つながるうねり

ミシンで靴紐を結ぶ人をなぞるように縫ったら、裏面がとんでもないことになっていた。下糸の雑な処理が、返って人間らしさを生み出していた。

靴紐ぐちゃぐちゃボーイ

もっと大きいのを作りたいけど、なにを縫えば良いんだろう、なかなか思いつかない。
ふと、床に落ちた糸屑が、綺麗に縫われた人間よりも人間らしく見えて、もっと人間てからまってて、めんどくさくて、複雑に作られているんじゃないのだろうか

糸、からまる、きれる、むすぶ、つながる、、、、
キャッチボール…

キャッチボール。

友達に、青梅の野球場でキャッチボールをしてもらいに行った。何故か不思議なパラグライダーおじさんとの出会いでパラグライダーの練習がはじまる。 

キャッチボールを始める頃、もう暗かった。

スケッチブックを広げるけど、手元はほとんど見えない。見えないけど鉛筆をうごかす。たくさんの線。無駄が多いと人はおもしろくなる。もっと綺麗でしっかり描こうと思ったけど、ゆるゆる追いかけた線の方が正直で魅力的だった。

暗闇のスケッチを、拡大して和紙に転写する。針を通す。ちょっとで破けそうなハラハラ感は布と違う。布は意外とかたいし無表情。縫ってできるしわは、時間とか痕跡を記録している。

縫っていくと、それは毛細血管のようにつながってときどき線を外れたり、自分の指に針が刺さったりして、血を流して人間を作っているような、人生のような、わたしのテーマは生命力なのかもしれない

ドローウィングを縫うだけでは絵にならないと思い裏に絵の具をつけたボールを転がし、ボールの軌道のような線を作ってそれを縫ったりもしてみた。

せまいアトリエで全貌が見えないまま縫い合わせていく。いざ吊るして見てみると、2人の距離が近すぎてキャッチボールどころではない。もう一度切り離して、継ぎ足して、少し離れさせる。つぎはぎの線はこわした跡。

作りづらい場所で作ったら、縫い合わせた紙もうねるようになった。パネルに貼る予定だったものは、壁にふわふわゆれるようにそのままの姿で壁に打ちつけた。

ちょっと奥歯みたいな形になった

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