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お弁当をつくる


お弁当をつくる。

わたしだけがワクワクするようなお弁当を。

母が作ってくれたお弁当も好きだけれど、
時々嫌いなこんにゃくの辛い煮物が入っている。マヨネーズがべったりついたいんげんも入っている。

私はそれを入れなくて済む。


一人暮らしを始めて、初めて自分だけのためにお弁当を作った。
残り物も含めて、私しか作っていない。

そのお弁当は私だけが見て、私だけが食べる。

憂鬱な仕事の合間の、1時間だけの自由な時間。
それに添える、お弁当箱。

どんなものを詰めたっていい。

お弁当用に小さめのハンバーグを作って冷凍した。
お昼に食べたら、ニンニクが効いていて、歯磨きをした後も腹からニンニクの匂いが上ってきた。

分量にすりおろしニンニク1/2かけって書いてあったのに、あまりにもするする下せてしまうもんだから、1かけいれてしまった。

それも、私しか知らない。



祖母が文化鍋をくれた。

炊飯器を買わず、土鍋でお米を炊こうとしていた私に。

白ごはん.comに載っていた「ご飯の炊き方」でも同じ文化鍋を使っていて、嬉しくなった。

沸騰すると、カタカタと音を立てて、ハッとする。

久しぶりに祖父母に会い、もらったお鍋でお米を炊いたよと報告したら、うるさいだろう、と祖父が笑っていた。

わたしはそれが好きだよと答えた。


だからやっと、お弁当を作ってみた。

お米を研いで、給水のために時間を置くこと。

時間を測って、火加減を調整すること。

面倒くさくて、愛おしい。

手抜きだとしても、私の好きなおかずだけが入っていること。

私だけに特別であること。

誰に見せるでもなく。

そういったものをもっと大切にしたいな。





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