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オンライン授業開始~第1回目のZoom授業実施その前に~

マイクロ人事部長の髙橋です。

昨年より、法政大学のキャリアデザイン入門という授業を担当させていただいているのですが、今年はコロナショックで春学期の完全オンライン授業実施が決定。

もちろん生まれて初めてのオンライン授業
140名近くの受講学生が、僕の授業を待ってくれています。

そして、いよいよ初のZoomミーティング

これまでの学生とのやりとり

じつは、授業開始は4/21から。このGW明けまで、大学が用意しているシステムで、学生とやりとりをしていました。でも、大学のシステムの拡充と、学生の通信環境が整わないということで、「Zoomなどオンラインツールを使った配信型の授業は避けるように」という条件がついていました。

うーむ。じつは、とても不安がありました
じつは、昨年も大学のシステムはあって、学生ともやりとりをしていたのですが、ほとんどの学生が、アクセスをしない状態
もちろん僕の情報発信が悪いのかもしれませんが、学生は「リアルな教室での授業接点で十分」と考えている節があり、ほとんどコミュニケーションができる状態ではなかったからです。

4/21の授業開始からやったことは、

①オリエンテーション資料の配布
②Youtubeを使った動画配信(オリエンテーション)
③Youtubeを使った動画配信(僕の自己紹介)
④掲示板での「自己紹介」コーナーの開設
⑤掲示板での「おすすめの本」のディスカッション(とYoutube動画)

大学側からは、「この状況なのでやり方は問わない」。課題資料を送ってメール等で一方的にやっていてもよかったのですが、だからといってそれで納得ができる僕の性分ではありません。先生の存在が見えない状態で果たして学生は大丈夫だろうかと、生まれて初めてのYoutube動画を作りました。

はじめてのYoutube動画

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(本物の動画ではなくてサムネイルでごめんなさい)

パワーポイントは、ほんと進化しましたね。すごい。
「ファイル」→「エクスポート」→「ビデオの作成」
あらあらなんと、これだけでmp4のビデオ動画がナレーション付きでできてしまう。しかも、画面右下のワイプ付きで。おー。これテレビっぽい。いい感じ。これを、Youtubeチャンネル作って製作した動画をアップロードすれば、あららそれだけであなたもYoutuber(笑)

製作時間は、録画時間を除けば30分もなくできてしまう。
(Youtubeチャンネルの開設は1日かかるのでこの点は注意してください)

でも、目の前の誰もいない中で、PCに向かって話すのはとても空しい。。。
すげーなYoutuber。尊敬。

<これまで制作したYoutube動画>
①オリエンテーション
②自己紹介(僕自身がキャリアモデルケースとして)
③おすすめの本

これで気づいたのは、授業は100分ですが、こんなに長いのは絶対NG。自分が作成した動画なんてましてや絶対見ない。圧倒的にこれより短くなければ、学生は苦痛でしかない。

感覚的には、「15分」
これを目指そうとやってみたのですが、実際にできた動画は「それぞれ30分」(学生の皆さんお付き合いさせちゃってごめんなさい)

先生を知ることは、学生の安心につながる

3本出したYoutube動画で、一番アクセス数があったのが、②「自己紹介(キャリアケーススタディ)」でした。

そして、授業の後に必ず提出してもらうリアクションペーパーの中にも、その動画を見てくれてのコメントもあり、先生の自己紹介は学生の安心を得るのに一定の効果があると思います。

まあ当たり前ですよね。
リアルな教室では、「リアルな先生」を見て、学生は安心感を得る(逆のケースもたくさんあると思いますが)。リアルに会えないこのような状況では、先生からの「自分自身の情報発信(自分が何者なのか)」は、絶対に行わないと、心理的安全性が担保できないと思っています。

掲示板の活用~学生の「自己紹介」~

大学システムで提供されている「掲示板」。
これも活用して色々やってみましたが、いくつか見えてきたものがあります。

一番活発だったのは「自己紹介コーナー」。
80名くらいの人が、掲示板で自己紹介をしてくれました。

・先生がぶっちゃければ、生徒は続く

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よく見てみたら、そんなにぶっちゃけてないな。
でも、この後みんながものの見事に「名前の話」「出生地の話」「趣味の話」「猫が好きな話」「グルメの話(特にラーメン)」が徹底的に続きます(笑)

