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自粛期間を経て考えたオフラインイベントの意味。ブランドに求められるのは、人間力と専門性。

コロナ禍でオフラインのイベントがすべて中止になっていましたが、最後に開催した2月から約4ヶ月ぶりに、美濃加茂茶舗は日本茶ワークショップを再開しました。

この数ヶ月間に、色々な意識の変化、価値観の変化がありました。お客様と直接お会いして一緒にお茶を淹れられなくなったのはもちろん寂しくはありましたが、この期間のおかげで新たな取組もスタートしました。


加速したお茶業界のオンライン配信


これまで名古屋近郊の人にしか参加していただけなかったワークショップ。#STAY HOME 期間の対応として、実験的に企業様・コミュニティ様向けのオンラインお茶会や、インスタライブを使ったオンラインワークショップを開催。全国どこからでも参加いただけるため、今まで知り合うことができなかった皆さんともお話することができ、とても楽しく貴重な時間を過ごすことができました。以前であれば、オンラインでみんなでお茶を飲む体験はここまで受け入れられなかった気がします。

大変な時期ではありましたが、新たな視点を得ることができた点、新たなチャレンジができた点は完全に私達にとって追い風だったと今は思います。

正直今までは、オンラインでのお茶会に需要なんて無いのではと思い込んでいました。でも#STAY HOME が長引くに連れ、オンラインでどう楽しむか、この期間にどう繋がって、どう価値在る体験を共有していくのかに世の中の意識が向き始めた。お茶業界の皆さんもより活発にオンラインワークショップや配信をするようになっていったように思います。

美濃加茂茶舗よりずっとずっと発信力があり、オンラインを駆使して活動している先輩たちをご紹介させていただきますと…

(細かく紹介できないので、本当に触りだけです。すいません。)

例えば日本茶バリスタの倉橋さんは、(おそらく一番?!)多様なメディアを活用して日本茶の魅力を発信されていたり。

▲Youtubeチャンネル「日本茶バリスタKURAHASHIのLIFELOG」(美濃加茂茶舗のお茶も使ってくれていて嬉しいです!!)


厳選茶葉、オリジナル茶器を取り扱う「好信楽 祿」を運営されているトガワさんは毎朝インスタで朝茶ライブを配信していたり。


Satenさんは、自粛期間中、美味しい日本茶の淹れ方や、農家さんと中継を繋いで新茶の成長の様子を配信したり。


老舗中の老舗、一保堂さんは、ライブ配信も英語対応。さすがぎます。


GENGENANさんと櫻井焙茶研究所さんはお茶屋さん同士でコラボ配信もしていました。


他にも紹介しきれないくらいたくさんの茶人のみなさんが積極的にオンラインでの茶会やコンテンツ配信をされていて、いちユーザーとして配信を体験しながらいつも勉強させてもらっています。


実験的に始めたオンライン茶会


美濃加茂茶舗がオンライン茶会を本格的に始めたのは「REMOWA」というコミュニティを発見したことがきっかけでした。

発足当初から自分たち自身もフルリモート勤務をしている美濃加茂茶舗。日本茶を通して「意識的に休む」「オンオフを切り替える」の提案はしていたのもの、それをオンラインでの活動には昇華しきれていませんでした。

そんな折、この「REMOWA」の活動を発見。「ダラダラ働かないための」ひとつのANSWERとして日本茶を活用してもらえないかと考え、勇気を出してTwitterでご連絡。「試してみたいこと」の例として書かれていたお料理教室やみんなでランチ、のバリエーションとして、お昼休みにお茶会をやらせていただけないかと打診してみたのです。

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突然のご連絡にも関わらず、開催を受け入れてくれ、参加してくれた皆さん。今思えば開催環境もあまり良くなかったと思うのですが、それでも発見があった、楽しかったとの言葉をいただけ、日本茶を通してできることの可能性を自分たち自身も再認識することができました。

その後、他の企業様からもお声がけいただき、ランチタイムのお茶会や、夜の就業時間後に日本茶を使ったお酒のレシピをお伝えするCLASSなどを開催させていただく機会が増えていきました。

