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岡山蒜山 伝統工芸がま細工 プロジェクト 〈ZINE編〉 vol.1

こんにちは!
レベルフォーデザインでデザイナーをしている山下です。

現在「岡山の蒜山(ひるぜん)の伝統工芸がま細工Project」を進めており、今回はその中のZINE編です。
現在進行形の内容なので、不定期更新の複数記事になる予定ですが、お時間あるときに見ていただけたらうれしいです。
よろしくお願いします。

はじめに。まず、私について

「蒜山(ひるぜん)」も「がま細工」も「ZINE(ジン)」もすべて聞いたことがないという方がほとんどかと思いますが、
このことを説明する前に、まず私の自己紹介を少しさせてください。

岡山県出身。県内の高校を卒業後、大阪のデザインの専門学校に進学。
グラフィックデザイナーとして大阪の制作会社で数年働いたのち、レベルフォーデザインに入社し現在4年目。

高校卒業後すぐ岡山を出て、大阪・東京と移動してきたとなると
「田舎が嫌だから」と思われそうですが、“デザイナー”という職業に子どもの頃から憧れていたので、単純に「デザインのことを学ぶには大阪か東京(所謂都会)」と考えていたからです。
なので今でも岡山が好きで、岡山がなにかで盛り上がること、話題に出て注目されることはとてもうれしく自慢したい気持ちです。
そんな地元岡山に、デザイナーとして仕事をしたい、何らかの形で関わりたいと前から思っていました。
ですが地元を離れて長いと、岡山関係の方に会うことや知り合うこともなくどうしたらよいのか…?と思っていました。

そんなとき、たまたま仕事関係の方に紹介していただいた
「ひるぜんアクションツーリズム’23」に参加することにしました。

「ひるぜんアクションツーリズム’23」とは?

コワーキングスペースなどを展開する企業と岡山県真庭市の新しいプログラム。
真庭市蒜山地方の、自然や文化、人との出会いで
新しい事業やプロジェクトを生み出すことを目的としたツアーイベント

岡山出身者が地元へのツアー?と思うかもしれませんが、18歳で岡山を出て早10年以上。実際のところ岡山のことを詳しく知らないことに気づきました。
住んでいた頃は、免許もないので行動範囲は狭め。学校で岡山についての詳しい勉強をすることもあまりなく、大人になり度々帰省はしても、学ぶ機会はなく県内をあちこち行くこともない。
桃やマスカット、デニムは知っているけど他には?歴史は?意外となにも知らない?もっと知りたい、知っておかねば!そしてなにかにつなげたい!と、思い参加しました。

ツアー場所は岡山県真庭市にある蒜山(ひるぜん)。

鳥取との県境で、高原が広がっていたり遊園地があったりと自然豊かな場所です。
蒜山ジャージー牛は聞いたことある方も多いのではないでしょうか?
私は瀬戸内海側の県南出身なので、県北である蒜山はたまに小旅行で行くような場所で、観光地、スキー場のイメージでした。(意外にも県北は雪国なのです)


いざ1泊2日のツアー

そんな思いで参加を決めたツアー。
ツアーには岡山に行ったことがなく興味があったというディレクター渡邊も一緒に参加しました。

岡山駅 待ち合わせスポット桃太郎像

東京から約5時間、新幹線と車でやっと着いた蒜山。

左にいるのは蒜山の妖怪「すいとん」

現地についてからは、草原に行きお話を聞いたり、郷土博物館で歴史を学び、

蒜山郷土博物館 古代復元住居

お寺で写経をしたり

福王寺にて

現地のおいしいものを堪能し、

B-1グランプリでグランプリを獲得した、ひるぜん焼そば

新しくできたランドマーク、GREENable HIRUZEN(グリーナブルヒルゼン)にも行きました。

隈研吾氏設計監修の「風の葉」

このツアーでは、移動など一緒に行動することが多かった子たちとも仲良くなりました。この場を借りて本当にありがとう。みんなのおかげで楽しかったです!
こういった新しい人との出会いがあるのも、イベントツアーの良いところだなと改めて感じました。

