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ナイチンゲールの足場から〝いま〟の わたしたちを見たら(5)


【第3章】 生活を整える


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良い看護を構成する真の要素は、健康人のためのものも、病人のためのものも同様に、ほとんど理解されていない。健康の法則、すなわち看護の法則—両者は実のところは同一なのである—が病人のなかにも健康人のなかにも共通に働いているのである。


〜看護は知識であってはならない〜

ナイチンゲールは『看護覚え書』の第1章から第13章で項目をたて、看護の法則を実践する方法を示しています。「看護であること」と「看護でないこと」を明らかにし、科学的な根拠を与えています。「書物で学ぶことは健康を守る現場の実際的な健康を知的にえがくのみ役立つ」と考えるナイチンゲールは、なによりも実践によって経験することを大切にしました。

いま読み返してみると当時の事情を反映した内容もありますが、根底には「生命力の消耗を最小にする」という看護の徹底的な目的意識があります。看護の本質に基づいた視点から、生活のあらゆる過程を捉え、どう考え、どう実践するかを示しています。時代が変化し、技術や学問が進化し、私たちの生活のあり方が変わっても、人間の生体機能に変わりはありません。さまざまなストレスにさらされる現代社会に生きるわたしたちが学ぶことは多くあります。

新型コロナウイルス感染症を抱えた困難な時代に生きるわたしたちが身につけるべき看護の法則とはなにか。生活を整えるとはどういうことなのか。ナイチンゲールが『看護覚え書』で示した内容を項目ごとに順番に見ていきます。


ひとりでも多くの人にナイチンゲールが言う「生活を整える」ことの大切さを伝えたい…、そんな願いからnoteで発表することにしました。本記事は一般社団法人チーム医療フォーラムの季刊誌『ツ・ナ・ガ・ル』35号(2020年6月発行)の特集記事を転載したものです。ほぼ毎日「1章」か「1節」ずつ記事を掲載していきます(下記の目次をご参照ください)。

※本記事は以下に記載した文献を出典とし、参考にしています。 看護覚え書 フロレンス ナイチンゲール (著) 現代社、新版 ナイチンゲール看護論・入門 金井一薫(著) 現代社 白鳳選書、ナイチンゲール言葉集 現代社 白鳳選書、ナイチンゲールの『看護覚え書』金井一薫(著) 西東社、看護覚え書きフロレンス ナイティンゲール (著) 日本看護協会出版会、フロレンス・ナイチンゲールの生涯 宮本百合子 (著) Kindle版、他。
・記事監修:秋山和宏(医学博士、東葛クリニックみらい院長)


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