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『オッドボール効果』と習慣との新しい付き合い方

単調さは時間を崩壊させ、新しさは時間を展開させる。

ジョシュア・フォア

習慣は重要です。
しっかりとした習慣があることで、生産的な日々を送ることができ、決断の疲れを軽減できます。
朝起きる時間・運動する時間・食事する時間など、特定の行動を習慣化することで、意志力を予期せぬ出来事への対応に割り当てることが可能になります。

同時に、習慣はあくまでもルーティーンで、生活を単調にするものだと言えます。
一切の妥協なく、ストイックに習慣をこなし続ける生活をしていると、まるでハムスターが回し車から降りられなくなったときのような感覚に陥ります。
一日が次の日へと移り変わり、気がつけば何年も経っていて、時間がどこにいったかわからなくなってしまうのです。

どうすれば、この回し車を蹴り飛ばして、彩りのない平淡な暮らしから抜け出せるのでしょうか?
この問題を解くために、まず心理学における『時間の主観的拡大』という概念について、説明させてください。

時間の主観的拡大

時間の主観的拡大について、私のトレーニングを例にとって話します。
最近、私のトレーニングの習慣は、すっかりマンネリ化してしまっています。
トレッドミルのやりすぎで、ちょっとやそっとじゃドーパミンが分泌されなくなってきたようです。
トレーニングで元気になるどころか、イライラした気分でジムを後にすることもあります。

そこで先週の火曜日の朝、いつものにジムに向かう代わりに、家の近くのジムのランニングマシンで45分間のランニングをしました。

走り始めたときは暗かったのですが、トレイルの一番高いところに着いたとき、ちょうど太陽が地平線から顔を出そうとしていました。
空気も澄んでいて、とても気持ちのいいものでした。
その朝、ジムはほぼ貸切状態で、私の他にはウエイトトレーニングをやっている中年の方が一人いるだけでした。

一日の始まりとしては最高で、終わった後はエネルギーが体にみなぎるのを感じました。
それだけでなく、この体験は私の心にしっかりと、そして鮮明に焼き付いています。
同じ時間に起き、同じルーティンに取り組んだにもかかわらず、あの火曜日のトレイルランは不思議と格別だったのです。

実際、先週のどの日の朝の走りも、はっきりと思い出すことはできません。
いつも、朝はあっという間に過ぎていきます。
しかし、火曜日の朝は、少なくとも私の中では、ゆっくりと、じっくりと展開されていました。
トレイルランの所要時間は45分で、他のエクササイズと同じですが、ずっと長く感じらました。

心理学者は、この現象を『時間の主観的拡大』と呼んでいます。
時計はその針を刻みながら、時間に関する真実を告げています。
しかし、それと同時に、あなたの心もまた、時間に関する別の真実を告げています。

時間は本来、客観的なものであり、1日は皆同じように24時間です。
しかし、時間をどのように経験するかは、個人差が大きいのです。
日常から解放され、新しいことを経験すると、時間の流れが遅くなるように感じます。
『The Art and Science of Remembering Everything』の著者であるジョシュア・フォアは、「単調さは時間を崩壊させ、新しさは時間を展開させる。」と書いています。

オッド・ボール効果

「新しいもの、斬新なもの」がなぜ時間の解釈を遅くするのかを説明しようと、多くの研究がなされてきました。
ある研究者は、この理由の調査をするうちに、『オッド・ボール効果 』と呼ばれる現象を発見しました。

これは時間に関する面白い実験です。
まず、被験者はシンプルな茶色の靴の画像を繰り返し見せらました。
被験者が茶色い靴の画像に十分に慣れた後、繰り返し表示される画像のサイクルに、1つの時計の画像が挿しこまれました。
そして、時計の画像は靴の画像と全く同じ時間画面に表示されていたにもかかわらず、被験者は必ず実際の時間よりもはるかに長く表示されているように感じたのです!

「靴の画像に条件付けされ、慣れてしまっているため、新しい画像に驚きを覚え、全く違う時間の認識をするようになったのだ。」と研究者は説明します。
単調な茶色い靴の画像を眺めているうちに、被験者の脳は変化を求め、その結果、異なる体験に釘付けになったのです。

オッド・ボール、つまり単調なものとは異なる「変わり者」は、『時間の主観的拡大』を引き起こします。
つまり、もしあなたが豊かでカラフルな、思い出に満ちた人生を送りたいのであれば、大小さまざまな方法で日常を打破し、より斬新で「初めての瞬間」を日々の生活に取り入れる必要があるのです。

イギリスの詩人ウィリアム・カウパーは、
「変化に富むことこそが人生をおもしろくさせるスパイスだ。それは、すべての味わいを与えてくれる。」
と書いています。
決まりきったパターンから抜け出すことが、私たちの生活に「スパイス」を与えてくれるのです。
いつもどおりの日常生活が最も心地よく感じる人もいるかもしれません。
しかし、科学的見地からすれば、ヒトは日常を脱したときに最も生きていると感じるのです。

そこで、あなたの毎日に、もっとスパイスを、もっと新しさを加えてみませんか?
そのためのアイデアをいくつかご紹介していきます!

1. 未体験を体験する

一度も味わったことのない新鮮な気分に出会うためには、チャレンジが必要です。
新しい楽器の演奏。
新しいスポーツ。
新しいレシピ。
やってみたいと思っていたことをリストアップし、毎週、あるいは毎月、自分のために時間を割いて、それを1つずつ試してみるようにしましょう。

2. 名著を読む

新しいことに挑戦したいのなら、新しいアイデアに自分を開く必要があります。
フィクション、ノンフィクション、歴史、伝記、などなど。
本には人間の経験に関する情報がぎっしりと詰まっています。
人生からより多くのものを得るための斬新な方法を考えるとき、読書は最良のインスピレーションの源となるのです。

3. 小さなことからスイッチしていく

多くの人が日常からなかなか抜け出せない理由は、目標を高く持ちすぎていることです。
劇的な変化と即効性のある満足感を求めてしまっているのです。
しかし、変化は一度に起こるものではありません。
徐々に起こるものです。
例えば、週に一度、自転車で通勤する、といった小さな変化に集中することで、自分自身に勢いをつけることができるのです。
変革は、小さな変化を一つずつ積み重ねていくことで、はじめて起きるものなのです。

あなたは、今日から何を変えていきますか?


最後までお読みいただきありがとうございました🙏
ブログも書いているので、よかったら覗いてみてください♪

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