェアしたいことがありました。でも今では、そんな気分は霧散しています。
元々私は、「何かがやりたい」タイプ。”柄じゃない”子どもを持ったのは、周りのリクエストに応えて。自分に言いきかせた理屈は、
「周りの人さえ幸せにできない人間が、音楽で人を幸せにできるはずがない」
笑っちゃいますね。怪しい新興宗教みたい。もし子どもを持つことを私と同じ理由で検討中なら、ご自分に正直になることをおすすめします。
1人親お父さんの犠牲録。スレッド読んでみたら、言いたいこと全部書いてあった! ありがとうございます、涙
ただ、後悔はしていないし、子育て経験が音楽に多少の恩恵をもたらしたことは確か。
自作曲のインスピレーション源になっているし。花開く日のビジョンを胸に日々のタスクを組み立てる母性は、とくにクリエイターには必須。
それでも、育児で失われた年月は戻りません。育児とは別のことをやっていたなら、また別の恩恵が得られたことでしょう。時間は誰にでも平等。
娘の撮影によるコンサート風景(2022/1/15、豊島区民ホール) 娘は誰よりも辛辣かつ理解あるリスナー。
勤め先の七光り時代
次に、note初期には、アメリカのレーベルと契約はしていたけれど、まだ米デビュー(2019)前でした。
アルバム・リリースで、状況が向上したという程ではないのですが……。リリース前と後では、心理的に違うものがあります。
それ以前は、一貫して音楽関連の仕事はしていたけど、どこかお子さま気分。
結婚前はパンク・バンドのキーボーディスト。マネージャーがブッキングから宣伝、チケット販売、レコーディング契約、ツアー・コーディネートなど、なんでもやってくれました。
私は音楽以外には何の心配も要らず。家で勉強だけしていればいい子どもと同じ状態でしたね。
アルバム・レコーディングでは細野晴臣氏、Mute Beat(小玉和史氏)、梅津数時氏等と共演。(中央、細野さんの下の写真が私)
結婚後は前述の外タレ音楽事務所に勤めていました。社長が芸能界で力のある方だったので、これまた子どものように守られた状態。
担当した邦人有名アーティストも私を重用してくださり、私はどこに行っても大きな顔をしていました。
ところが、このアーティストが急逝。やむなくライターの方向にシフトすることに。儲からないバンド時代の副業として、雑誌のライターをしていたのが役立ちました。
入った編集プロダクションは、心理系ベストセラー作家の主催。当時は勢いがあったため、私は有名雑誌の編集者さんたちとも対等に話していました。
どれも全部、家を出る前の子ども状態ですね。自分の力というより、親たる所属先の庇護のおかげ。
人にくっついてないで、自分で音楽を
その後、編プロの作家氏がなんと音楽制作にシフトし、なぜか私も「自作ピアノ曲を公式サイトに上げるように」と仰せつかりました。
これがきっかけで、自分で何かやってみようと思い、クラシックの音楽事務所へ。
珍しく自作曲ではなくクラシック曲を弾いたステージ(東京オペラシティ、リサイタル・ホール)
そこの同僚アーティストから「曲がいいのに売れてないのは、ちゃんと売り込んでないからでは」と、痛いところを指摘されました。
それでハッと開眼。娘の就職を機に、かねてから目指していたニューヨークへ。
最初は手探り状態でした。ライブをしたり、映画製作プロダクションでBGMをやらせてもらったり。
映画界で実績のあるトラック・メイカーに拾われて、メディア向けトラックづくりに首を突っ込んだり。
世界ネット衛星放送アルジャジーラのドキュメンタリー番組で担当したエンディング曲
どれも楽しかったけど、仲よしの中国人アニーが国に帰る時に言われたんです。
「ミキコ(私のファーストネーム)の曲が中国でかかるのを楽しみにしてる」
エッ……!?
