見出し画像

就活の本質ってなんだろう?

先日、第一志望の企業から内定を頂いた。

内定後、社長とお話する機会があり、そこで「野阪くんは内定を出すか大分迷った。2年前だったら採用していなかった」と聞かされた。

その理由は心底納得できるもので、「これで、よく内定が出たなぁ」と、自分の運の良さをありがたく思った。

僕は優秀ではない

僕は浪人と休学を1年ずつ経験している。そのため、同年齢と1つ下(16卒と17卒)の就活を目の当たりにしていた(ほとんどが有名大ばかりではあるが)。僕が見るかぎり、彼・彼女らの大半は世間体や給料、福利厚生が良いところを志望し、自分のやりたいことや適性などは二の次にする。

僕はやりたいことをやりたかったので、狙い撃ちをするように企業を選んだ。実際、新卒の面接を受けたのは内定先の1社だけだ。内定先の世間体や給料も良いかどうかと問われると、そんなに良くはないかもしれない。でも、僕にとっては最高の企業だし、ここ以外は考えられなかった。

内定先は狭い業界(主にWebメディア)内では、最高の評価を受けている企業のうちの1つだ。だから、倍率はそれなりに高かったし、ほかの内定者の話を聞く限り、応募者の層も厚かった。

そんな中で内定をいただいた僕は、ある意味で「優秀(※)」だと言っても差し支えないのかもしれない。しかし、僕は自分のことを優秀だと思ったことは一度もないのだ。

インターンの選考に行けば、ボロボロに詰められて帰ってくることが多かった。長期インターンをしていたときも、同期の華々しい活躍に劣等感を抱えていた。一応名のある大学に通ってはいるものの、周囲の学生を見て「なんでそんなに頭良いの?」といつも思っていた。

「じゃあ、メディアの才能はあるんじゃないの?」と思われるかもしれない。だけど、これがまた大した才能ではない。文章を書いていても、編集をしていても、自分の下手さには愕然とする。同年代のメディアをやっている学生と話をしていても、知識量の少なさや考えの浅さを痛感させられる。ライターの選考をいくつか受けたこともあったが、ほぼ全滅だった。

ここまで来ると「いやいや、謙遜でしょ?」と言われるかもしれない。でも、謙遜とかじゃなくて、ここまで書いたことは紛れもない事実だ。僕は決して優秀なんかじゃない。

就活の本質とは

ただ唯一、人よりも秀でているものがあるとすれば、それは「ビジョン」の明確さだろう。僕は自分がどういう人間で、今後どういうことをしたいか、ハッキリと説明できる。ビジョン達成のためにどうすれば良いのかも分かっているから、現在に至るまで複数の手段を考え、用意してきた。

だからこそ、自分に適した企業を選べたし、もしダメだったとしても、別の手段を実行するだけだった。その余裕感(会社に依存しない感じ)も、内定には影響していたんじゃないかと思う。まぁ、たまたまツイていたのもあるけど。

でも、これができる人は少ないのだ。ほとんどの人は自己分析もよく行わないまま、何となくソレっぽいストーリーを創り上げて、ソレっぽい企業をたくさん見つけて、ソレっぽい感じで面接を受けるだけだから。

良いか悪いかはさておき、そのやり方は不安定で不確定な要素を大きく孕んでいる。たくさんの企業の選考を受けることは、リスクヘッジであると同時に、リスクでもあるのだ。企業が増えれば、1社にかけられる時間も少なくなる。なかなか内定が出なければ、心理的に追い詰められる。一貫性のない自己PRをしていれば、どうしてもボロが出やすくなる。僕からすれば、ビジョンを明確にし、行きたい企業(やりたいこと)を絞る方が圧倒的に楽だし、楽しい。

(もちろん、就活という機会を通して、色んな業界・企業を見るというのは有意義だと思うが、それは余裕のある就活生のみに当てはまる話だ。精々、練習がてら受ける程度がいいのでは、と思う。)

