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氷と水の芸術祭 文芸作品第一展示室

灼けつく真夏の光が、目眩をおこさせる眩まばゆさで射している。ウッドデッキには、まあまあ大きめのビニールプールが据えられ、何人かの幼い子どもが水遊びをしている。大人も一緒で。はしゃぐ声と跳ねる水の音。
旧国道沿いにある、コーヒースタンドのあるセレクトショップでは、夏休みの企画として、海の家をテーマに店内をディスプレイし、ウッドデッキにビニールプールとハンモック、店前の駐車場には、ブルーシートの上に白い砂を敷いて、ビーチパラソルを設置していた。

隣の銀河系から、そのメッセージが届いたのは昨年だった。
そこに記された言語を読み取ることはできなかったが、金属メッキされた銅製レコードとそれを再生するための道具が添えられていた。レコードには、様々な自然の音、動物の鳴き声や、知的生物のものと思われるいくつもの言語が収録されていた。それ以外に、道具によって空気を振動させている長短・高低の奇妙な音が入っていたが、それが何を示しているかは、我々には一向に理解できなかった。

水温2℃と後で聞いた。
よくぞ生きていられたものだ。
あの船員さんがいなかったら、あたしも息子らも絶対助からなかった。
ほかの誰も、あたしら三等船客のことなんか、全然考えてくれなかった。
最後まで浮いてたのは船尾だったのに、船尾に行く通路には鍵がかかってたんだよ。
何でって?
私たちが一等船室に紛れ込んだりしないためだよ。
一等特別室のお客は5千ドル近く落とすからね。

彼を見つめていると 心の中でぽちゃんと小さな音がする。
ただ遠くを見つめて漂うように
何処へ行くのかも、
何処を夢見ているのかさえも
分からない…でも、
目の前に広がる海をこの手でそっと包み込みたくなる。
無口で不器用で、それでいて私の言葉に耳を傾けそっと優しく笑う彼に
ずっとずっと寄り添っていたいと。

緩やかな丘の斜面に生い茂る 緑の合間に
隠れるように顔を出す石の階段をひとつづつ上る。
腕いっぱいに『星の花』を抱えて…。

丘のてっぺんに立つと生ぬるい潮風がふわりと顔を撫でてゆく。
腕の中で揺れる花の小さな花弁達が
優しくそっと胸に寄り添い傾くと、
悲し気に 音おとの顔が緩んだ。

「おい! リコ! そっちに行ったぞっ!!」
「あ! はい! わ!! あわわわ~!!!!」
 大きな虫取り網を持って待ち構えていたリコは、標的の予想外の動きに翻弄されて盛大にしりもちをついた。
「いたた~」
「こらぁ~リコぉ~!! 何やってんだっ!!! ほら、そっちに逃げたぞ!!!」
チームリーダーの清水が駆け抜けながら叫んだ。
 慌ててリコも立ち上がり後を追う。
 先週成人したばかりのリコは衛生班見習い一年生。そろそろ正式採用のお声がかかってもいいころなのだが、何しろ近年稀に見るドジっ子だ。

盆の前とはいえ学生子どもは既に夏休みに入っているのかどこに行ってもウザったく、楽しそうにしていた。有給の月曜日、手元の腕時計では現在十六時半。家の空気感にも堪えられないと久しぶりに海にでも回っていこうと考えたのが大きな失敗だった。役所から直帰すればこんな胡散臭い男には絡まれなかった筈だ。
「ね、ね、絶対損はサセないからサ!」
 エメラルドを基調にした派手なアロハシャツに薄いベージュの膝丈パンツ。サングラスの掛けられた明るい金髪とは対極と言えるほど焼かれた肌。この男は日サロにでも住んでいるのだろうか。


俳句 水水水水氷水水水水 からの二次創作

*作者のみなさま、引用等不適切であればご指摘ください。


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