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他責にするな病

皆さんの周りには、「他責にするな」といって責任を押し付けてくる人はいませんか?

自身の成長のためには、他責にしないことは非常に重要です。ただ、それはあくまで心構えの話です。会社の中では、この言葉が他人に責任を押し付けるキラーワードとして使われていることがあります。僕はこれを「他責にするな病」と呼んでいます。

「他責にするな病」の症状

■「環境のせいにするな」と言う
社員の生産性は、会社の環境にも大きく影響を受けます。環境については贅沢をいえばキリがありませんが、各事業において最低限整備すべき水準というものがあります。それを下回っているという問題提起すらも「環境のせいにするな」という一言で潰すのです。結果、社員は不便な環境のまま業務を行わなければならなくなります。

■「商材のせいにするな」という
自社の商品/サービスの問題点を挙げても「商材のせいにするな」といって意見を潰します。売れないのはすべて営業マンの力量のせいだと考え、商品/サービスの問題には目を向けないのです。

■「人手不足のせいにするな」と言う
明らかなリソース不足で業務に遅れが出ている場合でも、「人手不足のせいにするな」といって社員を酷使しようとします。リソース調整の責任を棚に上げて「もっと残業すればできるだろ」というのです。こうして激務な職場が作られます。

■「人をアテにするな」と言う
酷いケースでは、自分がミスを犯したときですら「人をアテにするな」「お前がやれば済んだ話だろう」といって、すべて相手の責任にすることがあります。これが管理職に対しての言葉であれば、理解できる部分はありますが、いち社員に他人のミスの責任まで背負い込ませることがあるのです。

「他責にするな病」の原因

例えば、Aさんが本当は自分に原因があるのに、会社や上司のせいにしているとしたら、「他責にするな」と指導すべきときもあるでしょう。

問題なのは、実際に会社や上司に責任があるにも関わらず、「他責にするな」といって自分の責任から逃げ、Aさんに責任を押し付けているケースです。僕が「他責にするな病」と言っているのは、このような行為が会社内でまかり通ってしまっている状態のことです。

現状をよく知らない人からすると「Aさんは実際に他人のせいにするヤツだから、そういうこと言われているんだな」と映ってしまうことが少なくありません。Aさんが「他人のせいにしているだけなのか」、「実際に会社や上司の責任なのか」は周りからすると非常に見分けがつきにくいのです。

そういう意味では、「他責にするな病」はマネージャーなりが現場の状況をよく把握しおらず、「他責にするな」発言を鵜呑みにしてしまうような職場でかかりやすい病だといえます。

「他責にするな病」の予防

「他責にするな」というのは心構えを指導する際に使われることはあっても、業務の中で使うのは相応しくない言葉です。利害関係がある中では、「他責にするな」という発言が何よりの他責だ、という矛盾が発生してしまうからです。

この言葉の意味がちゃんと理解され、安易に言ってはいけないという空気感がある職場は、「他責にするな病」にかかることはありません。

また、現状を理解している第三者から見れば、「本当に他責にしているのは誰か」は明らかです。マネージャーなりが「他責にするな」と言っている人の発言を鵜呑みにせず、現状を見極める姿勢を持っていることが重要だといえます。

おわりに

心構えとしての「他責にするな」は非常にカッコいい言葉です。しかし、使い方を間違えると非常に危険です。なぜなら、すべての責任を誰かに背負い込ませることになりかねない言葉だからです。

真面目で真摯に仕事に向き合っている人ほど、この言葉を真に受けやすく「自分のせいだ」と自分を追い込んでしまう傾向があります。最終的には、そういう人を潰してしまうことにもなりかねません。

だから、僕はあえて「他責にするな病」ということで、この言葉の危険性も広めていかなければいかないと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

僕のnoteのマガジン【企業の病ファイル】には、「企業の病」の事例をアップしています。他の事例も読んでいただけると嬉しいです。

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