食べにくいおやつと、小難しい会議
秘書、といえば随分と格好いいのですが、役員の方々のお手伝いをしていた頃。
なにやら難しい会議をしていて、皆さんちょっとお疲れの様子。
そういう時のおやつに、豆大福や堅焼きせんべいなど、あえて食べづらい、でも美味いと思うものを出していました。
どうしても話を中断せねばならない菓子。
顔中、粉まみれになる。
かたいものは、噛み砕かねばならぬ。
暫し沈黙。
「…うまいですな、これ。」
雑談、私事をそれぞれがぽつぽつ話し始める。
えっ、おたくもですか。
いや私もねぇ。
笑い声が聞こえ、なんとなく場がまとまってるのかな、という気配がする。
きっと顔中、粉まみれだったり、せんべいのかけらを拾いながら笑っている画が見えてきます。
帰り際、お菓子の購入場所をお尋ねになり、本当に購入してからお帰りになった方々もいらっしゃいました。
「いやぁ、家族にね、出張の手土産にちょうどだなぁ。」
と新幹線の駅へ。
決定事が多いと、緊張が続くんだろうなぁといつも思います。
事務職でしたが、私の役割は、大きな声で挨拶し、おやつを選んで、ほんのいっとき気分転換してもらう事だったと思っています。
様々な場を乗り越えてきたボスたちは、些細なことでも気づいてくれました。
忙しい時の、
「ありがとう」
はとても救われます。
でも、こっぱずかしくて言えないというひともいると思います。
気持ちが冷える事やニュースも多いですが、
焼き芋のように、できるだけ心を温めておいて、ほれ、あったかいよ、と分けられるひとになりたい。
ひとにしてもらった事や、ぽたぽた焼きの袋に書いてある生活の知恵など、なるべくいいことを覚えておきたいと思います。
これまで積もったものは、思いのほか顔や、とっさの動きにあらわれてくるものだなと感じる日々です。
最後まで読んでくださってありがとうございます。