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映画・ドラマのレビュー

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映画・ドラマ・ドキュメンタリーなど鑑賞した映像のレビューと、作品から感じたことを綴ります。(ネタバレあります)
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#愛の不時着

ユン・セリとホン・チャヨン ヒロインが表現する可笑しみについて

ドラマを鑑賞する上で、ヒロインのキャラクターはとても重要。 嫌いなタイプのヒロインだと感情移入が難しく、結果として途中で挫折しかねない。 ちなみに私は「強い女」がヒロインのドラマが好み。 ウジウジメソメソな弱い女がヒロインだとイライラして体に悪い。 そう言う意味で、「愛の不時着」のユン・セリは完璧だった。 類い希な美貌はともかく、社会的地位が高く自立している彼女はまったくもってステレオタイプなヒロインではない。 また、頭の回転が早く合理主義者。つまらんことでグダグダ悩んだ

40歳、迷走の先には光が見える 『チャンシルさんには福が多いね』

絶対観ようと心に決めていた作品「チャンシルさんには福が多いね」。 なんだかめでたいタイトルも気に入った。 この物語の主人公であるチャンシルさんは、映画プロデューサーとして仕事に人生を捧げてき40歳、独身、恋人なしの中年女。 ある日、一緒に仕事をしていきた監督が急死し突然失業することに。 それだけではない。自分は映画製作に欠かせない重要な役割を担ってきたと自負していたのに、他人の評価はそうでないことを知りショックを受ける。 おまけに生活苦。 仕方なく、妹のように可愛がっ

2020年ー韓国ドラマの旅+αを振り返る

今年も残すところ10日余り。 在宅生活が本格化した2020年3月から、Netflix、Amazon Prime、U-NEXTといった動画配信サービスを使い、本当にたくさんの映画やドラマを鑑賞した。 本日時点で映画は100本越え、ドラマは26本を完走。 まだ2020年は11日あるので映画鑑賞数はもう少し増えるだろうし、ドラマも現在鑑賞中の2本を観終えたら28本完走という事になりそう。 今年のようにほとんど家に篭っている年なんてそうそうある訳ではないと思うので、コロナ下で観

「リ・ジョンヒョクへの想い」半年後の熟成度ー『愛の不時着』

「愛の不時着」に出会ってから、もう直ぐ半年が経とうとしている。 このドラマを完走してからしばらくは、ほぼ毎日欠かさずリ・ジョンヒョクに会いに行っていた私。 そこから韓国ドラマの世界へ足を踏み入れ、たくさんのドラマを鑑賞した。 そして原点に帰るべく、先日久々に通しで「愛の不時着」を鑑賞してみた。 ここでは、そこで感じたリ・ジョンヒョクへの想いを綴ってみる。 1. なぜ リ・ジョンヒョクに何度も会いたくなるのか以前「なぜ リ・ジョンヒョクに何度も会いたくなるのか」というタ

『愛の不時着』脚本家パク・ジウンの作品からみるロマコメに不可欠な要素と、『愛の不時着』との比較

ドラマが面白くなるかどうかは脚本次第。 「愛の不時着」にどっぷりハマっている私としては、このドラマの脚本を書いたパク・ジウンの他の作品がとても気になっている。 そこでまずは「星から来たあなた」と「青い海の伝説」を完走。 この二つのドラマには「愛の不時着」でも登場する、パク・ジウンならではの、ロマンティックコメディに不可欠なエピソードや設定が数多く盛り込まれている。 制作の順番を考えれば、二つのドラマで使われたこれらの要素が「愛の不時着」でも健在と言うのが正当な見方だが、

ヒョンビン演じる主人公たちに惹きつけられる理由

「愛の不時着」沼に落ちて以来、ヒョンビンの主演映画やドラマを片っ端から鑑賞した。ドラマ6本、映画6本を2ヶ月で完走したのだからなかなかのハマりっぷりだと我ながら思う。これに加えて愛するリ・ジョンヒョクに会うために、1日1回は「愛の不時着」のお気に入りシーンを鑑賞するルーティンも継続中。 さて、過去のヒョンビン主演の作品を観ながら、ヒョンビン演じる主人公たちのリ・ジョンヒョク的な部分を無意識に探している私。 当たり前だが同じ人間が演じているので、笑顔やしぐさなど似ているとこ

『愛の不時着』 愛すべき脇役たちについての考察

「愛の不時着」への愛ゆえに、メイン登場人物4人それぞれの考察や感想をnoteに書いた。 それらの記事のアクセス数から分かったことは、人々の関心は「リ・ジョンヒョク」に集中しているということ。「リ・ジョンヒョク」に関する想いを書いてから2週間だが、それよりも前に書いた「ユン・セリ」「ソ・ダン」の記事のアクセス数を投稿から3日で悠々と抜き、今や倍以上の差がついている。 記事の好みや良し悪しもあるので一概には言えないが、タイトル(登場人物の名前が入り)を観てアクセスをすると仮定

