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北野武監督映画全作品レビュー【1〜5作目】

Good morning, and in case I don't see ya, good afternoon, good evening, and good night!


どうも櫻井です。

今回は僕の人生に一番の影響を与えたといってもいい北野武監督の映画全19作品をご紹介いたします。


●公開順にレビューしていきます!
●少々のネタバレを含む場合がございます。
●0〜5個までの6段階の★で好き度とおすすめ度を評価しています!

今回は『その男、凶暴につき』〜『みんな〜やってるか!』までの計5本をご紹介します!

では早速いきましょう!

その男、凶暴につき(1989年)

監督/北野武 脚本/野澤尚(改編北野武)
出演/ビートたけし 白竜 他

好き度★★★☆☆
おすすめ度★★★☆☆

記念すべき初監督作。元々は深作欣二監督で撮られる予定であった本作だが、スケジュール等の折り合いが付かず、主演に内定していた北野武に話がいきました。当時は珍しい、お笑い芸人の監督ということで話題性を重視したのでしょう。

内容としては本来の脚本を大きく改変した北野武のセンスをふんだんに見せつけたストーリーで、後にキタノブルーと称される青を基調とした映像やバイオレンス描写が圧巻です。
ただただ人が歩くというカットを長回して使うのも特徴的ですね。これがまた画になる。

特に、映画冒頭で、ホームレスをいじめていた少年に対する執拗なまでの平手打ちシーンがあるのですが、そこが北野映画としてのスタート地点のような気がします。

3-4x10月(1990年)

監督・脚本/北野武 
出演/柳ユーレイ 石田ゆり子 他

好き度★★★★☆
おすすめ度★★☆☆☆

この作品は、ヤクザに因縁をつけられた青年が周りのヤクザにただただ翻弄されていく、というストーリーを描いているのですが、かなり難解で、僕もいまだによく理解できません。
北野武監督本人もこの作品について「かわいい出来の悪い息子」と言っており、今後の北野映画の礎を築いた映画なのではないでしょうか。

主演をつとめる、たけし軍団の柳ユーレイの演技が個人的にドンピシャにハマっていて、他のどんなに上手い役者が主演をしていても駄作となりうる今作で、見事に師匠である北野武の脚本の意図を汲んで演技をされているという印象です。

興行収入も前作と比べものにならないくらい落ち込み、ラストについても賛否両論ありますが、今作の梅雨の雨が降ったあとの林のようなジメジメとした空気感は、この作品だからこそ出せる心地よい陰湿さだと思います。

あの夏、いちばん静かな海。(1991年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/真木蔵人 大島弘子 他

好き度★★★★★
おすすめ度★★★★★

僕が最も好きな作品かもしれません。
前作同様、ストーリーはあってないような単調なものなのですが、それがこの映画の趣旨と最大限マッチしていて、映画史に残る一本だと思います。

主人公はろう者のカップルなのですが、勿論のことセリフが一才なし、手話での会話も数回、字幕、独白等で心理描写をすることもありません。これぞ映画作りにおいて大事な引き算を駆使した作品だと思います。この設定で、このタイトルも、センスを感じます。

ストーリーとしては悲しい内容ながら、とにかく周りの登場人物たちの人情を感じさせ、北野映画をバイオレンスが苦手で敬遠していた方には最もオススメできる作品だと思います。
今作から初めて久石譲を起用し、その劇中で流れる音楽もまた映画を盛り上げます。

ソナチネ(1993年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/ビートたけし 大杉漣 他

好き度★★★★★
おすすめ度★★★★☆

キタノブルーと称された青を基調とした映像を堪能したい方はまずはこの一本。
近年の作品ではあまり見られなくなった青いトーンの映像が撮影地の沖縄とうまくマッチしていて、これぞ北野映画というべき作品。

海外人気が非常に高く、その完成度に頷けます。名シーンと名高いエレベーター内での銃撃シーンはハリウッド映画にオマージュされたほど。

個人的には砂浜でヤクザたちが遊んでいるシーンを推していて、コメディアンビートたけしならではの発想で、嵐の前の静けさ、残暑のような間延び感を演出しています。
終盤でのヒロインが武に向かって言う質問「死ぬの怖くないの?」これに対する返答がまたお洒落です。

みんな〜やってるか!(1994年)

監督・脚本/ビートたけし
出演/ダンカン 白竜 他

好き度★★☆☆☆
おすすめ度★☆☆☆☆

厳密には北野武監督ではなくビートたけし監督の映画です。
こちらは他の北野映画とは違うベクトルで北野武のセンスが大暴走している映画で、下ネタ、ブラックユーモア、古典的なギャグなどなんでもござれのコメディ映画となっています。
統一性など不要!と脈絡なくストーリーが進行していきます。感覚としては4コマ漫画の連続性のような作りで、続々と違う展開の笑いがまるで怪獣のように観客に襲いかかってきます。
色々な意味で鑑賞する際のこちらの精神状態が試される一本です。

次回【6〜10作目】

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