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アルコールと睡眠~忘年会シーズンに向けて~

11月に入り紅葉が綺麗になり、日の出は遅く、あっという間に暗くなる、そこかしこにはクリスマスのムードも漂い始めて、いよいよ年末に向かっていく感じがしてきましたね。

10月に緊急事態宣言が解除され、飲食店では、久しぶりとなる酒類の提供も可能となりましたね。

例年であれば、恒例となっていた忘年会という行事も、ここ2年近くは自粛という状況もあり少し寂しい思いをしていた方も多いのではないでしょうか。その為、今年は各地で忘年会・新年会を楽しんでいこうという風潮もあり、次のような呼びかけが話題にもなりました。

そんな風に、年末に向けて少なからずお酒をたしなむ機会は増えていくのかなと思いますので、今回はアルコールと睡眠について触れていきたいと思います。

お酒を飲むと眠りやすくなるのか?

答えとしてはYESとなります。

明確に寝つきをよくするという直接的なデータは見つけられなかったのですが、アルコールには中枢神経抑制作用があること1),2)眠気を誘発する物質・アデノシンというものを、アルコールは急激に増やす作用があること3)、睡眠リズムを計測したデータ(次の図など参照)、などから判断すると寝つきをよくするという効果はあると考えられています。

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図を見てわかるように、寝る間際に飲酒すると、眠り始めた最初の段階で通常のレム睡眠よりはるかに深い眠りとなり、その後通常のレム睡眠よりさらに眠りの浅い「リバウンド効果によるレム睡眠」がやってくるので、身体はそうした異常事態を何とか収めようとする。図及び文の引用元:お酒を飲んでから寝るのが身体にアブない これだけの理由【『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』】

その為、昔からナイトキャップなんて言い方もしますが、寝る前のちょっと一杯のお酒というものが、寝つきをよくするための方法として活用されてきました。

特に日本人は眠れなくて悩んでいる場合に、病院に行くこともないし、カフェインを控えるわけでもなく、睡眠薬も使わずアルコールに頼る方が多いという調査結果があります。

逆に、他の国では医師を受信するというのが一般的なんだなぁというところが違いとして大きいなぁという印象をもちました。

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世界の先進国、新興国10カ国の「眠れないときにどうするか」調査を行った結果。画像参照元:寝る前のナイトキャップ、本当に効果的?お酒と睡眠の正直な関係

そんなアルコールには寝つきをよくする効果以外にも、いくつかのメリットがあると言われています。

アルコールのメリットとは?

①血行促進

一般的によく言われているのが血行促進効果ですね。寒い時の甘酒なんかも体を温めてくれる気がします。

お酒は血管を収縮させて血圧を上げることもあれば、逆に血管を拡張させ血圧を下げることもあります。我々が普通に家庭で飲む量ですと、少量のアルコールは血管を弛緩させて血流をよくするというのが一般的です。これは、アルコールが代謝されてできたアセトアルデヒドという物質が血液中に増えて血管を拡張するために、血管抵抗が減って血圧が少し下がるからです。飲酒 ドクターサロン56巻12月号(11. 2012)

②ストレス緩和

お酒を飲むことでリラックスした気分になるのはアルコール自体の効果と香りによるアロマ効果があるのだそうです。

お酒を飲むと気分がよくなるのは、アルコールが「理性の座」ともいわれる大脳新皮質の働きを鈍くするからです。それによって、感情や衝動、食欲、性欲などの本能的な部分を司る大脳の古い皮質(旧皮質や辺縁系)の働きが活発になり、精神が高揚し、元気も出てきます。 また、ワインやウイスキーなどの香りにはリラックス効果が、ビールの原料・ホップの香りには気分を落ち着かせるなどのアロマ効果があります。

③ビール、ワイン、日本酒などお酒に含まれる栄養素

ビールには、アミノ酸、ビタミン、ミネラルといった栄養素を豊富に含んでいる。また、ビールと健康の研究結果によると、ホップに含まれる「キサントフモール」は、動脈硬化の予防や善玉コレステロールを上昇させる働きがあるという。(4

