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【minifilm】一行目を決めて原稿用紙一枚分の小説を書いてみよう!#3【YouTube企画】

どうもminifilmです。
今回は映画制作グループとして脚本の質の向上を目指し、YouTubeで行った企画『一行目を決めて原稿用紙一枚分の小説を書いてみよう』で執筆いたしました小説をご紹介いたします。

ルール

①二人がそれぞれが一本ずつ小説を書き上げる。
②書き出しの一行目を同じ文にする。
③原稿用紙一枚分400文字以内(カギカッコ、句読点等も1文字としてカウント)で書く。

今回の一行目(お題)

〝まだだ、まだ終われない〟

櫻井の作品

「まだだ、まだ終われない」
そう呟きながら、私は唇を噛んで次の言葉を思案していた。
夕食を賭け、気まぐれに友人と始めたしりとり勝負。なにか制約を設けようと、考えていく内、50音順でやってみようと声が上がった。
これは〝あ〟で始まり〝い〟で終わる言葉のように50音順の次の言葉をおしりに持ってこなくてはいけないというルールだ。
愛→硫黄→浮世絵→笑顔→丘 というようにしりとりは順調に進み、私たちは〝わ〟までリレーを続け、〝を〟で終わる言葉はない為、次は〝ん〟になり、そのまま勝負がつかずに終わった。
これでは意味がないので次は濁音に突入した。これがすべての間違いであった。〝ざ〟行までなんとか捻りだしお互いのリレーは続いたが、次の行に入った瞬間、私はいくら考えても言葉が出て来ず、躓いてしまった。このままでは夕食を奢るハメになる。
「まだ〝だ〟 まだ終われない」

高橋の作品

まだだ、まだ終われない。
私の学生時代の親友は、そう言って夢を諦めずにいた。作曲家を志望している彼は、いつも私に感想を求めるべく曲を聞かせてきた。ある時、傑作だと言い張り聞かせてきた曲があった。そういう割にはお世辞にも良いと言えるものではなかった。既に五十になろうとしているが、まだアルバイト生活をしながら暮らしているらしい。そんな生き方をしているから高校時代から付き合っていた彼女にもフラれていたし、安定した職には就けていないようだ。妻は私に「そんな人とつるむのはやめなよ」と言ってきた。私は次第に、彼とは疎遠になった。私は大手企業に入社したし家族もいる。人生の大半を叶うこともない夢を追うことに使うよりも、当たり前の幸せの方が良いに決まっている。そんなことをふと思ったのも、行きつけのスーパーで妻と買い物をしているときに安っぽい店内BGMが耳に入ってきたからだ。昔、親友が私に聞かせた、傑作だった。

YouTube動画

こちらの企画の詳細、二人の感想、解説、総評等はYouTubeにてご覧いただけます。
是非そちらもご覧くださいませ!


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