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使いこなせ!レーザー加工機

前回から時間が空いてしまいました。というのも、noteを始めたきっかけが頭の中のモヤモヤを解消するためだったのですが、noteを読んでくれた大学助手時代の教え子が相談相手になってくれたおかげで、だいぶモヤが晴れてきたためです。ありがたや。

そんな相棒を新たに迎えつつ邁進するminimumsですが、今日は私の愛機、レーザー加工機ハロウィンの新作について書いていこうと思います。


レーザー加工機って何ぞや

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こちらは私が普段使用している、Oh-raserのレーザー加工機「 HAJIME CL1 PLUS」です。要はレーザーの力で木やアクリルに彫刻やカットができる機械なのですが、私が特筆したいのは、一つの機械で異なる様々な素材を精密に加工でき、同じものをたくさん量産できる、という点です。

多くの機械は素材やできることに限りがあるのですが、レーザー加工機は、使えば使うほど無限の可能性があり、自分のつくりたいものを体感的にカタチにする手助けをしてくれ、且つ量産することができます。

YouTubeやFABカフェなどの登場により、以前よりはよく耳にする身近な存在になってはきましたが、普通に暮らしていたら中々接する機会はないと思います。そんなレーザー加工機と私が出会うきっかけは、今から12年前でした。


レーザー加工機との衝撃的な出会い

2000年代後半当時、レーザー加工機は世間的にもまだ馴染みがなく、大きな工場などで業務用に使われている存在でした。大型で高額のため教育目的で導入している大学もほぼなかったのですが、先端技術を取り入れることに積極的だった母校の大学が、工房へ新たに導入したのです。

さてそんな最先端技術を導入したは良いけど、誰がどう使うんだ?って買ってから考えるところが大学らしいのですが、大学院に進学して暇そうな私に白羽の矢が立ち、使い方をマスターしてよと教授から依頼されたことがファーストコンタクト。

卒制だってカッターとノコギリで作っていた私にとって、木もアクリルも紙も切れちゃうレーザー加工機はまさに神のマシーン!!!!人生最大の衝撃でした。後輩の学部生の面倒を見る傍で好きなものを自由につくれる環境を偶然手にし、同じレーザー加工機ユーザーの中でも特殊な環境で加工機と接してくることができました。

大学、大学院、その後とグラフィックデザインを専攻して生業としてきた私ですが、妙にレーザー加工機と馬が合い、ハンドメイドブランドまで始めてしまったのは、子どもの頃好きだったことと繋がっているためでした。


平面→立体へ、立ち上がることへの興奮

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小学校のころ算数で多面体を習った際、厚紙で実際に作ってみる授業がありました。確か正二十面体を作ったと思うのですが、それが妙に楽しかったんです。算数は別に好きじゃなかったし、家で復習なんてやった覚えもないですが、これだけはサイズを変えたりして家で一人つくったりしていました。

当時の私は毎月500円のお小遣いをミニ四駆とプラモデルに使っていて、つくること自体は大好きでした。中でもプラモデルやLEGOのようなキッチリと仕上がるものを偏愛していた私にとって、厚紙に手書きで図面を書いて切り抜いて組み上げる多面体づくりは、幼心に妙な興奮を与えてくれました。

やってることは今と変わらないんです、厚紙がMDFになって、手書き図面がMacになって、切り抜きがレーザー加工機になっただけ。「三つ子の魂百まで」って本当で、子どもの頃に好きだったものを掘り下げると、今も変わらず好きなんですよね。

そんなモノづくり大好きボーイは、それが将来仕事になり得るとは思ってもいなかったので、何となく先の見えやすいイラストや漫画に興味を持ち、デザイン系の大学に進学してグラフィックデザインコースを選択してしまいましたが、あれよあれよと現在は、レーザー加工機を使った立体作品ばかりつくっています。


立体→平面へ、今一度レーザー加工機の可能性を探ろう!

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レーザー加工機を使う会社やユーザーの多くは、ボールペンなどへの名入れ加工や、木やアクリルに彫刻してカットする平面作品が中心です。しかし私は単純なレーザー加工作品に止まらず、複雑に組み上げる立体作品を中心につくってきました。

一方で複雑な立体作品をつくるとなると、何より作業時間がかかってしまい、当然コストは増え値段も上がってしまいます。minimumsで最安値の作品はサーカステント(ミニ)の1,800円ですが、これですら加工から組み立てまで相当な時間をかけなくてはいけません。

手の込んだ作品がminimumsの魅力である反面、作品の単価がどうしても高くなってしまう点と、発想、設計、試作に時間がかかるため、新作づくりのハードルが高くなってしまう点は大きなネックとなっていました。

単価と新作づくりのハードルを下げ、もっと身近にレーザー加工作品を手にしてもらおうとなると、今一度レーザー加工機の可能性を見出し、平面作品にも挑戦してみようと思い立ちました。新作の「ハロウィンマスコット」は今まで使ったことのない加工方法を用いています。

これまでは組み立てる際に微妙なサイズ調整(革材は木材より若干大きくカットする等)が必要なため、基礎となる木材と、表面を覆う革材は別々にレーザー加工した後に貼り合わせてましたが、これでは時間と労力がかかってしまいます。そこで、事前に木材と革材を接着した上で2種同時にカットしたところ、加工時間と貼り合わせる時間を削減することができました。

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この加工方法は以前から考えてはいたのですが、立体作品では上記の微妙なサイズ調整を要するため使うことができませんでした。今回のハロウィンマスコットは厚みはありますが平面作品のため、2種同時カット技法が可能となり、またレーザーのパワー調整や加工後のヤニ汚れ除去に最適な溶液との出会いによって、実現できました。

作業時間削減でコストを大幅に下げることができたので、これまで私たちminimumsと接したことのない人にも手に取ってもらえるように、出血大サービスでハロウィン限定価格にしてみました☆

販売は10月1日(金)21時スタートですので、宜しくお願いします...!!!!!!!


レーザー加工機との付き合い方

大学教員時代、学生へレーザー加工機について教える際に「レーザー加工機でつくったもの」感をなるべく出さないようにしましょう、と伝えていました。

レーザー加工機という機械はスゴいんです。一方でスゴ過ぎるところも欠点で、初心者や学生が使うと、ただ「レーザー加工機で加工しただけ」の作品になりがちです。先端技術に触れて自分のイラストがアクリル板に彫刻されてキーホルダーになる、それは最初はとっても楽しいんですが、スゴい機械だからこそ、誰でもできることをやっていてはレーザー加工機に負けてしまい、個性が出ません。

どんな機械やツールにも言えることですが、個性を出すためには機械を理解して使いこなせるようにならなくてはなりません。機械はあくまで自分がつくりたいモノを実現するための一部であって、全部となってはいけません。

今回はだいぶマンネリ化してきたレーザー加工機との付き合い方を、私自身改めて見返す機会となりました。これからも無限に広がるレーザー加工機の可能性とともに、ブランド発展に向けて新作をたくさん作っていこうと思います!

まずは何より12月のクリエーターズマーケットの新作をば...!!

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