赤ワインは抗酸化作用を持つポリフェノールを豊富に含み、動脈硬化などを防ぐ効果が期待されるほか、認知症の予防効果、さらには寿命を延ばす可能性があるという報告があるなど、健康効果は盛りだくさんだ。白ワインは低糖質 しかも赤より殺菌効果が強力だった
日本酒には、アミノ酸・ビタミン・ミネラル・有機酸などのさまざまな栄養素が含まれています。特に、人間の身体に必要なたんぱく質の元となり、健康維持には欠かせない栄養素である「アミノ酸」は、アルコール類の中で日本酒にもっとも多く含まれています。日本酒は血行促進だけが効能じゃない?日本酒の意外な健康効果とは


ここまで見るとお酒はいいことづくめなような気がしますが、眠れないときはお酒を飲んでいいのか?というと、実際には次にあげるデメリットの方がメリットを上回る為、ほぼ間違いなく寝るための飲酒は良くないとされています。

アルコールのデメリットとは?

①眠りが浅くなります。アルコールが分解されたのちに、アルコールの影響がなくなると覚醒しやすくなることが一つの要因です。

②血液中にアルコールが入っていて、それが無くなると、体内の水分が失われて脱水症状のような状態になることが危惧されます。

③脳がマヒすることで、身体の緊張が普段より緩んだ状態になり、あご周りの筋肉などが緩んで「いびき」「無呼吸症候群」のような状態になりやすくなるとされています。

④お酒を飲んですぐに寝るとトイレに行きたくなるので、中途覚醒・早朝覚醒しやすくなるされています。

これは、睡眠中にバソプレッシンという抗利尿ホルモンが働かないからだ。私たちは、このホルモンのおかげで、睡眠中にトイレに行かなくてもすんでいる。しかし、アルコールには、このバソプレッシンの分泌を抑えてしまう作用がある。そのため、夜中にトイレに行かざるを得なくなり、睡眠が妨げられてしまう。引用元:寝酒がダメな理由


⑤アルコール摂取が長期化すると、肝障害、アルコール依存症などが危惧されます。アルコールは容易に耐性を形成し、同じ量では入眠できなくなるため、次第に摂取量が増加する可能性があります。

といったような5つのデメリットが想定されるので、眠れないからと言って、眠るためにアルコールを摂取するというのは、中・長期的に全くメリットがなく、絶対辞めたほうが良いと言えます。

とは言え、社会的メリットもあるお酒でもありますし、時には飲みたいのも確かです。習慣的に寝るために飲むというのを避けるようにしつつ、お酒を飲むときには上手な飲み方を意識してみてください。

お酒の上手な飲み方:

①水分をしっかりとる

チェイサーや和らぎ水なんて言い方もされますが、お酒と一緒に水を飲むのが大切です。

理由は、アルコールには脱水作用があり、二日酔いの原因の1つである脱水症状を引き起こす可能性があります。脱水症状の対策として、熱中症予防やスポーツの際などに飲むスポーツ飲料は脱水症状を解消するための働きがあります。

これについては、私も思い込みでスポーツ飲料と一緒にアルコールを飲むと、「アルコールの吸収も早まるんじゃないか」って思っていました。ところが、実際にはそんなことは無いそうです。以下、ポカリスエットのサイトより。

“アルコールと一緒にポカリスエットを飲むと早く酔う”と勘違いされている方もいるようですが、これは大きな誤解です。ポカリスエットは水分をすばやく吸収するといった試験データはありますが、アルコールの吸収を速くするという報告はありません。引用元:お酒を飲んだ時こそ、ポカリスエット