ツンデレの潜在能力は 「ツン」 と 「デレ」 の比率で決まる 『ジキハイ』からみる人はなぜツンデレに惹かれるか

ついにU-NEXTにも手を出してしまった。 こちらのラインナップにはNetflixやPrime Videoにない作品が数多くあって、しばらくは観る作品に不自由はなさそうだ。 まずは「愛の不時着」以来惚れてしまったヒョンビンの主演作品制覇を目指し、U-NEXT独占の「ジキルとハイドに恋した私」を鑑賞中。 このドラマは解離性同一性障害(多重人格)を患うソジンと、彼の副人格ロビンを中心に展開する。タイトルが軽やかなので明るいラブコメかと思いきや、中盤が意外に重い内容で良い意味

ワルになりきれないク・スンジュンが見えないところで『愛の不時着』を支える

「愛の不時着」への愛が止まらず、既に主役カップルであるリ・ジョンヒョク、ユン・セリ、そしてリ・ジョンヒョクの婚約者ソ・ダンについてのnoteを書いた。 そうなるとあと一人、忘れてはならないのがク・スンジュン。 「愛の不時着」において、ク・スンジュンは目立つことなく、または見えないところで物語を円滑に進行させる役割を果たしている。メイン登場人物たちが自分の人生に夢中になっている間に、彼は密かに次の展開に結びつくアクションをしているのだ。 ここでは、そんなク・スンジュンに焦点

なぜ リ・ジョンヒョクに何度も会いたくなるのか 『愛の不時着』

「愛の不時着」でヒョンビンが演じる「リ・ジョンヒョク」にハマっている。 このドラマを何周も観てしてしまう理由の一つは、彼に会いたいから。 はじめはリ・ジョンヒョクに恋してしまったのか、ヒョンビンに惹かれているのか判断がつかなかったが、結局のところリ・ジョンヒョクなのだと思う。 正確にはヒョンビンが演じるリ・ジョンヒョクに惚れたのだ。 ここでは、何度も会いたくなる(観たくなる)リ・ジョンヒョクについて深掘りしてみたい。 1. リ・ジョンヒョクという人生北朝鮮の将校であるリ

ユン・セリが出会った人生を変える恋と目的地への旅 『愛の不時着』

そろそろ「愛の不時着研究室」とか立ち上げたくなってきた。 「愛の不時着沼」から抜けられないことを受け入れてからは、一日最低一回は好きなシーンを拾い見するのが生活の一部となり、今やルーティンと化している。 ここでは、主役の一人であるユン・セリというキャラクターを深掘りしつつ、彼女がたどり着いた目的地について考えてみたい。 1. 生い立ちがユン・セリに与えた傷ユン・セリは韓国の財閥令嬢という設定。 しかし彼女は婚外子。育ての母であるユン夫人から疎まれて生きてきた。 また、

不器用なソ・ダンの気持ちになって考える 『愛の不時着』

いったい何周観たかわからないほど「愛の不時着」が私の人生を占領している。 リ・ジョンヒョクにすっかり恋してしまい、好きなシーンを再生したりYoutubeで関連動画を見つけては眺める日々。 ところで、ユン・セリとリ・ジョンヒョクの恋物語に集中し過ぎて忘れがちだが、多くの視聴者の心を捕えた理想の男「リ・ジョンヒョク」と婚約までしていながら振られた女がいる。 それが、ソ・ジヘ演じる「ソ・ダン」。 鑑賞数周目にしてようやくリ・ジョンヒョク以外のことを考える余裕ができたので、ここで

『私の名前はキム・サムスン』 それでも人は恋をする

「愛の不時着」で韓国ドラマの世界に足を踏み入れてしまった私。 特に私の理想の男「リ・ジョンヒョク」を演じたヒョンビンが気になり、彼の出演映画やドラマを鑑賞するのが最近の日課となっている。 先日、2005年の大ヒットドラマ「私の名前はキム・サムスン」を観了したのでその感想を余韻が消えないうちに書いておきたいと思う。 観た後に恋をしたくなるドラマ 「私の名前はキム・サムスン」はまだ初々しさが残るヒョンビンを堪能しつつ、三十路女子の気持ちに共感しながら楽しめるラブコメディー

『愛の不時着』からみる恋愛感情を持続させる3つの要素

「恋に落ちる」 それは恋の喜びとそれを失う悲しみの両方を受け入れること。 恋の始まりには永遠かとも思える恋愛感情も、いつか終わりが訪れる。 喜びと悲しみ。それが恋。 でも「愛の不時着」を見てふと思った。 本当にそうなのだろうか。 また一気に燃え上がる恋ほど冷めるのが早いと言われるけれど、これは普遍的な事実なのだろうか。激しい恋愛感情を少しでも長く持続することはできないのだろうか。 昔に比べれば経済的に自立する女性が増え、結婚しない男女も増加傾向だ。当然ながら男女の力関