私の曲なんて、いつ採用されていつ流れるのか、アメリカにいてさえ把握は難しいのに……。しかも、何かの映像のバックにちょろっと流れるだけ……。
中国のアニーに聴いてもらうには、どうしたらいいのか……?!
どうしても、友だちにピアノを聴いてほしい!
そこで、上記の動画アルジャジーラのレポーターのラムゼイ(イギリス人)に言われたことをふと思いだしました。
「次はアメリカのヒット・チャートに曲を入れろよ」
すると、それまで想像もしなかった無謀な考えが浮かびました。
「そうだ、名前のあるレーベルに売り込んで、中国でもかかるようなアルバムを出させてもらおう」
米メディア音楽での熾烈な競争を知れば知るほど、レーベルからアルバムなんて不可能なことがわかってきます。売れっ子のトラックメイカーですら、そんな野望?を持つ人は千人にひとりでしょう。
そんな中、いくつもの苦い失敗から得た経験則で方法を工夫し、レーベルに直応募。運良く2つのクラシック・レーベルから声がかかりました。(そうした裏情報なども、記事に書いています。)
私はよく落ちているから、「また落ちた」が屈辱なのは知っているし、いくら落ちても慣れません。
なのにこんなこと↑を言うのは、今日書いたように、探せば抜け道はあるから。「どうしても」の一念に素直に従えば、なんとかなるのを経験してきたから。
その一念は、運命をガイドするラジオ放送。きっと、きっと、溢れる思いをしかるべき方向へと導いてくれます。
先月(2022/1月)リリースのセカンド・アルバムでは、アニーのお下がりのハイヒールを着用↓。センス抜群でしょう?
ニューアルバム中で、Shazam(街中やラジオ等で流れた曲の曲名検索)が一番多い曲。
アニー、私のピアノ曲は中国でも聴かれてるみたい! (Apple Musicのストリーミング再生累計↓)
ラジオとかでジャンジャンかかるのはまだだけど、待っててね!
プロフィールなんて当てにならない
これまで、人生の要所で「運命のラジオ放送」とも言うべき友人や同僚の一言に導かれて、ようやくここまで来ました。
けれど、「ここ」ってどこ?
ウェブのアルゴリズムから判断なさるグーグル先生によれば、私の肩書きは Japanese pianist →Japanese musician →Musical artist →そして冒頭で書いたようにMusical composer(現在)と、数か月ごとに変わっています。
(どれが本当? 笑)
こうしたラベル付けって、微妙にストレスでは? とくに「子どもを産んだら、お母さん」とか決めつけられたりする女性にとっては……。
そのせいだけではないですが、私はメンタル不調の常連。ゆえに心理学は必需品でした。
2016年には米国ノースダコタ大学にて、心理学の専門単位を取得。現在はエール大学の最新にして最人気科目 ”Science of Well-being(しあわせの科学)”を履修中です。(いずれもオンライン)
「何を成功と感じるか」の心理を、メンタル研究最前線で学び中。移動途中に駅ビル内の定食カフェ「おぼんdeごはん」さんでランチは、美味しくて大成功!
ことほど左様に、世で言われる肩書きも評価も当てになりません。多様ジャンル乱立の今どきは、「名乗ったもの勝ち!」みたいなところがあるし。
私も自分が誰なのかあまり分かってはいませんが、どうでもよくなってきました。
なので、今プロフィールに書きたいことは、以上のような自分語りだけ。お読みいただき、ありがとうございました!
YouTube: https://youtu.be/UsAv0OASIbY
ブログ: https://www.yumenopiano.com/
⭐︎目標のアーティスト: 初音ミク
⭐︎好きなピアニスト: ユジャ・ワン、ヴィキングル・オラフソン、カティア・ブニアティシュヴィリ
⭐︎好きな食べ物: ラズベリー、くるみ、栗、春雨、春巻き
⭐︎好みの音楽はこんなふうに雑多。トレンド曲と、たまに古い曲も。ようこそ無法地帯へ!(最新フィーチャーは中島愛ちゃん♡ 2021年11月〜2022年2月)