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スクラムの進め方がつかめる「スクラム実践入門」を読んだ

これまでプロジェクトマネジャーとしてウォーターフォールのプロジェクトを担当してきたがアジャイルプロジェクトを急遽担当することになり、必要に迫られて「スクラム実践入門」を読んだ。スクラムを取り組むにあたってプロジェクトのイベントやベストプラクティス、よくある問題と解決策がコンパクトにまとまっており非常に役に立った(書籍は220ページでコンパクト!)。これからアジャイル開発を進めるスクラムマスターが最初読むのにおすすめの本だ。

目次

第1章 ソフトウェア開発の困難にスクラムで立ち向かう
1.1 ソフトウェア開発の困難
1.2 不可視性によるさらなる困難
1.3 ソフトウェアはどこにあるのか
1.4 ソフトウェア開発の困難に立ち向かう
1.5 スクラムとは何か
1.6 スクラムで,複雑で変化の激しい問題に対応する
1.7 本章のまとめ
第2章 スクラムチーム
2.1 スクラムチームとは何か
2.2 プロダクトオーナー ── プロダクトの最終責任者
2.3 開発チーム ── プロダクトを作る専門家
2.4 スクラムマスター ── スクラムの推進者
2.5 本章のまとめ
第3章 スクラムイベント
3.1 スクラムイベントとは何か
3.2 スプリント ── ステップバイステップでプロダクトとスクラムチームを成長させる
3.3 スプリントプランニング ── スプリントの計画を作る
3.4 デイリースクラム ── 日々の進捗,予定,問題を共有する
3.5 スプリントレビュー ── スプリントの成果を確認する
3.6 スプリントレトロスペクティブ ── 仕事の進め方を改善する
3.7 本章のまとめ
第4章 スクラムの作成物
4.1 スクラムの作成物とは何か
4.2 プロダクトバックログ ── 何を実現するかの一覧
4.3 スプリントバックログ ── 今,何を行うかの一覧
4.4 インクリメント ── スプリントで作ったもの
4.5 本章のまとめ
第5章 スクラムを支えるプラクティス
5.1 プラクティスをパターンで解説する
5.2 インセプションデッキ ── 10の課題でプロジェクトを導く
5.3 リーンキャンバス ── プロダクトを1枚で定義する
5.4 ユーザストーリー ── ユーザ視点で要求を簡潔に記述する
5.5 ユーザストーリーマッピング ── ユーザ体験を時間軸で整理する
5.6 プランニングポーカー ── 開発チーム全員で見積りをする
5.7 スパイク ── 技術的不確実性を取り除く
5.8 バーンダウンチャート ── プロジェクトの進捗を見える化する
5.9 パーキングロット ── アイデアを一時退避する
5.10 KPT ── レトロスペクティブを効果的に実施する
5.11 技術的負債の返済 ── 開発スピードを保ち続ける
5.12 継続的インテグレーション ── スプリントを安定的に運用する
5.13 本章のまとめ
第6章 GMOペパボの事例 ── どのように導入したか
6.1 スクラム導入の経緯
6.2 どのようにスクラムを導入したか
6.3 スクラムを導入して良かったこと,気づいたこと
6.4 本章のまとめ
第7章 mixiの事例 ── 導入失敗からの立てなおし
7.1 スクラム導入の経緯
7.2 初めてのスプリント
7.3 課題を抱えたまま継続するスプリント
7.4 あらためて始めるスクラム
7.5 現在の開発フロー
7.6 本章のまとめ
第8章 DeNAの事例 ── 大規模開発,業務委託への適用
8.1 スクラム導入の経緯
8.2 スクラムの導入
8.3 大規模スクラムの導入
8.4 業務委託スクラムの導入
8.5 本章のまとめ
第9章 スクラム導入時によくある問題と解決策
9.1 スクラムチームの組成
9.2 スクラムイベントの設計
9.3 本章のまとめ
第10章 スクラムチームでよくある問題と解決策
10.1 プロダクトオーナー
プロダクトオーナーに合わせてスクラムイベントを計画する
10.2 開発チーム
10.3 スクラムマスター
10.4 本章のまとめ
第11章 スクラムイベントでよくある問題と解決策
11.1 スプリントプランニング
11.2 デイリースクラム
11.3 スプリントレビュー
11.4 スプリントレトロスペクティブ
11.5 本章のまとめ
第12章 スクラムの作成物によくある問題と解決策
12.1 プロダクトバックログ
12.2 スプリントバックログ
12.3 インクリメント
12.4 本章のまとめ

スクラムのイベントと成果物

3章から5章にスクラムで発生するイベントと成果物が記載されている。スクラムをどういった順序だてで進めていくべきか、そのときに作るものはどういったものにすべきかが載っており参考になる。

第3章 スクラムイベント
第4章 スクラムの作成物
第5章 スクラムを支えるプラクティス

例えばウォーターフォールで進めることに慣れている人からすると耳慣れないアジャイル用語がいくつかあるが基本用語が載っており「レトロスペクティブ」って何など基本的なことが読むと理解できる。

またアジャイルでは具体的な成果物というのが明示されているわけではないので、5章に記載のスクラムを支えるプラクティスに記載の成果物がそのままプロジェクトに使える内容で役に立つ。

スクラムでよくある問題と解決策

スクラムを導入すると初心者は同じような問題で躓くようだ。自分もどうやってアジャイルプロジェクトをリードしていこうかスクラムマスターの役割に悩んでいたら9章から12章に記載の問題にぶち当たった。よくある問題の解決策が記載されており先達の知恵を借りられるのがありがたい。

第9章 スクラム導入時によくある問題と解決策
第10章 スクラムチームでよくある問題と解決策
第11章 スクラムイベントでよくある問題と解決策
第12章 スクラムの作成物によくある問題と解決策

以下は特に役に立った問題と解決策。

最適なスプリント期間がわからない
最短の1週間で始める。スクラムは、問題を可視化するフレームワークでもあります。長過ぎるスプリント期間を選んでしまうと、問題に気づいてから対応するまでの期間も長くなり、スクラムのせいで問題が発生したかのように思われがちです。したがって、これからスクラムを導入しようとするチームでは、スプリント期間は最短の1週間とし、なるべく頻繁に働き方を見直すことをお勧めします。

経験の浅いチームでスプリント期間をどれぐらいにするか悩んでいたがそのまま答えが書いてあってびっくりした。

スクラムの奴隷
・〇〇をしたらスクラムではなくなってしまうのでダメだ
・スクラム的には〇〇であるべきだ
スクラムの奴隷にならないよう、何のためにスクラムを実践しているのかをときどきふりかえり、考えなおすようにしましょう。

守破離の守を意識してプロジェクトを進めるうちにスクラムの奴隷になりかけてしまった。目的を忘れないようにしよう。

完成しなかったプロダクトバックログアイテムの扱いがわからない
・スプリントは延長しない
・残ったプロダクトバックログアイテムをいつどのように扱うか決める
・完成した要件のみベロシティとして計測する

実際にスプリントを進めたときに直面する問題。シンプルに対応すればよいことがわかりスッキリした。

まとめ

本がコンパクトにまとまっているので何度も読み返し、ファシリテートをするときに次にどのイベントをどんな感じの成果物を作ってまわしていこうかと考え、パラパラと見直して全体像を確認することに使っている。スクラムマスターを初めて取り組む人が最初に読む本としてお勧めだ。




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