「自分はダメだ」を乗り越えた、たった一つの理由

私は以前、小学校の先生をしていました。もう何年も前の話ですが、月曜日が憂鬱で、「布団から出たくない」「起き上がりたくない」とギリギリまで寝ていたことがあります。

仕事に行くのが嫌だったんです。

今日は、「自分はダメだ」と落ち込んでいた日々を、どのように乗り越えたのかをシェアします。

何かの参考になれば幸いです。

空回りして、うまくいかない日々

私は、小学校では図工を教えていました。

けれど、子どものことを全然わかっておらず、授業も下手でした。
着任1年目は、「自分はダメだ」「先生なんて、私には荷が重すぎたんだ」と落ち込んでばかり。
(なんとかマシになってきたのが3年目くらいです)

仕事を始めて数ヶ月経ったころに、先輩教諭から
子どもと距離がある
一生懸命なのはわかるけど、指導が極端すぎる
と言われたのをよく覚えています。

他の先生の授業を見せてもらったり、見てもらったり
他の学校の研究授業に足を運んだりして
自分なりに工夫していましたが、なかなかうまくいきません。

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図工の技術的な指導云々の前に、
全体の場で最後まで話を聞かずに発言してしまう子どもに四苦八苦したり、片付けの指導がきちんとできなかったりして、授業を10分も延長してしまったこともあります。(他の先生からお叱りを受けました)

また、途中で作品づくりへの興味を失ってしまう子や、作品がなかなか形にならない子もいて、「私の指導がよくないせいだ」と、申し訳ない気持ちになったことは、一度や二度ではありません。

ベクトルを、相手に向けよう


図工の先生に必要な資質として、何が思い浮かびますか?
私自身は、過去の経験から、「子どもが心を開ける」「信頼できる」「包容力がある」人が図工の先生だったら、子どもの表現する力をぐんぐん伸ばしていけるんじゃないかな?と、思っています。
「この先生は信頼できない」と思いながら、子どもがのびのびと「表現」をすることができるとは思えません。

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過去を振り返ると、「理想の先生」と当時の自分との間には、何千段もの階段があったような気がします。

子どもとの距離を縮めたいと思っていた私は、
「このままではダメだ」と、
教員3年目にコーチングの講座に通いはじめました。

コーチングで学んだことは、
人と接する上で大切にしたい、基本的なことでした。

・相手が話しやすい場作りをする。
安心して話してもらうための前置きトークをする。
評価と承認は違う。
存在承認(そこにいることをただ承認する)と行動承認(何かしたことを承認する)は違う。
・あいづち、アイコンタクト、うなずき、笑顔、おうむ返しをして話を聞く
(=コーチングのあ・い・う・え・お

など、ごく「普通のこと」です。

コーチングには、魔法みたいなテクニックはありません。コーチングの根っこにあるものは、相手の言葉にしっかりと耳を傾け、「目の前の人には、自分で決め、進んでいける力があると信じること」だと私は思っています。

コーチングの講座で学んだことを意識して
子どもたちと接するようにしたら、
子どもたちの反応や授業の雰囲気が、少しずつ変わってきました。

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今思い返すと、新人時代に授業がうまくいかなかった理由はシンプルでした。

子ども一人ひとりをしっかり見ることができないまま、「授業をきちんとやらなくては」と気負い、自分に意識を強く向けていたのだと思います。


大学の講義室で学ぶ「教育」と、実際の教育現場で目にするもの、耳にするものは大違いです。

生の現場で感じ、学んだことは、
相手を知ろうとすることの大切さです。

この当たり前のことに気づき、変化を起こすのに、
何年もかかりました。

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デザイナー川島彩さんのメンター、叶理恵さんは「相手のお困りごとに興味を持てる人」が仕事をつくっていけると仰っています。

「大切なのは、ベクトルを相手に向けること」

叶理恵さんのこの言葉を聞いた時、
「自分が何を仕事にするにしたって、サービスを届ける相手は『人間』なんだ。根っこにある大切なことは、一緒なんだ」とストンと自分の中に入ってきたのを覚えています。



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