相手は大学一年生。そりゃまだ先生に続いてくんだなと、実感。

・掲示板は、出せばいいというものではない
じつは、それ以外に「質問をしてみよう」とか「通信環境についてのコーナー」とか、本当はそれぞれ学生同士でやりとりができるような形で模索をしているのですが、これはなかなかハードルが高い。

僕自身、色々とトライしてみたいので、いくつか掲示板のネタを出してみたのですが、あまり活発化しない(笑)。システムのUIの問題もあるのですが、情報が多くても学生は情報過多になり、「どこにあるか分からない」といったような声が聞こえるようになったので、何にコメントを多くもらいのかをしっかり設計することが大事です。

学生の反応格差が、赤裸々になる

さて、そんなこんなでZoomでのリアルタイム授業を始める前に色々とやってみたのですが、果たして、オンライン利用率は上がったのか?

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学校のシステムで、僕の授業ページへのアクセス数を分析してくれているんですね。これは、アクティビティがとれて、学生傾向がよくわかる。

明らかに学生の反応格差が顕著に出ている。

それぞれ、10回以上アクセスすることを「活動層」として捉え、50回以上アクセスすること(これもかなりいい感じですが)「積極層」。そして5回以下を「非活動層」としてざっくり括ってみると、面白いデータが。
(この期間は授業を自身で選択して、5月中旬に最終履修登録を決定するため、仮登録数との数値誤差が生まれています)

・最高アクセスは、4/28で240回、5/7では450回
・非活動層は、2割~3割程度の一定数はいる
・一方で、上位の活動層が、20%弱から30%近くへ

面白いことに、昨年授業をしてみて感じていた、
「積極層2割、非活動層2割」
は、感覚的にはかなり一致しているように見受けられるのと、

オンラインでやりとりの精度を上げたことによって、活動層がかなり多くなってきたという事実が浮かんできました。

リアルとオンラインの掛け合わせは、アフターコロナの教育の姿

リアル授業でなかなか測れなかったものが、オンラインでデジタルデータ化されることによって、可視化が進み、分析が容易になったことは、withコロナのオンライン化の産物ではないかと思います。
(是非先生は、学生の行動分析と可視化をやってみてください。これに基づけばかなりの授業レベルの向上が見込めるはず)

昨年ひよっ子講師がやってみて驚いたことの大きな一つに、授業を先生の感覚でやっているということでした。過去の授業の状態や、学生の傾向など分からないことがたくさんあったので、様々な先生にお伺いしたのですが、この過去データや分析データがまるでない。民間企業であれば当たり前にある「数字」「ファクト」が、教育現場にはまるでない。これは、リアルな授業形態に拘ってきてしまった結果のように感じます。

また、今回の授業を通して成績と学習意欲の相関関係も出てくるのではないかと思っています。その中で「伸びていく傾向」が可視化できれば、さらに授業の精度を上げるヒントはたくさん掴めるのではないかと思うのです。

また、もう一つ明らかに上がっているのが、学生との1on1の質の向上です。

授業はどうしても一方通行になりがち(アクティブラーニングを、と言っていながら大学の教室はスクール形式が多数)なリアルな授業と、その間を繋ぐオンラインの活用。これにより、圧倒的にインプットの質の向上が図れる。

今日のニュースで「オンライン化によって個別対応が多くなり、先生の時間と対応の内容が変わってしまっている」と言っている先生がいましたが、僕はこれを聞いて明らかな違和感を感じました。

授業の本質は、個を伸ばすことなのでは?

それを前提とすれば、寧ろ違っていたのは今までのやり方。僕は1on1を活用した方が明らかにインプットの質が上がると思います(企業の育成が1on1に傾倒して言っているように)。それであれば、活用しない手は絶対にないと。

そうはいっても一定の非活動層はいるので、その学生をどうしていくかということにはなりますが「大学は、自主的に学ぶところ」という原点に立ち返れば、厳しい言い方ですが、そういう学生は大学には入ってはいけない層なのではないかと思っています。全入制が進み本来の大学の姿を変えてしまった結果、日本の大学レベルが落ちてきている、という状況を、もとに戻していくチャンスかもしれません。

いずれにしても、このコロナショックは、教育改革に絶好の機会だし、教育の在り方を見直すための時間だと感じています。
是非僕自身も様々なトライをして、これからの未来を担う若者のためにできることをやっていきたいと思っています。

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