【東京科学大】大学を入り口にしたプラットフォーム
大学を入り口にした研究開発系プラットフォーム
「東工大と東京医科歯科大が東京科学大になる」という話は、皆さんご存じと思います。
ただ、話題の多くが「大学名がFランくさい」というのは、ちょっと残念ですね。
東京科学大と呼ぶとすぐに話がそっちの方に行ってしまうので、本記事では「Science Tokyo」(サイエンス東京)としましょう。
で、今回の統合をどう見るかですが、「大学は全体の一部」と考えると、Science Tokyo の今後が見えやすくなります。
この構築プロセスにおいて「東京工大と東京医科歯科大は解体されて、プラットフォームの基盤(コアリソース)として再生される」というのが、シンプルな理解です。
大学統合とか理系総合大学の誕生といった教育・受験業界のアングルからでは見切れない部分や筋書きがたくさんありそうです。
なぜならば、シナリオの始点が『戦略産業基盤の創造』だからです。
国際卓越研究大学に選ばれるの?
これは2校統合の「大義の御旗」のわけですから、Science Tokyo としても最優先の公約として取り組んでいくと思われます(経営トップの所信)。
ただ、そこでのコアテーマである『医工連携』は、旧帝大であればどこでも大学内のプロジェクトとして取組める話です。事実、国際卓越研究大学の認定候補である東北大も「地域医療」をかなり前面に出しています。
となるとScience Tokyoとしては、一歩も二歩も先を走って(つまり「やりたい」ではなく「やってます」状態にして)、他の追随を許さないポジションと優位性を示しておかなくては勝負に勝てません。
この辺は時間との勝負。そして、目玉になるテーマや研究者、企業、資本をガバッと集める経営手腕の巧拙がポイントになります。
生活者と向き合う大学になってほしい
こうした本筋での展開とは別に、Science Tokyo に対して密かに期待していることがあります。それは「子どもたちに未来を見せてほしい」ということです。
インターネット社会になって、私たち一般生活者も情報量が飛躍的に膨らみました。そしてアッという間に拡散・共有されるようになりました。
その影響もあって、社会や生活が効率的になったり無駄を省くといった方向を強く打ち出してきたことはいいのですが、一方で、大人も子どもも「結果や前進感を伴わないことには手を出さない」風潮が広がっているような気がします。
「目的やゴールをもたない時間の過ごし方」というのは、実は、思索や人生の余白としてアイデアやエネルギーを生み出す源泉にもなっています。
日頃アレコレ忙しくしている子どもたちに「無為に過ごす時間の大切さ」を伝え、「未来を見せる」機会をもっと増やしてくれたら。そんなことをScience Tokyo には期待しています。
Science Tokyo が産業人材の育成や新成長分野のエンジンとしてだけでなく、一般の生活者や子どもたちにも目を向けて、
『技術と科学を分かりやすく伝えるUX』の場となり『子どものうちからの次世代人材の育成』を推し進めてくれる役割も担ってほしい、と願っています。
旧帝大など既成の大学にはできないこと、それは『産業と生活をつなぐ架け橋』です。
<2年前に書いた記事>
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?