肥後百景#22【健軍その2】
「放課後、いつものとこな」
これだけで通じるのは「時代」といったら大袈裟か。
それでも確かに、ポケベルも携帯もスマホもないならないで生きていける時代はあった。
大人はどうかはさておき、少なからず子どもはどうにかやっていけるはず。
なんなら、それが楽しかったというのもある気がする。
当時の僕にとってそのやりとりは日常で、その場所は特別でもなんでもない場所だった。
誰かにそう言われれば、いつも通りにランドセルを玄関先に放り投げて自転車に跨りすぐ駆けつける。
行きつけの公園前にある駄菓子屋
そこに行けば、誰かしらいる。
その日、そこにいるメンバーで、何かしらできることを気の向くままにやる。
ひとしきり遊び終わると、駄菓子屋でそれぞれお気に入りの駄菓子を買い、みんなでシェアする。
この駄菓子選びに、個性が出るのも面白い。
高いやつ一個だけ買うやつ。
組み合わせて上手いこと小遣い内での最適解を導き出すやつ。
同じ駄菓子を買えるだけ買うやつ。
そしてもう一つのあるある事象。
小遣い事情で発生する駄菓子ヒエラルキー。
金持ちによる駄菓子配り。
それに群がるハイエナ小僧。
プライドだけでどうにか靡かない孤高のアイツ。
放課後、公園でも小さな社会はそこにあった。
あの頃の経験が今にどうつながっているかはよく分からない。
けれど、いまだにブタメンを見かける度に、量増ししようとベビースターを中に投下してふやかしていた自分が脳裏にチラつくので、貧乏性が染み付いている気はする。
お心遣いに感謝です。今後も励んでいきます!