ゆえに、就活の本質は自己分析なのである。自己分析を甘く見ている人は多いが、本来は面接やGDの対策よりも、多くの時間を投下すべきことだ。実際のところ、僕自身ビジョンが明確になったのは最近のことで、過去4年間くらいはブレブレだった。単に僕が迷いの多い人だっただけだが、少なく見積もっても、1年はかかると思って(3年生の春くらいから動いて)おいた方が良いだろう。

あまりにシンプルな回答で拍子抜けした人もいるかもしれない。しかし、繰り返して言うが、これができる人は少ないのである。人は知らず知らずのうちに、何かに囚われているもので、それを認識できていないうちは、自己を俯瞰できていないのである。例えば、親の言いつけ、先生の話、友達の目……そういうものに自分がどれだけ影響を受けたのか、あなたははっきりと認識できているだろうか? 

就活は嘘つき合戦ではない

長々と書いてきたが、僕は決して「一般的な就活生(の就活)」を批判しているわけではない。正攻法と思われる就活方法も実は不安定で、不確定な要素が多いことを指摘しただけであって、実際それで上手くいく人(特にそつなくなんでもこなす系の人に多い)も一定数いるだろう。

でも、仮にいま上手くいったとしても喜ぶのは早い。「大学卒業後に就職した人のうち3割が、3年以内に仕事を辞める」「一番の退職理由は『仕事が自分に合わない』」と言われることから、ミスマッチが生じてくる可能性も大いにあるのだ。

では、新卒新入社員が退職を決めた理由はどんなものが多いのでしょうか。こちらも厚生労働省のデータで、『新卒で入った会社を辞めた人』に向けて、複数の退職理由の中から、3つまでを選んでもらった結果があります。
辞めた年数で退職理由に偏りが出ており、3年以内に辞めた人については、3年以上勤めて辞めた人に対して、【仕事が自分に合わない】という理由が突出して多いことがわかります。
参照:【新卒離職率】1年~3年以内での離職率が高い業界ランキングと退職理由~グラフ・データあり~ | キャリアパーク[転職]


参照:新規学卒者の離職状況 |厚生労働省 / 厚生労働省:第6回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況

就活の面接なんて嘘つき合戦だ」というふうに言われる由縁もここにある。企業も就活生も嘘をつく(自己分析ができておらず、嘘をつかざるを得ない[※※])から、ミスマッチが生じているのだ。自分のことを理解して、自分に合う企業・職業を選べば、わざわざ嘘をつく必要もないので、離職する可能性はグンと減るだろう。もちろん、長く働くことが必ずしも良いわけではないが。

ここまで書いてきたことに対して、「それは、あなたが特殊な人間だからできた話であって、普通に大学に行っている(あるいは、大学に行っていない)人には当てはまらない!」といった批判もあるかもしれない。

あえて断言しよう、そんなことはない。僕と彼らの違いは適性と時間の投下量でしかない。僕には最低限のメディアの適性があった、4年間という時間があった。ただそれだけのことだ。他の人には他の人の適性があるし、時間を悔いているのなら、別に今から始めたって遅すぎることはないだろう。今やれない人は、きっといつまで経ってもできないのだから。


※ここでの優秀の定義は「成果をあげる能力が高いこと」である。成果をあげるには、思考力・行動力・コミュニケーション力など総合的な能力が必要となる。僕はそうした総合的な能力は高くない(成果をあげられていない)ので、優秀ではないと考えている。

※※「嘘」には2種類ある。1つは内定を得るために話を盛ったり、志望動機を変えたりする意図的な嘘。もう1つは自分では本心だと思っているが、実は見栄や世間体、親の意向などを気にした無意識的な嘘。感覚値でしかないが、後者の方が圧倒的に多い。

いただきましたサポートは、すべて寄付いたします。お金の循環よくしたい。