これまで参加していただけなかったような皆さんとの出会いも多くあり、どんなことに興味を持っていただきやすいのかを知ることもできました。自分たちが当たり前と思っていることを新鮮に受け止めてもらえたり、逆に皆さんの専門分野からの気づきをいただくなど、私たちもたくさん学ばせてもらっています。

日本茶は日々の中の「切り替え」を生み出すことができる


この期間の活動を通して、オンラインでも日本茶を通じたオンオフの切り替えや時間の作り方、意識的に休むことへの日本茶の活用を伝えて行けるんだ!と確信することができました。

むしろオンラインでしか繋がれない状況だったからこそ、ONが続きすぎないための解決策が必要とされていたのだと思います。まずは作業や気持ちを切り替えるちょっとした道具として日本茶を使ってもらえたら良いのだと思います。

そうして日本茶を知った先に、日本茶自体の美味しさや魅力に目覚めてくれる可能性が開けるのではないか、と考えています。

美濃加茂茶舗の私たちが、かつてそうだったように。(この話は、また別の機会に書ければと思います・・・)


そしてついに自粛が開け再開となったオフラインでの日本茶ワークショップ。最後に開催した2月はまだ寒い時期でしたが、もうすっかり初夏の気配。お茶業界は新茶シーズンを迎えました。

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これからのオフラインで求められるのは、会いたいと思ってもらえる人間力と専門性


今月のワークショップテーマは「今しか味わえない旬の味。新茶を楽しむ」。開催環境はこれまでと変わらないはずなのに、そこに立つ私たちの気持ちはこれまでと違うものでした。


オンラインでたいていのことができるとみんなが気付いてしまった今、オフラインで集うことには相当な動機と必然性が求められるはず。今回申し込んでくれたお客様には、この場所、この時間でしか体験できない時間を過ごしてもらわなければならない。そう思うと、少し緊張しての開催でした。

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今回は、まだ一般のお客様に届いていない「新茶」をいち早く体験できる場としたことに加え、予め用意したシナリオではなく、いつもよりも質問の時間やお客様との対話の時間を長めに設けるなどの変更をしました。

自粛が明けたばかりということで、これまでよりも少人数での開催でしたが、参加してくれたお客様どうしでの会話も生まれ、喜んでいただけたようです。


予め用意したシナリオではない進め方をするのは、イベントにおいてとても難しいことです。ただ、お客様にとって予定調和でしかないイベントほどつまらないものはありません。わざわざ足を運んでいただくオフラインのイベントのお客様の期待値は、今後非常に高くなっていくはずです。

この先ブランド側に求められるのは、おそらく「会ってみたい」「また会いに行きたい」と思わせる人間力と、何を聞いても答えてくれる「専門性」


伊藤 尚哉 - (株)茶淹 代表取締役_美濃加茂茶舗(@naoya_iii) • Instagram写真と動画 - www.instagram.com

美濃加茂茶舗のワークショップでは毎回様々な質問がありますが、いまのところ講師である店長(=代表の伊藤です)が答えられなかった質問はほぼありません。たまに中国茶のことなど、少し専門外のことを聞かれた時には、逆にどのお店がお薦めですか?などお客様に聞き返すことも。わからないことはわからないと伝える正直さと、お客様からも学ばせてほしいという姿勢も大切ではないでしょうか。

また、オフラインのイベントを続けるブランド側の意義は、自分たちに興味をもってくれたお客様の話を直接聞けることです。オンラインイベントでもSNSでも直販サイトでもお客様とのコミュニケーションはできます。ただ、どんなお客様が、自分たちのお客様なのか?を知るためには、直接会って一緒に「お茶する」に勝るものはないとも思うのです。


美濃加茂茶舗はこれまで以上にオンライン・オフライン問わず対応できるブランドとしての人間力と専門性を磨き、日本茶を通じて、忙しすぎる日常の中で意識的に休んだり、気持ちを切り替えるお手伝いをしていけたらと思います。

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次のワークショップは7月11日(土)。本格的な粉末茶を使用した、ツートンラテの作り方です。お待ちしております。



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