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DXの本質2

「問題の根源はテクノロジーではなく、人間にある」


デジタルトランスフォーメーション(DX)の課題を考える際、この言葉が示す通り、問題の本質は単なる技術的な障壁ではなく、人間の思考や行動に起因することが多いかと思います。DXを成功させるためには、技術だけでなく、人間の側面にも焦点を当てることが重要だと考えます。

技術はツールに過ぎない

まず理解すべきは、技術はあくまでツールに過ぎないということです。クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI、IoT、、AIだけとっても、予測AI・生成AIなど、最新の技術は確かに強力ですが、それ自体が問題を解決するわけではありません。これらの技術をどのように活用するか、どのように組織の価値を高めるかは、最終的には人間の思考や行動に依存しています。

人間の思考と行動の影響

DXの取り組みが成功するかどうかは、人間の思考と行動に大きく影響されます。例えば、新しい技術を導入する際、メンバーたちがそれをどう受け入れるかが重要といえます。抵抗や不安があると、技術の導入がスムーズに進まず、期待される効果を十分に発揮できないことがあります。また、リーダーシップのスタイルやコミュニケーションの質も、DXの成否に直結します。

変革に対する抵抗

人間は本能的に変化を恐れる生き物です。すなわち、そもそも変革は順調には進まない、と思っておくことが大切だと考えています。特に大規模な組織では、現状維持を好む文化が根強く、変革に対する抵抗が大きな障壁となります。従業員が新しい技術やプロセスに対して不安を抱き、これまでのやり方に固執することが多いです。

筆者自身の経験で言えば、2000年初頭まで時代は戻りますが、その当時はなんでもかんでも「手書き」が標準の世界でした。そこで事務的な時間を短縮するため、簡単なコーディングをしてPCで手書きと同様なアウトプットを作成できるシステムを開発してみました。事務作業のプリセットなどを搭載したこの自作のシステムを運用すると、事務作業の時間は約1/8以下になる、そこそこ優秀なシステムだったといまでも自負しています。しかし、部門長を説得して実践投入したそのシステムは私以外に誰も触らないものとなっていました。

変革におけるスターの重要性

自作のシステムを実務投入して数カ月たったある日、年齢の近い同僚が、私のシステムに興味を抱き、使わせてくれないか、と申し出てくれました。それだけでは終わらず、年配の役職者までものが使われてほしいと申し出てきたのです。

理由は私だけ事務作業で残業することもなく、従来の仕事の仕方をしている方より数倍早く同様の仕事こなし、さっさと帰宅していたのが目に留まったようでした。

変革においては、前向きにDXに取り組んでいただける方を最初巻き込み、その有効性を周辺に感じてもらい追随してもらう、そんな巻き込み方が現状維持バイナスを乗り越えるのに有効かと思っています。

ファーストペンギンを変革のスターに据える。組織を巻き込む変革の初手として、私が今も打ち続ける一手です。

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