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責任転嫁症候群

皆さんの周りには、決裁者なのに自分で決断できない人はいませんか?

そういう人は「自分が決断した!」というシチュエーションを徹底的に避け、他の人を巻き込みたがります。その様子から、僕はこれを「みんなで決めたよね症候群」と呼んでいます。

「責任転嫁症候群」の症状

■決断にお墨付きをもらいたがる
決断するのに専門家のお墨付きを欲しがります。専門家はそれぞれの選択のメリット、デメリットは説明してくれるかもしれませんが、代わりに決断してくれるわけではありません。にも関わらず、それを聞き出せと部下に無茶を言うのです。

■「やりたいです!」と部下に言わせる
部下に「本当にやりたいのか?」と迫り、半ば強引に「やりたいです!」と言わせます。後々、うまくいかなかった場合に、「お前がどうしてもやりたいから、仕方なくやらせてやった」というためです。

■いちいち会議で決めたがる
答えは決まっていて後は決裁するだけ、という状況でもいちいち会議をしたがります。検討事項があるわけではないので、すでにみんなが理解していることをただなぞるだけの時間になります。すべては「みんなで決めたよね」というためです。

■うまくいかなかったら他人のせいにする
基本的に物事をうまくいかない前提で考えているので、決裁するにあたっては他人のせいにする材料集めに躍起になります。実際にうまくいかなかった場合には、ここぞとばかりにこれまで集めた材料を披露して根拠に他人のせいにします。

■うまくいったら自分の手柄にする
うまくいったときに一転して自分の手柄をアピールし出します。実際に決裁したわけですから手柄も否定はできませんが、症状がひどい場合には「周りは反対していたが勇気を持って決断した」とストーリーを捏造することすらあります。

「責任転嫁症候群」の原因

「みんなで決めたよね症候群」の根底にあるのは、「役職は欲しいけど責任は負いたくない」という矛盾した気持ちです。ただ、他人のせいにする材料を集めたところで、実際に責任が回避できるわけではありません。会社においては責任は立場で決まるものです。対等な立場でも無い限り、経緯はあまり関係ありません。そのことを理解せず、往生際悪く足掻いているだけなのです。

ただ、「みんなで決めたよね症候群」の真の原因は、そのような決裁者として不適格な人物に立場が与えられることにあります。その人物が問題というよりは、会社側の人選に問題があるのです。

「責任転嫁症候群」の予防

「責任転嫁症候群」になる人が決裁者として不適格だとされる要因は、スキルではなく仕事に対する姿勢にあります。これは研修ですぐに改善できるものではありません。だからこれは人選の問題なのです。

未だ役職者を現場からのエレベーター式で選任している会社が少なくありません。そういった場合には役職者としての資質・適切を見極める選任プロセスを導入することが望ましいといえます。

また、「責任転嫁症候群」は責任ある立場になった途端に顔を出す可能性もありますので、役職者のパフォーマンスチェックをおこなうことも重要です。

おわりに

スポーツの世界では、スキルだけでなくメンタルも非常に重視されています。僕はビジネスにおいてもそれは同じだと思っています。

しかし、会社においてはメンタル面にフォーカスすることはあまりない、というのが現状だと思います。僕は「企業の病」に関する活動を通して、メンタルを重視する風潮も広めるきっかけも作れればいいなと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

僕のnoteのマガジン【企業の病ファイル】には、「企業の病」の事例をアップしています。他の事例も読んでいただけると嬉しいです。

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