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ハッピーバースデー

時々、スイスはスウェーデンと間違われる。
SwitzerlandとSweden、言われてみればなんとなく似ていなくもない。
そして、それぞれの国のイメージも共通している箇所がある。
裕福な国、治安の良い国、ヨーロッパにある平和な国。

アジアをよく知らない人が、日本と中国をごちゃ混ぜにしてしまうそれと同じような現象だ。
ヨーロッパの悪ガキたちはアジア系の人をひやかそうとする時、チンチャンチョン、とかなんとか言いながら合掌してみせたりする。
チンチャンなんたらはもちろん中国語を真似ているつもりで、合掌するのはアジア人は挨拶するときに皆合掌するという思惑からくる。
最近は、アニメや漫画、ゲームなどのおかげもあり、日本という国の好感度がそもそも高いこともあり、日本人のハーフだと話すと「日本! 前から行ってみたかったんだ」とよく言われる。そんな時は純粋に嬉しい。
なぜなら私も自分の生まれ故郷が大好きだから。

今日はいつも通り子供たちは日本語学校に通う。
その間に私はいつも通り1週間分の食材の買い出しに行った。
土曜日はいつも人が多いけど、今日のスーパーはいつにも増して混雑していた。3月下旬のイエス・キリストの復活祭(イースター)が近いので、店内はそれ関連のデコレーションやお菓子類でいっぱいだ。
スイスでは復活祭と言えば、ゆで卵に着色したり模様を描いたりして楽しんだり、卵やウサギの形をしたチョコやら、色を塗ったゆで卵やらが入ったイースターの”巣”を庭に隠して子供たちが探したりして楽しむのが伝統だ。
私たちはキリスト教でもないし、旦那はイスラム教だし、そんな宗教的な伝統はやらないかと思ったらなんのその。
毎年ちゃっかりしっかり一緒に楽しんでいる。

日本語学校の授業の後はうちに帰り、買ってきた食材を片付けて昨日作っておいた昼食を食べたら両親のもとへ行った。
日本人の父が今日78歳になったので、ケーキを作って家族4人で祝いに行った。
スイス人の母が日に日に忘れっぽくなっていっており、彼の日常は心配事が絶えない。私も自分ができる範囲の手助けはしているが、今のところは2人でなんとかやっている。この均衡が崩れる日がいつか来ることは、わかっている。わかっているけど、その日が来るのが怖い。
日常にかまけてまだやっていないのだが、両親のサポートが必要になった場合の公共施設への問い合わせだけでも近いうちにしておかなければ。

恐れているその日はきっと突然やってくる。

とにかく今日はお祝いの日。ケーキに8本のろうそくを灯し、ハッピーバースデーを歌った。小一時間くらいで誕生日会はお開きになった。

今日の天気は初春の典型。晴れてぽかぽかしていると思えば、急に雨が降ってくる。その繰り返しだった。

晴れながら雨が降ったら、きつねの嫁入り。
晴れながら雪が降ったら、タヌキの嫁入り。
日本に住んでいた頃に、田舎の友達が言っていた。
スイスでも今頃、きつねさんがご結婚されてるのかしら。

そんな天気の中、旦那が運転する車に乗って帰った。
ちょっとだけの間、短いけど太い虹が垣間見えた。
長男は居眠りしてたけど、次男は見えなくなってもずっとその虹を探していた。

夕飯はスイスの定番チーズ料理ラクレット。
ゆでたじゃがいもに溶かしたチーズ載せて食べるやつ。
きっと疲れて料理したくないであろう自分のために、あらかじめ買っておいた。でかした、自分。
そして昨日一人で観て面白かった葬送のフリーレンの数話を長男と見返した。一緒にアニメ観て盛り上がれる息子がいてくれて嬉しい。

そんなこんなで一日終了。
もう少し夜更かししてから寝よう。
おやすみなさい。

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