そんな2日間をとても楽しく様々な体験・見学をさせていただいたのですが、
その中に「がま細工の体験」がありました。

がま細工との出会い

【がま(蒲)】
池や川など浅い水辺に自生する植物。
1〜2mで水中の泥の中に地下茎を伸ばし、内部はスポンジ状で、頂部にフランクフルトのような穂がなります。文字にすると不思議な植物ですね・・。

【がま細工】
600年以上続く岡山県指定の郷土伝統的工芸品でがまやヤマカゲ(しなの木)の皮のひもを使い、編んで作った生活用具のことです。
日本では岡山だけの唯一の伝統工芸で、後継者不足・がま不足など問題も多いですが今も手作業で作られ、受け継がれています。

がま細工のバッグ
雪国の蒜山では欠かせない昔の雪靴。(郷土博物館より)
左:がまの雪靴 右:藁の雪靴


蒜山蒲細工生産振興会の方の丁寧な説明のもと、
がま細工の中で初心者向き?のほたる籠作りを体験させていただきました。

振興会の方々によるがま細工の実演


がま数本を重ねて折っていき、

最後に上部の持つところを編むと、こうなります。

不恰好ですが、慣れてくるとあっという間に3つほど作れました。

上部の紐部分が一番むずかしく、できるまで教えていただきました。

デザイナーという職業柄「何かをつくる」ことが好きなのと
黙々と作業することが個人的に好きなので、これがとても楽しかったです。

がまについてや歴史などのお話しもお聞きしましたが、現在がま細工は、後継者不足、環境の変化によるがま自体の不足など様々な問題を抱えているそうです。どちらもどうしたら良いのか解決の糸口は今は見つかっていないようです。地方の伝統工芸などは同じ問題を抱えているところもあると思いますが、難しい問題…。

蒲細工生産振興会の方、本当にありがとうございました!

こうして様々な経験をさせていただき、東京に戻ったわけですが「これからどうする?」「何ができる?」「どうやって岡山に関わる?」と考えながら色々調べていたとき、がま細工についての資料などがあまりないことに気づきました。

発信していないのか、情報が埋もれているのか、見つけられてないだけなのかわかりませんが、これだとどこかでがま細工を知った人が検索しても情報が得られず次に広がらなかったり、現地以外で「知る」機会や場所が少ないのではと思いました。なのでまずは知ってもらい、そして興味を持ってもらう。そのためのきっかけになるなにか資料的なものがあれば良いなと思いました。

ZINEを作る

資料的なものとはいえ、誰でも気軽に手に取れて、堅苦しくない見やすいものにしたく、媒体は色々ありますがその中で「ZINE(ジン)」を制作することにしました。

【ZINE】
個人や少人数での自主的な出版物。製本方法もページ数も定義がなく、旅行記や趣味、食べ物など好きなものを、写真・イラスト・小説など表現も自由にまとめた冊子。語源は諸説ありますがマガジンの”ジン”からきているようです。

ZINEは本当に自由で、ぎっしり文字を書いてても、写真のみでもなんでもいい。
これであれば、がま細工についてや、歴史や現状、作り手の方々、色んなことが伝えられるのではと思いました。
とはいえ、私はZINEを制作したことがないのでまずは世の中にどんなZINEがあるのかのリサーチから・・・。

最後に。

正直、私ががま細工のZINEをつくっても、がま細工が抱えている問題が解決するとは思っていません。自然・環境・人など私の力ではどうすることもできないことばかりです。
ですがこのままだと、がま、作り手の方々のこと、伝統工芸としての手法、製品のことなど今まで大事にしていたものがいずれ消えてしまいます。
それは悲しいしもったいない。でも「自分が後継者に!」と大きくは言えない…なのでまずは、蒜山・がま細工の関係人口になり、発信することで知るきっかけとなり、その中でまたもっと興味を持ってくれる人が出てくるようなそんなZINEを作れたらと思います。
1デザイナーの小さい活動ではありますが、そこから繋がり、”岡山県人”として”デザイナー”としてなにか貢献できればと思っています。

次回に続きます!

⚫︎この記事を書いた人
山下 めぐみ(やました めぐみ)/  L4D / デザイナー
岡山県出身。企業・地域・教育系など幅広いデザインに携わる。手書きのものが好きで書道やハンドレタリングなど挑戦中。今後地元岡山とつながりたい!
Facebook:https://www.facebook.com/megumi.yamashita25
Instagram:@l4d_megumi




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