②一緒に食べるものがポイント

飲み始めの段階で適度に脂質とタンパク質を含むおつまみ、例えばチーズやナッツ、枝豆、納豆などを少量食べるといいそうです。

③寝る前3時間を目安にできるだけ時間を空けて飲むようにする

就寝3時間前までには飲み終えるようにしたい。3時間の猶予があれば、睡眠への悪影響をかなり小さくできると言われていますが、6時間前に飲んだアルコールが睡眠の質を落とすとも言われており、出来るだけ早めに切り上げるに越したことはないということですね。

薬用養命酒という選択肢

眠るために飲むというよりは、健康のため一環として取り入れる方が多いのではと思います。実際に、養命酒を飲むことでよく眠れたという声はよく聞きます。

私の妻や仕事先の女性からも、養命酒で寝起きが良くなったという話も聞きます。冷え性などの改善によるところもあるのかなぁと思いながら聞いていました。養命酒は嗜好品としてのお酒とは違って、用法・容量をきちんと守って飲むことが大切ですよ。

薬用養命酒は自然の生薬が溶け込む薬酒です。ケイヒ・コウカ・シャクヤクといった体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする生薬の薬効成分が、血行とともに体内を巡り、新陳代謝を活発にします。手足などの末端・腰や肩が冷えてつらい方、たまった疲れでお悩みの方におすすめします。

養命酒製造が作っている入眠セレモニーというページも寝る前の習慣の参考になります。

睡眠スコアとお酒の関係


睡眠スコアを測定していると、お酒を飲んだ方がスコアが良いなんてことがあります。

先に載せた、アルコールが体に残った状態の睡眠リズムが時としてはハイスコアの要因になるのかと思います。前半に深い睡眠が表れて、その後、起きぬけに浅い睡眠になることにより、短期的には、スコアは良くなるかもしれませんが、中・長期的には健康を損なう可能性が高いので気を付けましょう。

高いスコアと日中のパフォーマンスが連動していれば良いのですが、日中の疲労感、眠気、集中力、気分といった主観との差異も見ておくといいかなと思います。

最後に

基本的には眠れないときに眠るためにお酒を飲むというのは全くお勧めしない方法ということが分かりました。

私自身、睡眠で悩んでいたころに睡眠専門のクリニックに通って、一定期間の検査を受けました。その時に、お酒を飲んだ夜は著しく睡眠の質が落ちていること、その原因が「いびき」が発生しやすくなることだということを教わりました。

こうして、睡眠の質が阻害されるということは体験的にも感じていたので、普段はアルコールは極力飲まないようにしています。

とは言え、私自身、お酒を飲むのは好きですし、ご機嫌に暮らしていくという上ではお酒の席や、お酒を飲んでリラックスする時間も大切だなと思います。

飲まなくても良い時には最近よく見かけるようになったノンアルコール飲料などを飲んで紛らわせるというも方策かなと思い、ノンアル飲料をよく飲んでいます。

ノンアルコールビール以外にもノンアルワインや酎ハイについても書かれていて参考なるのがこちらのnoteです。

参考までに、以前に私の書いたノンアルコールビールのおすすめnote

お酒とも上手に付き合いながら毎日皆さんがご機嫌で暮らせますように~。

眠れないからと言ってお酒に頼る前に、習慣を見直すことで改善される部分もあります。睡眠習慣の改善についてご相談受付中です。

睡眠が変われば人生が変わる
睡眠研究家みんたつ


アルコールと睡眠についての参考元:

1)アルコール依存に関連する睡眠障害
2)アルコールの作用|e-ヘルスネット
3)寝る前のナイトキャップ、本当に効果的?お酒と睡眠の正直な関係
4)朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる
5)お酒を飲むと眠れる?
6)睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版 p.143各論Ⅱ「1-4.アルコールとし好品について」
7)日本人の信じる寝酒神話…医師が「缶ビール」で実験してみた
8)寝酒がダメな理由
9)酒は百薬の長のはずでは? 少量でもNGの最新事情
10)「お酒は少量なら健康に良い」はウソだった?

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