在宅酸素と最後の輸血

悪循環が止まらない

退院して顔色がよかったのはほんの1週間くらい。処置中の出血量がすごくて、あっという間に輸血・点滴の貯金はなくなってしまいました。血がなくなると、処置中も出血しなくなるんですよね・・・出血が少ないと処置はしやすいのだけど、本当に悪循環。そして、退院から2週間後の外来でアルブミンの点滴をしてもらいます。でも、点滴をしても元気になることはもうなくて、パンパンに浮腫んだ顔は真っ白。次の外来ではさらに貧血も進んでいて、ヘモグロビンは過去最低の2.9になっていました。前回の入院からまだ3週間しか経っていません。

ここまで血が少ないと酸素が十分に運べないということなのでしょう。呼吸数も増え、息苦しそうになってきているので、在宅酸素を導入してもらうことになりました。ヘモグロビンの数値から輸血も必要ですが、主治医の先生からは、もう前のように回復はしないだろうというお話がありました。それでも、最後にもう一回だけ輸血をお願いすることにしました。

前回入院前に、いつまでも輸血や点滴は続けられはないというお話をされていたので、本当だったらこの日に「最後」を覚悟し、輸血をしない選択をするべきだったのかもしれません。真っ白な顔でも、生きている娘を前に、輸血をしないという決断はできませんでした。

最後の輸血

4回目の入院です。入院してすぐ輸血を開始しましたが、開始して20ccくらいのところでまた漏れてしまいました。もうルートをとれるような場所はほとんど残っていません。主治医の先生には、ルートが取れなければもう輸血はしなくていいと伝えました。それでも2時間近く粘っていただき、わずかな隙間から輸血をしてもらえることになり、残りの30ccを入れることができました。顔色もよくなって、呼吸が早いのも落ち着きました。

次に貧血が進んでも、もう輸血するのは辞めようと決めました。両腕ともほぼ全面が糜爛になってしまいました。顔色がよくなった娘を見ると迷う気持ちもあるけど・・・もう輸血したからといって、全身状態が改善するような余力が残っていないのは明らかです。それなのに、死ぬまで治らないであろう傷を増やしてまで、無理して輸血するメリットはないと、やっと現実を見ることができました。
同時に、この入院は娘が苦しい時間を引き延ばしてしまうだけだったかもしれないという後悔の気持ちも湧き上がってきました。それでも、入院前の段階で「もう何もしなくていい」とは言えなかったなと思います。

酸素マスク

入院中に酸素マスクを使用し始めました。酸素マスクをつけることはできないので、寝ている口元にマスクを置いておく形で使用します。何もしない状態でも酸素濃度が90を切っていることはなかったので、近くに置いておくだけでも十分そうでした。また、沐浴中は酸素マスクはつけずに手早く終わらせるようにしました。
酸素濃度の計測は、そもそもプローブを装着できる場所が片足のみだったので、そこも糜爛にしてしまわないよう、1日数回計測の時だけモニターをつけるようにしました。

最後の入院は短めの4日間。モニターと携帯用酸素ボンベをお借りして、退院しました。自宅で使う酸素ボンベや酸素濃縮装置などはメーカーの方が自宅まで運んでくださいました。

退院してから、輸血もしたし、酸素マスクもあるし、呼吸音はとても静かになっていました。モルヒネのお薬もあるし、まったく息苦しそうな様子はありません。年末に病院が閉まっている間に何かあったらと心配だったので、自宅でも快適に過ごせそうで安心できました。

ベビーベッドの周りが機械だらけになったので、息子が触らないかと心配しましたが、特に興味を示すことはなかったです。

在宅で使っていたもの


●生体情報モニター(?)
入院中にベッドサイドに置いてあるモニターの在宅用サイズのもの。1日数回、酸素濃度や脈拍を測ります。

●酸素濃縮器・携帯用酸素ボンベ
酸素濃縮器はおそらくこれと同じもの。帰宅時間に合わせて来て、設置してくださいました。毎日ボンベの交換をしたりするのかと思いきや、電源コード繋いでスイッチを入れて、処方通りの流量にするだけの簡単操作でした。通院時に使う携帯用の酸素ボンベも運んでいただき、なくなりそうになったらまた持ってきてくださるそう。

●栄養ポンプ
前の入院中からアミカの経腸栄養ポンプをお借りしていました。注入速度が速くなりすぎてむせることがあったので相談すると、自動で注入できるポンプが借りられるとのこと。(ミルクの注入だとNGのはずですが、栄養剤に変わっていたので借りられたのかな?)一定のスピードで注入できてむせなくなったし、高低差を付けにくい車の中でも注入できるし便利でした。

●訪問看護サービス

訪問看護の利用日数も当初より増やしてもらいました。NICU退院当初は週3日でしたが、栄養剤の投与が始まってからは日数が増やせることになり、通院以外の日は来てもらえるように。(栄養剤チューブの交換などが医療ケアになるから?)

これらすべて保険適用なんですよね。乳児医療証もあるので、在宅療養に関しての負担はヘルパーさんの利用料だけで済み、本当にありがたかったです。

医療費の負担はなくても


乳児医療証もあるので、診察やお薬・治療費の負担は0ですが、入院中のミルク代・付き添いのベッド代・食費・病院までのガソリン代等が積み重なると意外とお金が出ていきます。(小児慢性特定疾病の対象なので、入院中のミルク代は半額になります。)

付き添い入院中の私の食事は、お弁当も頼めるけどなるべく安くしたいとインスタント食品ばかり食べてたからか、後半は肌荒れ、口内炎、謎のアレルギー症状に悩まされました・・・。うちは途中から夫も育休を取得したので息子のシッター代などは不要でしたが、預け先に困るご家庭もありますよね。そもそも病院が通える範囲ばかりとも限らないでしょうし。

育児休業中なので、育児休業給付金は入ってきますが、生活費と息子の保育料で消えていくくらいの金額しかありません。保育園に預けられないと復職はできないし、夫だけの収入で、娘のケアをしながら息子の将来のことも考えた生活をするとなると・・・。医療的ケア児を抱えるご家庭の厳しさも、娘が生まれて初めて知ったことでした。

隣にマクドナルドハウスがある病院でした。マックで募金箱は見たことあるけど、こんな身近にあるとは知りませんでした。

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