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三浦綾子「氷点」

コロナに罹患してしまいまして、今日で10日目最終日です。熱もぶり返すことなく順調に回復していきました。明日から無事に仕事に復帰することになります。その療養期間に本を読みたいと思いその期間に時間のかかる本をゆっくり読みたいとも思ったのですが、結局ゆっくり読んだのは三浦綾子さんの「氷点」でした。


これは以前、三浦綾子さんのnote記事を書いたときに氷点をもう一度読んでみようとそこに記したのですが、その時はなかなかまとまって読めなかったのでこの機会に読ませて頂きました。再読です。


再読する間に私は彼女の本を他に10作以上読ませて頂きました。だから前回読んだ時よりも基礎知識があり、立体的に読めるのではないのかなぁと思い読ませて頂いたのもあります。


気持ち的には一字一句逃さないように味わうということを念頭に入れました。やはり、一回目では印象の薄かったシーンが再読することでまた塗り重ねる形で彩られます。三浦綾子さん自体の考え方も以前より少しだけ分かるような気すらします。それとクリスチャンである彼女の一面もその中に垣間見れますし、ただ今作ではそれがそんなに取り上げられていないなぁとも感じました。


今更有名な大ベストセラーで、結構昔の作品なのでネタバレしても構わないかもしれませんが具体的表現は敢えて避けて書きます。ただ私にとってのこの作品の見どころはやはり衝撃的で刺激の強いシーンが幾つかあるのですが、一見信じれられないあり得ない行動がそれなりの理由を伴ってきっかりと成立してしまうようところも魅力の一つだと思います。それらが鮮明で鋭く描写されていて、それに我々は夢中になるのだと感じます。


以前のnoteでも書きましたが、この作品の主題は原罪とも言います。原罪というと、聖書の言葉なのでかなり分かり辛いかもしれません。聖書ではアダムとイブが背負った罪から派生して、人間が誰にでも持っている罪という解釈になっています。

これはもう少し書くと他人を罵倒したいということがあっても、その罵倒したいという事を仮に自分がやったとしたら自分にそれほど怒りはしないという人間の心。例えば人のことなら返事の悪いことでもあいさつの悪いことでも腹が立つのに、自分のことなら許せるという人間の自己中心的なものが内在すること。

それがこの原罪という小説のテーマに繋がっていると言われています。そして、どの人間でもやはり罪深いものであると主要人物の陽子を通しても教えられるような気もするのです。そして、続氷点でその罪に対するゆるしがテーマになると言われています。



再読してゆっくりと読みましたが読み応えもあり、登場人物も本当に実在したのかもしれないと思うくらいリアルに描かれていると思います。どの人物も人間味があって情もあり、嫉妬や恨みもある。そういった感情が巧みに表現されているのもこの小説の面白い所だと思いました。


 
小説もゆっくりと読み、自宅で療養したところです。明日から療養は解除されるので、コロナに気を付けつつ行動を再開して元気に過ごしたいと感じます。そんな自宅療養の最終日でした。



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