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【寄稿】社会に出て「正解のない問い」にぶつかった時は(NIKKEI STYLE)

(この記事は「日経カレッジカフェ(現「NIKKEI STYLE(U22 ワークスタイル)」へ寄稿したものです)

 こんにちは。株式会社モザイクワーク取締役COOの髙橋実です。
 今年は平成という年号が終わる年。5月からは新年号が始まります。4月から社会人になる人たちは、初の新年号での社会人ということになりますね。残りの学生生活、悔いのないように過ごしてください。応援しています。

 さて、昨年、人事部の視点で、「社会人になったら大きく変わる3つのこと」というお話をしました。学生の最上級生から社会人の最下級生、全ての周りの社会人が“先輩”に変わる。大きく「立場」が変わることをはじめ、様々なことが変わります。
そして、それ以外にも、「正解がない問い」にぶつかることが多くあります。

社会に出ると「正解がない問い」がたくさんある

 学生時代に勉強してきたことの多くは「答えに〇×をつけ、点数がつく」というものだったと思います。テストでは、その結果の点数で評価されてきたのではないでしょうか。そのテストの問題には、必ず「正解」があったはずです。

 しかし、社会に出ると、様々なところで「正解がない問い」にぶつかります。

<社会人あるあるケース>

イシイ君は、〇×商事に営業として入社し、半年が経った。新人としては営業成績も順調で、入社して初めて担当した、会社が長年付き合いのある凸凹開発からも、一生懸命頑張るイシイ君は徐々に信頼を得て、上司のサカイ課長からも「よく頑張っているな」と声をかけてもらっている。

今日は水曜日。イシイ君の彼女の誕生日。仕事帰りに食事の約束をしていた。しかし、その日の帰り際に、サカイ課長からこう言われた。

「イシイ君、さっき社長から電話があって、凸凹開発の社長に明日の朝会うので、先日要望があった案件の提案書を作ってほしいとのことだった。すまんが、今日残業して作ってもらえないか」

イシイ君はとても迷ったが
「すみません。今日はどうしても外せない約束があって」
とサカイ課長に申し訳なさそうに伝えた。

サカイ課長は笑顔で言った。
「そうだよな。じゃ、同期のタケダ君にやってもらうから、大丈夫だよ」
イシイ君は安心して、彼女との約束の場所に向かった。

翌月の営業会議。サカイ課長から「イシイ君。すまんが、〇×商事の担当をタケダ君に引き継いでくれないか。先方の社長が提案内容をいたく気に入って、この提案書を作った人に担当してもらいたい、と言われてね。すまんが、理解してくれ」。

正解は、自分で決めなければならない

 イシイ君は、担当として頑張ってきた凸凹開発の担当を、外れることになってしまいました。もしあの時彼女との約束をキャンセルして、残業していたら。いやいや、でも彼女の大事な誕生日、プライベートではとても大事なこと。さて、イシイ君は、どうすれば良かったのでしょうか。

 この場合は、「彼女の誕生日」と「仕事」。どちらを選ぶのか、というケースでしたが、もっと難しいケースもたくさん出てきます。親など大切な人が病気になってしまうケースもあるでしょう。子供ができたら、子供が熱を出して仕事があるのに帰らなければいけないケースもあるかもしれません。でも、どんな事情があっても、仕事は進んでいくのです。何が正解かなんて決められなくとも。常に「正解を自分で決断していく」ことを求められるのです。

 言ってみれば、社会でのキャリアは、このような決断の繰り返しです。学生時代の学びで正解を出すことに慣れているあなたには、もしかしたら辛いことかもしれません。セオリーがあって、正解を教えてほしいと考えるかもしれません。でも、残念ながら、そこにセオリーはなく、正解は誰も教えてくれないのです。自らのキャリアを切り開くためには、この「正解のない問い」に対する決断をやり続けていかねばいけないのです。

大人だって、みんな悩んでいる

こんなことを偉そうに言っていますが、じつは大人の僕も、「正解を自分で決断していく」ことにいまだに悩んでいます。時として逃げたくなるような場面もあるし、勇気をもって決断をしてからも「本当にこの決断は正しかったのか」とくよくよと悩むこともあります。人生の決断の場面を振り返ると、「ああこうしておけば良かった」とか考える毎日です。大人だって、みんな悩んでいます。

でも、振り返ってみると、その時は苦しかった決断の場面が、今こうして自分自身を作っているのではないかと思います。その時は辛くて泣いたり、飲みに行ってストレスを発散したりしても、逃げずにその決断を経験することは、結果的に自分自身を成長させるチャンスだったのではないかと思います。

あなたの決断は、時として間違えることもあるかもしれません。あなたにとってとても怖いことであるかもしれません。でも、その決断を恐れて逃げないでください。逃げずに行ったその決断は、必ず自分を大きくしてくれます。社会人へのスタートを切るあなたの将来には、必ず輝かしい未来が待っていると思います。頑張ってください!

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