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羊の天敵の話

羊の天敵ってなんだろう?
狼や狐?やっぱり肉食動物がピンとくるんじゃないだろうか。

僕が働いている場所は離島だ。人口は僅か180人ほど。まぁ過疎地と言われる場所だ。

その人数に対し、飼育している羊は200頭を超える。そう、人間より羊の方が数が多い島なのだ。

そして、この島には羊以外の動物はほとんどいない。オオカミもいなければ熊や狐もいない。まさしく羊の楽園とも呼べる、羊だらけの島だ。

そんな島でも、実は羊の天敵がいてる。まず一体目はこいつ。

そう、カラスだ。

羊はとても穏やかな性格をしている動物だ。穏やかだし、何より臆病でもある。よほどのことがない限り、攻撃をしない。攻撃するより逃げることを選択するのもしばしば。

そんな羊に、カラスは割とよくちょっかいをかけにくる。羊の群れにちょこんとカラスが背中にいるともう最悪だ。大体の場合は、クチバシで身体を突かれて出血している。

酷い場合は、脚に攻撃を喰らい血を流し、動けなくなりそのまま衰弱してしまうこともある。放牧中にカラスの被害に遭うことが殆どで、毎日の見回りでカラスの被害がないか確認する事は欠かせない。

そしてもう一体、非常に厄介なヤツがいる。この暑い夏の季節はカラスよりこっちに頭を悩ましている。

ハチのように見えるが、アブだ。
見た目がとても似ているが、ハチとの大きな違いは口に生えた棘を刺してくるところだ。

こんな攻撃力の高いトゲで刺されると、羊の身体には穴ができる。
厄介なのは一度傷がつくと次々に仲間がその傷の周りに集まり、さらに傷が悪化していくことだ。

しかも、カラスより小さい分駆除も難しい。

夏が終わり、もう少し涼しくなると自然とアブはいなくなるのだが、それでも気は抜けない。何より、アブに刺された傷はかなり痛々しく、深い穴のような状態になる為、その中にアブが入り込んでいることもよくある。

羊飼いたちは、そんな外傷をもたらす存在を追い払うのに毎日必死だ。ありとあらゆる策を練るが、アブだけはある程度はしょうがない点がある。そもそも数が多すぎて対応しきれない。

なので、一刻も早く暑い夏が終わり虫の活動が少なくなる涼しい季節が到来しないか、待ち望んでいるってわけだ。

早く夏終わらないかなぁ。

このノートは一人前の羊飼いを目指す見習いの日記。

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それでは今日も良い1日を。めぇ。

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