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北野武監督映画全作品レビュー【6〜10作目】

Good morning, and in case I don't see ya, good afternoon, good evening, and good night!


どうも櫻井です。

今回は僕の人生に一番の影響を与えたといってもいい北野武監督の映画全19作品をご紹介いたします。


●公開順にレビューしていきます!
●少々のネタバレを含む場合がございます。
●0〜5個までの6段階の★で好き度とおすすめ度を評価しています!

前回【1〜5作目】

今回は『キッズ・リターン』〜『Dolls』までの計5本をご紹介します!

では早速いきましょう!

キッズ・リターン(1996年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/金子賢 安藤政信(新人) 他

好き度★★★☆☆
おすすめ度★★★★☆

現在の邦画予告風に言うと「男子高校生二人のはちゃめちゃ青春ストーリー」といったところでしょうか笑 少年時代特有の無鉄砲さ、将来への渇望といった要素をバイク事故後の北野監督が上手く描いた作品です。
有名なラストシーンでは主人公二人の関係性が当初とは変わっていたり、そこで飛び出す名台詞から少年が大人へと変わってしまった物憂げさのようなものを感じ取りました。

北野武版スタンドバイミーとでも言いましょうか、10代の頃一度見て、大人になってもう一度見ると印象が大きく変わる映画かもしれません。

そして大きく印象深い点は、僕が初めてこの映画を見た際、この作品、主人公二人に感情移入させるような作りになっていないのでは?と思いました。
見た方にはわかっていただけるかも知れませんが、主人公二人の同級生で脇役の眼鏡の少年が出てくるのですが、その彼に大半の人が自身を重ねるのではないでしょうか。

HANA-BI(1998年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/ビートたけし 岸本加世子 他

好き度★★★☆☆
おすすめ度★★★★★

ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞した北野監督の代表作と言えるのではないでしょうか。
警察官である主人公が病弱な妻の医療費のためヤクザから金を借りるが、紆余曲折ありヤクザから逃亡するというストーリーです。

要所要所に出てくる北野武が描いた絵画や悲しいトーンながらユーモア溢れる映像が秀逸です。
映画冒頭のタクシーを改造して偽造パトカーを作るシーンはビートたけしだからこそ出てくるアイデアだと思います。

上記の賞を受賞したことで、商業的にも北野映画が成功することになったきっかけの作品でありますが、逆を言えば大衆が掌を返して北野映画を評価したとも言えます。ここでもし賞を獲っていなければこれ以前の名作たちが今よりも埋もれてしまっていたかと思うと個人的には悲しく、ゾッとします。

菊次郎の夏(1999年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/ビートたけし 関口雄介 他

好き度★★★★☆
おすすめ度★★★★★

ひょんなことから近所に住む少年の生き別れになった母を探すことになったビートたけし演じる菊次郎。
菊次郎は妻から旅費として貰ったお金も競輪でスってしまうほどのダメ人間ですが、どこか昭和の人情あふれるオヤジを想像させる人柄です。
モデルは同名の北野監督の父というのも又、良いポイントですね。

少年と菊次郎の掛け合いは、アドリブかと思うようなシーンもあり、まるで漫才やコントのようで観客を飽きさせません。
劇中、長旅はしていないのですが、菊次郎のせいもあり中々目的地に辿り着けません笑 そのせいもあり、メインテーマである久石譲の『Summer』と相まって少年目線で見る夏休みの大冒険、といったようなものが映画から感じ取れました。

そして、子役はかわいらしい子を使うわけじゃなくどこにでもいそうな生意気そうな子供を使ってるのも監督がこだわったポイントだと思います。
唯一と言っていい家族で見れる北野映画ではないでしょうか笑

BROTHER(2001年)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演/ビートたけし オマー・エップス 他

好き度★★☆☆☆
おすすめ度★★★☆☆

大半を海外、ロサンゼルスで撮影された本作。ハリウッド映画にするのではなくあくまで舞台がアメリカの北野映画というコンセプトも面白い点です。

内容としてはわかりやすいエンターテイメント性あふれるマフィア映画になっていて、前半の日本パートでは少々グロいシーンがあるのですが、アメリカに入ってからは至って普通に楽しめる映画です。逆を言えば北野武の良さが消えていて、僕には物足りないなという印象です。

他の北野映画と差別化して評価するとすれば、著名なデザイナーをつけての衣装制作が凝っていて、劇中での出演者各々のスタイルの格好良さが際立ちます。とりあえずストーリー含め、カッコいい映画なんです。

余談ですが、クリント・イーストウッドがお気に入りの一本だそうです。

Dolls(2002)

監督・脚本/北野武 音楽/久石譲
出演 菅野美穂 西島秀俊 他

好き度★★★★★
おすすめ度★★☆☆☆

個人的にはかなり好きですが、あまり評価されない一本。
内容としては、主演2人のカップルを中心に、3組のカップルの人間模様が交錯していく儚げで無情なストーリーとなっていて、シンプルですが気難しさを感じます。メインをつとめる西島、菅野の二人が北野映画初出演とは思えぬ名演で映画を盛り立てます。
特に菅野美穂は、劇中の陰があり少し危ない感じの女性像を遺憾なく演じられていて、その美しさも相まって目を奪われます

監督本人も「趣味で撮った個人的な映画」というように実験的な映像表現やリズム、音の差し引きが奇妙な演出をしていて、『あの夏、いちばん静かな海。』同様、障がい者の描き方、扱い方に北野武のセンスが発揮されています。
久石譲の音楽をこの作品を最後に使わなくなったということもあり、北野武の表現者としての転機となる一本なのではないでしょうか。

次回【11〜15作目】


次回は11〜15作目をレビュー致します!
また是非ご覧ください!

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