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特別支援学級の時間数制限必要?

こんにちは♪

5歳から車いすで生活する大学生のみのりです。

私は、小学校、中学校と、特別支援学級に所属していました。

今日は、普通学校に置かれる特別支援学級の、みんなと同じ教室で一緒に授業が受けられる時間数の制限の問題について、私なりに調べたこと、経験したから思うことを書いてみたいと思います。

特別支援学級とは


この話に入る前に、まず前提知識を書きます。知っている人は飛ばしていただいてもOKです。

特別支援学級とは、小学校と中学校に置かれる、障害のある子どもたちが通う学級です。

弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、自閉・情緒の7分類で特別支援学級が置かれています。

私も実際、小、中学校で特別支援学級に所属していました。

特別支援学級で、少人数で授業を受けたり、「自立」という特別な授業があったりします。

そして、いくらかの時間、みんなのクラスで授業を受けます。

また、特別支援教育は、他にも「特別支援学校」「通級」という体制があります。

このお話で大切な「通級」について少し解説。

通級とは、通常の学級で大体の学習ができて、一部特別の指導を必要とする程度の児童生徒が通う場です。
なので所属は通常の学級ですね。

こちらは、知的障害者は通うことができません。
一方で、学習障害者やADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもなど、特別支援学級ほど明確な障害の決まりなく、通級なら通うことができます。

時間数的には最大週8時間(大体全部で週25時間ぐらい)です。

私のつたない説明でわかりにくかったかもしれません💦
とりあえずわかっていただけたと思って本題に移ります。

特別支援学級の時間数制限の通知


この通知を端的に話すと、

「特別支援学級に在籍する児童生徒は、授業を、週の半分以上を特別支援学級で受けなさい。」

ということです。

なぜ時間数が制限されたのか

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4475/00431549/01_monka_0494.pdf

令和4年4月27日の文部科学書の通知を読みました。

文科省の考えるインクルーシブ教育は、

「障害のある子供もない子供も、可能な限り同じ場でともに学ぶこと、共同学習によって、相互理解が促進できること」


一方で、

「特別支援学級に在籍する児童生徒が、大半の時間を交流および共同学習として通常の学級で学んでいること」

これを是正したいと考えています。

その理由は、

「上記の状態では、障害の状態や特性および心身の発達の段階などに応じた指導を十分に受けていない事例があるから」

だそうです。

これが、一部の自治体を対象に実施した調査において起こっているとのこと。
このままでは、「交流」の側面にのみ重点を置いて、一人一人の教育的ニーズにこたえられていないとしています。

この是正のために、文科省が出した通知で物議を醸しているのが、先ほども端的に述べたこの時間数制限。そのまま引用すると、

「…特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。」

それ以上通常級で受けたいなら、通級に変更しなさい、ということが言いたいようです。

身体障害者の通級の必要性


ここからは、私の体験談をもとに、身体障害者の支援方法について考えてみたいと思います。

私は身体障害者で、車いすで生活をしていました。そして、特別支援学級に所属しながら、多くの時間をみんなと同じ教室で過ごしていました。

そんな私が特別支援学級に在籍していた理由は、体の自由が利かないため、生活上支援が必要なため、です。
また、私は骨が折れやすいのでけがをしないようにするのも重要なことでした。

こうしたように、生活上支援が必要な中で、通級にしたらどうなるでしょう。
通級は、学校内にあることもあれば、まだ設置が少なく、他校に行くこともあります。
そして、いつもついていてくれるわけではありません。

通級にしたら、必要な支援が受けられない可能性が高いです。

すなわち、普通の授業は特別支援学級で受けなくてよくても、特別支援学級に所属する必要のある生徒がいる。だから、みんなと一緒に授業ができる時間が減ってしまうこの通知は、本当に意味のないことだ、と私は思います。

(一方で、身体の障害を抜きにすれば、特に通常の授業が同じように受けられる生徒は、特別支援学級という別の学級に所属しなくてもよいのではないかと思っています。介助者という形でもっと柔軟についてくださればと。今日の論点とずれるので割愛しますが、まだまだ訴えたいことはたくさんです。)

現役の特別支援学級の先生のお話から


前回の記事で書いた特別支援学級の先生もこういいます。

その子に合わせた支援をするためには、もっと柔軟に特別支援学級と通常学級に通えるようにさせてあげたい。

だと。

文科省は、一人一人の教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できるように、この通知を出しました。

本当に、「ひとりひとりの教育的ニーズ」を満たす通知になっているでしょうか。

私には真逆にしか思えません。

なぜ通級に移行させたいのか

現場の声のみにフォーカスしてはいけませんよね。この通知を出す裏の背景があるなら、目を向けなければいけません。

私は、この通知の裏には、教師不足があると思っています。

https://www.mext.go.jp/content/20210412-mxt_tokubetu01-000012615_10.pdf

上記の資料から、特別支援学級と通級を希望する小、中学校の児童生徒数は、

平成21年と令和元年で
約18万9千人から約41万1千人に増加しています。

逆に公立小中学校の教員の人数は減る一方です。
教員を目指す学生もどんどん減っています。

https://book.jiji.com/basic/app_guide/app_guide-8455/

こうした中で、特別支援学級は1教員当たり8人までしか見ることができません。
しかし、通級であれば、1教員当たり12人まで見ることができます。

少ない教員数で、一人一人に合わせた教育をすることの難しさが分かります。

このような事情から、特別支援学級まで行かずに、通級に生徒を移行させたいという意図があるのではないかと思いました。


まとめ


・特別支援学級に通う生徒が、みんなと一緒に勉強できる時間数を制限されている。
・文科省はその理由を、特別支援教育でその子に合った教育をするため、通級でもよいなら通級に移行してもらうため。
・私は、この時間数制限には反対である。

私は、みんなの中で学ぶインクルーシブ教育は賛成です。(それにも数々の課題はあると思っていますが、それはまたの機会に。)
しかし、特別支援学級も必要な生徒には必要です。文科省がいうように、一人一人のニーズに合わせた教育が、その子の将来の形成にすごく重要だからです。だからこそ、特別支援学級の生徒は週の半分以上特別支援学級の教室で授業を受けろ!なんていう制約はナンセンスだと思います。その子が特別支援学級に通う理由は、それこそ千差万別だから。

この通知に振り回される先生も、身体障害のあって、この通知が原因で、在学中に特別支援学級から普通学級に移ったけれど、つらい思いをしている学生も知っています。

インクルーシブ教育とまるで反対をゆくように捉えられかねないこの問題。

文科省は撤回の予定はないとしています。

今回は私の話がメインでしたが、もっといろんな話を聞いて、発信したいなと思いました。

あなたはどう考えますか?

ぜひご意見を聞かせてください。

みのり

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