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【本】フロムに学ぶ「愛する」ための心理学


本を読んだ理由

僕がこの本を読んだ理由は3つあります。

1つ目は、付き合っている彼女を大切にするための知識を得たかったからです。この先、嬉しいこと以外にも、今まで見えなかったことが明らかになり、ぶつかることもあるかもしれません。なので、改めて彼女を大切にするためのヒントを得ようとしました。

2つ目は、フロムが考える愛から、正しい親子の愛着関係を知りたかったからです。僕は、自身の経験から、精神的な弱さは親子の愛着の歪みがきっかけと考えています。なので、愛着の歪みを生まないためにはどうしたら良いか知りたくて、本を読みました。

3つ目は、「愛するということ」の解説書が読みたかったことです。正直、新訳書でも哲学的な内容で、理解が難しかったです。だからこそ理解してみたい気持ちになり、解説書を読もうとしました。


読んで学んだこと

なぜ人は愛するのか

フロムはこう書いています。

人間のもっとも強い欲求は、孤独の牢獄から抜け出したい欲求だ。

本:愛するということ

人間と動物の違いは、進化する中で、孤独を恐れるようになったとフロムは書きました。つまり、孤独の解消のため、人は愛するということなのです。

ここに、生物的欲求のようなものを、本を読んで感じました。人同士が積極的に関わりあうのは、動物からみたら、おかしいことなのかもしれません(スポーツ観戦・渋谷ハロウィン・祭り・SNSなど)。

また、フロムは、現代人は孤独の解消に間違った方法で解決しようとしていると、書いています。

1:酒・ドラッグ・セックス
2:集団に同調すること
3:仕事をすること
4:相手に身を預ける・相手を支配する行為

本:愛するということ

では、孤独の解決にはどうすればいいのか。
それが、愛するということです。


フロムにとっての、愛するとは

フロムはこう書いています。

成熟した愛とは、自分の全体性と個性を保ったままの、(他者との)結合。

本:愛するということ

成熟した愛とは、愛の理想形が達成された状態だと考えられます。

自分の全体性〜結合までは、抽象的でよく分かりません。しかし、「自意識を持ったまま、他人と共に生きている状態が理想形なんだ」と置き換えると、雰囲気は理解できるような気がします。

では、成熟した愛はどうしたら手に入るのか。フロムはこう書いています。

愛は能動的活動である。与えることであり、もらうことではない。

本:愛するということ

極端な例にはなりますが、DVで相手を支配したり、束縛していつでも自分の側にいさせたり、自分を無にして召使いのように相手に従うことは、フロムの言う愛ではないのです。

では、何を与えたらいいのか?
フロムは、自分の生命(興味・喜び・悲しみ・知識・・・)と書いてます。

与えることは、他人をも与えるものにするということであり、たがいに相手の中に芽生えさせるものから得る喜びを分かち合うのである

本:愛するということ


私たちが目指すところとは、、、?

4つの基本要素を学ぶ

フロムいわく、愛するには以下4つの基本要素が必要だと説いています。
愛することができるようになりたいなら、必見です。

配慮:相手への気遣いがある
責任:相手の要求に応じる用意がある
尊重:自分も相手にも、成長と幸せを願える
理解:自分が与えたことによる相手の反応に、気付ける

本:愛するということ

2については、「自分にとっての相手を愛する手段が、相手にとっては嫌な行為だった場合、きっぱりと辞めることができる」とも解釈できます。

4については、「良かれと思っていやったけど、嫌だったかな?大丈夫かな?」ということだと解釈できます。
反省と精進が大切だということです。

4つの基本要素を学び、自分と相手を大切にできれば、それは愛するということに近づくのだと感じました。


愛↔資本主義の影響に気づく

フロムは、資本主義にによって、本来の愛が歪んでしまったことを指摘しています。なぜなら、現代の愛には、交換と消費があると考えたからです。

交換は、見返りと置き換えてもよいでしょう。
「こんなに〜したんだから、〜してほしい」という価値観は、お金をだして物や存在と交換する資本主義の構造に似ています。

愛は与えることと定義することならば、見返りは逆のところに位置します。

消費については、資本家が望むことです。なぜなら、たくさん買ってくれたほうが、儲かるから。

しかし、消耗品の中に愛が加わると、愛がなくなっては求め、一生満たされず、求め続けてしまいます。

そして、求める愛は期待通りに返ってくるとは限りません。

愛が消耗品なら、どんどん次の愛を求め続ける。でも、求めてる通りの愛が手に入るとは限らない。

しかし、愛した分だけ返ってくる・愛は承認欲求のように求め続けるものという価値観は、今日明日では変わらないでしょう。

だからこそ、気づくということが大切なんだと、本を読んで感じました。


現代人は、孤独の解決にならない方法をしていると知る

「人がほしいのは孤独ではない状態」というフロムの考えに、新しい発見を感じました。人の欲求は、衣食住と孤独からの解放なんですね。

なぜ人は愛するのかに書いた通り、孤独からの解放に関しては、現代人は根本的な解消にならない方法を選択しまっているそうです。

この、現代人は根本的な解消にならない方法を選択しまっているということを知ることが、現代人が抱える、孤独がずっと解決されない悩みから救ってくれるのではないかと考えます。

知ることができれば、やっても効果がないことをしようとした時に、止めることができるからです。

フロムがいう与えることに徹することは、つまりどうしたら良いか分からず、抽象的で難しいと感じます。

しかし、それぞれの人々が考える”与えるということ”を実践していけば、人々の愛は本来の姿に戻り、孤独からの解決もできるのではないでしょうか。

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