参政党について
「参政党」は今回の参院選で初めて登場した新党だけど、この党の政策の主軸には帝国主義から来る「陰謀論」が根ざしている。
「ごぼうの党」の党首も、Abemaの選挙特番で似た主張を(延々と)語っていたけど、党サイト内に記載されている公約を読む限りは、それらの主義主張は盛り込まれていないので、こちらに関してはとりあえず割愛。
参政党
公約だけ読む限りは、そこまでおかしな事も言っていないように思えるかもだけど、実際に街頭演説などの動画で彼らの主張を聞くと、典型的な陰謀論で、参政党の支持者たちというのはこういう層なんだとすぐに分かる。
彼らのような陰謀論者は、近代から現代に至るまで、洋の東西を問わず、まず例外なく「国際(ユダヤ)金融資本」なるものの存在を警戒しており、それを根拠にやれ「ディープステート」だの「Qアノン」だの喚き散らし、今だと反ワクチンとかノーマスクを謳っているという特徴がある。
そして、いわゆるスピリチュアル系といった自然派の側面も併せ持つ彼らは、論理的な思考がまったく出来ないので、結果的に現実とは乖離した認識に至ってしまう。
たとえば、「無農薬野菜」が人体にとって健康的だと示すデータは今のところ無いし、また国の定める基準値以下の残留農薬が身体に有害だというエビデンスもない。
そして、戦後から野菜の栽培に農薬が広く使用されることになったが、そこから平均寿命も平均身長も伸びて、子供の死亡率も圧倒的に下がり、餓死者もほとんどいない。
このことから、「戦前よりも現代の日本人のほうが健康」だと認識するのがごく自然だろう。
こんなことは、事前の知識がなくても少し調べたら誰でも分かりそうだけど、陰謀論にハマる人というのは論理的思考が出来ない。
そんな状態でいくら本を読んでも、本人に自己検証能力が無いので、情報の正誤の区別がつかずに、書籍の内容を鵜呑みにしてしまう。
そして、陰謀論に関する書籍や言説は、そういう層をターゲットにしているので、より引っかかりやすいように、極端な方向に向かう。
自己検証能力というのは、形式論理学を触りでも勉強しないと向上しないので、人文系の本ばかり読み続けても、いつまで経っても身につかない。
「ユダヤ金融資本」なる陰謀論の発祥は、ナチス左派の反ユダヤ論から来ており、つまりは帝国主義の亜流である。
銀行家が政府を操っている→銀行家はユダヤ人ばかり→ユダヤ金融資本を排除すればドイツで社会革命が成立する! という三段論法で、これは昔から彼らがお得意のお家芸なのだ。
もちろん帝国主義はトンデモ論だけど、帝国主義を信じている左派からナチス的な要素を排除するのは不可能で、彼らの勢力が国内に広がり続けると、日本でもナチスが誕生する可能性は十分にある。
ドイツ労働者党は共産主義ではないだけで、特に左派は「ユダヤ人=金融資本とした、レーニンの帝国主義論を改変模倣している典型的な社会主義政党」であり、ここに「金融資本が政府を操っているという陰謀論(欧米の金融家にはユダヤ人が多い)」が結びつくとユダヤ人排撃が社会主義革命達成の条件という理屈になる。
そのナチスの思想と戦略を模倣している「参政党」と「ごぼうの党」はとても危険だ。
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