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神奈川の中学2年生「10人に1人が貧困家庭」

 中学2年生の子供がいる神奈川県内世帯の貧困率が10.1%に上ることが、県が初めて実施した調査で明らかになりました。子供の貧困は学力や進学率と相関関係があるとされ、黒岩知事は分析結果を施策などに反映させる考えを示しました。貧困率は、2022年の世帯所得の中央値の半分(187万5千円)以下で暮らす世帯の割合を示しています。日本の貧困率が高い理由として、高齢者人口の増加が挙げられますが、その面倒をみる労働世代の経済的負担が増え、親の介護費用や生活費、年金など、支出が増えることで経済的に貧しくなる人が増えています。そのほか、「ひとり親世帯の増加」が挙げられます。離婚や未婚の親が子供を単独で育てるケースが多くあり、ひとり親が家計を支える責任を一身に負うことが多いです。特に母子家庭の場合は、子育てと仕事を両立することが難しく、労働環境に制限が生じやすいため、貧困率が高い傾向にあります。
 そして、貧困は循環すると言われています。貧しい家庭に生まれた子供が、教育機会に恵まれないことなどが原因で大人になっても低所得の仕事につく結果になり、格差が固定されてしまいます。2014年に「子供の貧困対策の推進に関する法律」が成立して以来、政府は「教育の支援」「保護者の就労の支援」「生活の支援」「経済的な支援」を柱に、様々な対策を進めています。数値を見れば、日本全体の貧困率、子供の貧困率、ひとり親世帯の貧困率は改善しています。それでも昨年7月に厚労省が発表した日本の最新の貧困率は、3年前に比べて改善したものの、米韓にも抜かれ、先進国の中では最悪となっています。日本の子供の貧困率は11.5%、ひとり親世帯の貧困率は44.5%で、日本全体は15.4%です。国民全体では6.5人に1人が貧困、子供は8.7人に1人が貧困であるのに対して、ひとり親の2人に1人が貧困で依然として高い。日本の貧困は以前より改善されているものの、諸外国よりも貧困の割合が高いこと、そして、ひとり親の貧困の割合があまり改善されていないことに大きな問題があるように感じます。
 しかし、問題はそれだけに留まらないです。国民生活基礎調査において、日本の相対的貧困は郡部、町村居住者が多いとされ、都市部にから離れた地域に多いと考えられていました。それが、今回、神奈川県の調査では10%を超えるのは信じられない数字だと思いました。実態をつかみにくい難しい問題ですが、全国的に確実に子供の貧困率は増えていると思います。子供の貧困率を放置すれば、経済的損失は約42.9兆円にものぼると日本財団は発表しています。貧困家庭の子供の学習の機会が失われることで就職に影響が出、収入を十分確保できず、税金・社会保障の支払いに支障をきたすからです。日本社会にとって負の循環をこれ以上生み出さないため、また、子供たちの将来の希望を取り戻すために、ひとりでも多くの子供たちを貧困から救い出さなければなりません。子供は国の未来を表すのですから。
 興味深いことに、アイスランドやデンマーク、ノルウェーといった北欧諸国では、すべての年代と子供の貧困率が低く、高齢者はむしろ全世代の平均を下回っています。手厚い福祉制度が整っているため、高齢者の貧困率は特に低い傾向にあります。日本ユニセフ協会が発表した、先進国の子供の貧困率では、国の所得中央値の60%に満たない世帯に暮らす子供たちは、2018年時点で平均20%。5人に1人の子供が貧困に陥っています。北欧を中心に割合が低いものの、それでもおよそ3人に1人は相対的貧困層です。エストニアや韓国のように、国によっては年代の差が大きく、全体的に働く機会の少ない子供たちや高齢者が貧困に陥りやすいのも現状です。先進国でも米国やオーストラリアもまだまだ比率が高く、世界で貧困をなくす課題に向けて、各国が長期的に取り組まなくてはならない状態です。日本は、労働人口が減少する中で、高齢者を支える負担が今後、ますます高くなることが予想されます。高齢化社会とひとり親世帯の増加に対する対応策を急務とし、子供の貧困率を抑える一層の解決策が急がれると思います。

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