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ムラ社会病

皆さんの会社には、会社の慣習からハミ出た人を叩く風潮はありませんか?

そういった排他的な文化をムラ社会といいます。もともとは農村などの集落で見られる文化であったことから、そのように呼ばれるようになりましたが、会社がムラ社会的になっていることもあります。

【ムラ社会】
1 集落に基づいて形成される地域社会。特に、有力者を中心に厳しい秩序を保ち、しきたりを守りながら、よそ者を受け入れようとしない排他的な社会をいう。しきたりに背くと村八分などの制裁がある。

2 同類が集まって序列をつくり、頂点に立つ者の指示や判断に従って行動したり、利益の分配を図ったりするような閉鎖的な組織・社会を1にたとえた語。談合組織・学界・政界・企業などに用いる

引用元:https://dictionary.goo.ne.jp/word/村社会/

ムラ社会的な文化はかつて日本の経済が成長期にあったころは、一定の成果があったといわれています。ムラ社会は良くいえば、統制が取れているということになります。会社が大きくなる中で、新たに迎え入れた社員を適合させるにあたって、この文化が一役買ったというわけです。

だから、ムラ社会が必ずしも悪いものだとは言い切れません。しかし、現代は変化への対応力や多様性が求められる時代です。そんな中、ムラ社会的な文化が残存していると、会社の発展の邪魔をします。それどころか、中長期的には会社を沈没させる恐れすらあります。このような状態を僕は「ムラ社会病」と呼んでいます

「ムラ社会病」の症状

■慣習からハミ出た人を叩く
慣習の中で動くことこそが正義と考えているため、そこからハミ出るものはすべて悪とみなします。新しい試みをしようものなら、途端に批判の目を向けられます。それが会社のためになることであってもです。

■多数派が正解
「多くの人が考えていることが正解」という風潮、同調圧力があるため、それ以外の意見は基本受け入れられません。もはやあらかじめ答えが決まっているようなもので、会議などをする意味がないという状況になります。

■有力者の顔色を窺う
会社が前例にない局面に立たされた場合は、皆、社内の権力者の様子を伺います。「何が会社にとって良いか」ではなく、「有力者がどう考えているか」が何より重要だからです。例え、有力者の考えがナンセンスだったとしても、それに従うことがその組織での生き方になってしまっているのです。

■同調する人が優遇される
結果を出しているよりも、忠実な人が優遇される傾向にあります。特に有力者に気に入られるかどうかは、会社内での立場に大きく影響します。そのため、社員は成果をあげることよりも、社内政治やゴマすりに力を入れるようになります。

「ムラ社会病」の原因

「ムラ社会病」になる会社は、ムラ社会の中で出世してきた人が重要な役職に就いている傾向があります。それが彼らの成功体験となっているので、その下にも同じように村社会に適合することを求めるのです。

残念ながら彼らの成功体験は現代においては通用しないことが多く、そのようなスタンスで仕事を続けても、会社は力を失っていくだけです。ただ、ムラ社会の人たちは内部にしか目が向いていないという特徴があります。それゆえ、時代の変化に疎く、対外的に見て会社がまずい状況にあるということに気づいていないのです。

このような特徴から、ムラ社会病はその特徴から老舗企業がかかることが多い病だといえますが、実はそうとは言い切れないところがあります。それは学校がムラ社会的な文化になっていることが少なくないからです。そこで生活態度も含めて優等生とされていた人たちが集まるとムラ社会的な文化が新たに生まれる可能性もあります。

「ムラ社会病」の予防

「ムラ社会病」を予防するには重要なポイントが2つあります。ひとつは、成果主義を徹底することです。社内政治、ゴマすり等で優遇するといったことは一切認めないことが重要です。あまり前例はありませんが、こういった行為は「社内不正である」ということを明確にすることが望ましいといえます。

もうひとつは多様性を受け入れる姿勢を持つことです。最も有効なのは、採用時から意図的に異なるバックボーンを持つ人を受け入れるようにすることです。逆にいえば、同じような特性を持つ人ばかり採用していると、それだけがムラ社会が形成される可能性は高まります。

すでに「ムラ社会病」にかかってしまっている場合は、できることは限られていると言わざるを得ません。ムラ社会的な文化がある会社は、社内の有力者の意見が非常に強いという傾向があります。「ムラ社会病」の改善のためには、まず有力者が変化を受け入れることが重要となります。そのため、有力者を説得して動かすようアプローチすること望ましいといえますが、それでも彼らが頑なであるならば、残念ながら改善は難しいかもしれません。

おわりに

ムラ社会的な文化からは創造性が生まれにくいと言われています。一方で、今後、AIが実用化されてい中では、人がやる仕事は創造的なものに限定されていきます。ムラ社会は全面的に否定できるものではないかもしれませんが、時代の流れに対しては逆行していると言わざるを得ません。

会社のムラ社会化は、すでに色んな方が警鐘を鳴らしていますが、僕もこの活動を通してそれに貢献できればと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

僕のnoteのマガジン【企業の病ファイル】には、「企業の病」の事例をアップしています。他の事例も読んでいただけると嬉しいです。



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