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海を通して見る人類文明発展。地中海、大西洋、太平洋。

 人類歴史の発展過程を、海からの視点で見たものがあった。なるほどと思うところが多かったのでご紹介する。

水だけでは不十分、塩が必要だった

 人類はまず水を求めた。水がなくては生きられなかったからだ。
 それで、川の周辺に文明が誕生する。
 四大河川文明と言えば、以下である。

・チグリス・ユーフラテス川のメソポタミヤ文明。
・ナイル川のエジプト文明。
・インダス川のインダス文明。(インド・パキスタン)
・黄河の中国文明。

しかし、人は水だけでは生きられないことを知った人類は、塩を求めて海にたどり着く。

最初は『地中海海洋文明』

 人は水だけでは生きられない、塩が必要だ。塩は海にあった。
 そこで、ナイル川のほとりに住む人の中で、ナイル川の終わり、地中海沿岸に拠点を置く人々が現れた。

 彼らは、毎日海を見ながら、その向こうに何があるのかと胸をときめかせた。
 この、好奇心旺盛で、冒険心の強い勇敢な者たちが、高い技術を持って船を作利、地中海に出ていった。

 彼らは、ある島にたどり着く。
 クレタ島である。
 このクレタ島に、ミノワ海洋文明が生まれる。

 船を巧みに操る彼らの文明は、陸の文明をしのいだ。

 やがて、このクレタ島のミノワ文明が、ギリシャ半島に繋がり、ギリシャ文明を。さらにはローマ半島につながり古代ローマ帝国を作り出す。

古代ローマ帝国 
「世界の道はローマに通ず」と言われ、人類初の世界覇権型国家となって隆盛を誇った。

 古代ローマの水道技術は、ローマ帝国滅亡後1000年以上も、それを超えるものが作られることはなかったという。他の文明に1000年も先んじた文明が栄えたと言っても良いだろう。

 かくして、エジプト文明、クレタ島のミノワ文明、ギリシャ文明、ローマ文明と、地中海沿岸においてあまたの文明が花開いた。そして、かのキリスト教も、この地中海のほとりで誕生している。

 キリスト教は、後に史上最大の宗教組織になるのであり、キリスト教文明圏が近代文明の牽引役であったのは、第2次世界大戦の戦勝国が米英仏のキリスト教国家であったことによく現れている。

次に『大西洋海洋文明』

 そのローマが没落すると、主権国家の所在ががいくつかのヨーロッパ諸国をめぐってゆく。ギリシャ半島、ローマ半島に続き、スペイン・ポルトガル半島の国家がいっとき隆盛を誇るが、最終的に世界覇権を手にしたのは島国英国であった。

 時代は、地中海よりもより大規模な海、大西洋にその中心が移ってゆく。

 地中海海洋文明の口火を切ったのが、クレタ島のミノワ文明だったように、大西洋海洋文明の口火を切ったのは、やはり、島国の英国だったところに注目したい。

 16世紀、エリザベス女王1世は、王位につくと海洋政策を強化。資本・技術を投入して船を作り、勇猛な船員を養成した。
 英国は、当初から海に強い国だったのではない。むしろ、ノルウェーやスウェーデンのバイキングに怯えて生きている民族だった。しかし、海を失えば全てを失うので、死にもの狂いで海洋に投入していった結果、バイキングやスペインを凌駕する海洋帝国を築いたのだった。

 世界中に領土を持ち、人類歴史上で最大の領土を誇ったのが大英帝国。日の沈まぬ帝国である。その領土はモンゴル帝国よりも大きかった。

 そして、島国・英国で誕生した種が、大西洋を渡って米国で花開く。
 米国は、英国からの独立を勝ち取り、20世紀の覇権国家となったのが米国である。
 1945年当時、米国は一国で世界の半分の富と世界の半分の軍事力を持つ国となり、第二のローマ帝国と言われるほどの国勢を誇った。
 その米国が21世紀の今日に至るまで世界のリーダーとして影響力を持っているのは皆さんよくご存知のことである。

地球の最終型の文明、太平洋海洋文明

 その米国が、自ら世界のリーダーの座を降りると宣言した今、人類の海洋文明史も新たな段階に展開しようとしているのがよく分かる。
 それが、地球最大の海、太平洋を中心とする、環太平洋海洋文明の時代である。

 地球儀を見るとよく分かるが、太平洋はちょうど地球の半分を占めている。
 地球儀を持っている方は(Google MAPでも良い)、タヒチ島の少し北あたりを中心に地球を見てみて欲しい(タヒチ島は南緯17度、西経149度あたり)。
 ほぼ海しか見えなくなる。

 大西洋時代と違って、太平洋の特徴は、その地域、環太平洋にアジアが入ってくるという事だ。地中海海洋文明時代、大西洋海洋文明時代は西洋文明が中心だった感が強いが、環太平洋の特徴は東洋が入ってくることにある。

 西洋文明だけで営む時代には限界がきて、そこに東洋文明が注入され、ついに東西融和による新たなる文明が誕生する新時代の到来時期である事が、こう言った海洋文明歴史の変遷を見ても分かるのである。

環太平洋海洋文明時代、その前提は東洋人の海への進出

 人類の海洋文明史の変遷を概観するとパターン見えてくる。

 島で発生して、半島で成長し、大陸で花咲く。

 地中海では、
 クレタ島→ギリシャ半島・ローマ半島→ローマ帝国(地中海沿岸広域)

 大西洋では、
 英国島→(ケープコッド半島)→米国大陸

 米国のスタートとなった人々・ピルグリムファーザーズは、英国からメイフラワー号という船で大西洋を渡った人々。メイフラワ号は米国大陸の東、ボストンに近いケープコッドと呼ばれる半島にたどり着いた。こじつけと言われるかもしれないが、一応、型として記しておく。

 このように、各文明では、島に発端があり、半島で成長し、大陸で花開くという型が見て取れる。まず、島で種が発生しないと文明の開花がないのである。

 では今、東洋でどこの島がその、環太平洋文明時代の胤の役割を果たすべきだろうか・・・
 わたしは、それは日本であるべきだろうと考えている。

 今、日本が海洋国家として発展する事で、次の時代を牽引する文明がスタートするのだ。

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